8月15日、クリーンテック新興企業であるAdvanced Ionicsは、1,250万ドル(約18億円)を調達したと発表した。今回の資金調達ラウンドの収益は、重工業の脱炭素化を支援することを目的としたグリーン水素製造技術の展開を支援する。
今回の資金調達は、エネルギー大手bpのベンチャー部門bp Venturesが主導し、Clean Energy Ventures、三菱重工業、GVP Climateなどの投資家が参加した。
水素は、クリーンなエネルギーの未来への移行における重要な構成要素のひとつであり、特に、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる解決策が現実的でない、排出量の削減が困難なセクターにとって重要である。水素を抽出するプロセスに再生可能エネルギーを利用するグリーン水素のようなクリーンな水素製造能力の開発には、インフラ、電解、輸送、貯蔵などの分野で大規模な投資が必要となる。
2017年に設立されたAdvanced Ionicsは、グリーン水素の大規模生産を目的としたソリューションを提供し、グリーン水素の生産コストの70%以上を電力が占めている高コストと電力要件など、グリーン水素の加速を妨げる主要な障害に対処する。同社の水蒸気電解槽技術「Symbion」は、グリーン水素製造に必要なコストと電力を削減し、オンサイトプロセスと産業現場からの廃熱を組み合わせている。システムは、他の電解槽で一般的な高価な材料の代わりに、広く入手可能な鋼鉄や他のシンプルな材料で作られている。
同社によると、本ソリューションによって可能になる電力需要の低減は、グリーン水素製造のコストを1キログラムあたり1ドル以下にまで下げることができるという。
投資に加えて、bpはAdvanced Ionicsとの試験的な機会を模索すると述べた。水素は、バイオエネルギー、利便性、EV充電、再生可能エネルギーと電力と並ぶ、bpの5つの移行成長エンジンのひとつである。bpは昨年、これらの移行成長事業への設備投資総額の割合を2025年までに40%以上、2030年までに50%程度に引き上げる計画を発表した。