
7月3日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、SASB基準の改訂案およびIFRS S2実施ガイダンスの関連修正案を含む2つの公開草案を発表した。これは、ISSBが2024~2026年の作業計画の一環として実施する初の包括的見直しであり、グローバルなステークホルダーからの意見募集が開始された。
改訂案では、まず優先対象として抽出された9業種(資源採掘・鉱物加工部門の8業種と、加工食品業種)に対し、完全なレビューと修正が提案された。また、さらに41業種における水管理や労働安全衛生といった分野に関連する指標の調整も盛り込まれている。これらにより、ISSB基準、特にIFRS S1およびIFRS S2の実施を支援し、投資家にとって有用な開示情報の質を高めることが目的である。
今回の改訂案には、GHG排出量、労働慣行など自然資本・人材資本関連の指標も含まれており、企業にとってコスト効率的かつ意思決定に有用な情報の開示を可能にする設計となっている。ISSBは、GRI(Global Reporting Initiative)、EFRAG(欧州財務報告諮問グループ)、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などと連携し、基準間の整合性や相互運用性にも配慮している。
意見募集期間は2025年11月30日までで、ISSBはオンライン調査を通じてフィードバックを受け付ける。ステークホルダーはすべての提案について回答することも、一部のみ選んで意見を提出することも可能である。また、参考資料や非マークアップ版の草案も提供されており、コメント提出の負担軽減が図られている。
SASB基準は、77業種における産業別のサステナビリティ開示ガイダンスで構成されており、ISSB基準に準拠する企業にとってリスクと機会の特定に有用なリソースである。ISSBは2026年の最終化を目指しており、2025年末までにさらに3業種(電気・発電事業、および飲食セクターの2業種)に関する改訂案を公表予定である。今後も優先対象業種の選定と見直しが進められる見通しである。
(原文)ISSB proposes comprehensive review of priority SASB Standards and targeted amendments to others