
7月2日、低炭素型の建材を開発する米スタートアップのテラCO2(Terra CO2)は2日、シリーズBラウンドの資金調達で新たに1億2450万米ドル(約180億円)を確保したと発表した。調達した資金は、持続可能なセメントの生産規模拡大と、北米および欧州での商業プラント建設を加速させるために活用する。
今回の資金調達は、ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ、イーグル・マテリアルズ、ジェンゼロ、ジャスト・クライメートが共同で主導。新たに英金融大手バークレイズの気候変動対策ベンチャー部門が主要投資家として参加した。このほか、物流大手のプロロジス、建設資材大手のセメックス、独シーメンスの金融部門など、戦略的投資家も名を連ねている。
セメントは現代のインフラに不可欠なコンクリートの主成分だが、その製造過程で世界のCO2排出量の約8%を占めるとされ、建設業界の脱炭素化が急務となっている。
テラCO2が開発した特許技術「OPUS SCM(セメント系混和材)」は、従来のポルトランドセメントの代替品として、より安価で高い性能を持つ。フライアッシュのような従来の混合材が枯渇する中、同社の技術は安価で豊富に存在する地域の骨材鉱山からの原料を利用できるのが特徴だ。これにより、既存の産業インフラを活用しながら、二酸化炭素排出量を大幅に削減した建材を大規模に供給することが可能になる。
テラCO2のビル・イヤーズリーCEOは、「私たちの使命は、たとえ炭素削減効果がなかったとしても、市場がコストと性能だけで購入を決めるようなセメント材料ソリューションを提供することです。その上で大幅な炭素削減を実現できることは、建設業界にとってさらなる利点となります」と述べ、製品の経済的合理性を強調した。
同社は調達した資金を元に、テキサス州のダラス・フォートワース市場に、初となる年産24万トンの商業用最新鋭プラントの建設を迅速に進める計画だ。
また、投資家の一社であるバークレイズの担当者は、「テラ社の技術は、商業展開への準備とコスト競争力を兼ね備えている。脱炭素化が困難なセメントのような重工業を支援できる点は、我々の投資方針とも合致する」と評価している。
テラCO2は現在、ポルトランドセメントを100%代替する可能性を秘めた次世代製品「OPUS Zero」のコンクリート試験も進めており、建設業界の完全な脱炭素化に向けた取り組みをさらに前進させる構えだ。
(原文)Terra CO2 Announces Additional Series B Funding to Scale Sustainable Cement Production