
8月11日、欧州のクリーンエネルギー技術企業「Aira(アイラ)」は既存投資家から1億5000万ユーロの追加株式資金調達を実施したと発表した。調達資金は、欧州で主流のガスボイラーからヒートポンプへの転換を促進し、家庭用暖房の脱炭素化を加速させるための事業拡大に充てる。
今回の資金調達は、アルトール、キネビック、テマセクといった既存の主要投資家が引き受けた。アイラは2023年6月の設立以来、わずか2年余りでドイツ、イタリア、英国市場へ進出し、年間売上高ランレート(現在の事業ペースが1年続いた場合の売上高)は2億ユーロに達するなど、急成長を遂げている。
同社は今回調達した資金を、スウェーデンの研究開発センターへの投資による製品ポートフォリオの強化や、ポーランド・ヴロツワフの工場の生産能力増強に活用する予定だ。また、既存市場でのシェアをさらに拡大し、主要な住宅・エネルギー関連企業との戦略的提携を強化することで、市場シェアの拡大と顧客のコスト削減を実現させる。
アイラグループのペーター・プレムCEOは、「今回の資金調達は、投資家からの強力な支援を反映しており、スタートアップからスケールアップへと移行する我々の強固な基盤をさらに強化するものだ」とコメントした。「欧州の家庭からガスをなくすという我々の使命を倍加させ、何百万もの家庭にクリーンエネルギー技術を届ける」と意気込みを語った。
欧州では今なお1億3000万台のガスボイラーが使用されており、家庭用暖房は大陸全体のCO₂排出量の10%を占める主要な排出源となっている。アイラは、同社のヒートポンプへ切り替えることで、家庭の暖房費を最大40%削減し、クリーンエネルギー電力プランを併用すればCO₂排出量を最大100%削減できるとしている。月額払いのサブスクリプションモデルを導入し、初期費用なしで導入できる手軽さも強みだ。
プレムCEOは、「欧州のヒートポンプ市場は2030年までに1500億ユーロ以上に達すると予測されており、我々は欧州の家庭のエネルギーを変革する独自のポジションにいる」と述べ、市場の将来性と自社の優位性を強調した。
(原文)Aira announces €150m equity financing to accelerate the electrification of residential heating in Europe
(日本語参考訳)アイラ、欧州の住宅暖房の電化を加速するため1億5000万ユーロの株式資金調達を発表