8月16日、エネルギー大手Occidentalは、カナダを拠点とし、大気中のCO2を除去してクリーン燃料を製造するダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)技術を提供するCarbon Engineeringを11億ドル(約1,601億円)で買収すると発表した。
本買収契約は、先週発表された、Carbon Engineeringと共同で開発中のOxyの炭素回収プラットフォーム1PointFiveによる大規模DACプロジェクトが、米国エネルギー省(DOE)から最大12億ドル(約1,745億円)の助成金を受ける2つのプロジェクトのうちの1つに選ばれたことを受けてのものである。
DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気からCO2を直接抽出して原料として利用することや、貯蔵と組み合わせて永久的に除去することが可能。昨年発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年にわたって年間数十億トンに拡大する二酸化炭素除去方法が含まれており、DACはその大部分を占める可能性がある。
2009年に設立されたブリティッシュコロンビア州を拠点とするCarbon Engineeringは、大気中の空気を取り込み、一連の化学反応によって二酸化炭素を抽出するDAC技術を提供している。同社はまた、「AIR TO FUELS」技術も提供しており、これはDACソリューションと水素生成および燃料合成を組み合わせ、持続可能な航空燃料(SAF)などの超低炭素輸送燃料を製造するものである。
同社は、Oxyの1PointFiveと提携し、DACの広範かつ大規模な展開を目指している。1PointFiveは現在、Carbon Engineeringと提携し、現在稼働中の世界最大のDAC施設の250倍以上の二酸化炭素を除去できるストラトスを建設中である。
Oxyによると、Carbon Engineeringの統合は、コストと資本効率の改善に役立ち、技術ライセンスとロイヤルティを含む新たな収益源を追加し、DAC技術を進歩させる機会を提供し、「大規模でコスト効率の良い、世界的な炭素除去ソリューションとして」DAC技術の展開を加速させる。
本取引は2023年末までに完了する予定で、Carbon EngineeringはOxy Low Carbon Venturesの完全子会社となる。
【参考ページ】
(原文)Occidental buys carbon air capture tech firm for $1.1 billion
(日本語参考訳)オクシデンタル、炭素空気回収技術会社を11億ドルで買収