金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる「2026年版EDINETタクソノミ」の案を公表した。近年の法令や会計基準の改正に対応し、企業開示の正確性と効率性を高めるのが狙いである。同時に、国際的な潮流となっているサステナビリティ情報の開示に対応するため、「2027年版EDINETタクソノミ」の開発案も公表した。金融庁はこれらの案について、来月9月8日まで一般からの意見(パブリックコメント)を募集する。

2026年版タクソノミ(案)は、開示府令や連結財務諸表規則、株式公開買付(TOB)関連府令などの改正内容を反映させ、それぞれに対応できるようになっている。また、企業の財務諸表や開示書類の作成において、最新のルールに準拠した電子的タグ付けが可能になる。

適用時期は、有価証券報告書の場合、2026年3月31日以後に終了する事業年度に係る書類からとなる。半期報告書や各種届出書についても、26年4月以降、順次適用される予定だ。

特に注目されるのが、同時に公表された2027年版タクソノミの開発案だ。金融審議会のワーキング・グループでの議論を踏まえ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開発した「ISSBタクソノミ」の導入を本格的に検討する。

これが実現すれば、企業は気候変動対応や人権配慮といったサステナビリティに関する情報を、国際的に標準化された形式で開示できるようになる。投資家は企業の非財務情報を比較・分析しやすくなり、ESG投資のさらなる促進につながると期待される。

金融庁は、公表した各種資料や開発案について広く意見を募り、今後の更新に反映させる方針。意見は指定の様式で、2025年9月8日午後5時必着で受け付ける。

(原文)2026年版EDINETタクソノミ(案)の公表及び2027年版EDINETタクソノミ開発案について

<関連するオリジナル解説>

サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

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