オーストラリア金融業界団体、グリーンウォッシュ防止のためのガイドライン公表

オーストラリア金融業界団体、グリーンウォッシュ防止のためのガイドライン公表

8月3日、オーストラリアの金融サービス業界の基準・政策設定機関である金融サービス協議会(FSC)は、投資運用会社が目標を設定し、リスクに関する報告を行い、グリーンウォッシュを回避するための新しい気候関連ガイドラインを発表した。

本ガイドラインの主な目的は、ネット・ゼロ・クレーム、気候変動に焦点を当てた投資機能の開示、気候変動リスクに関する報告に対する業界のアプローチについて、共通の基準期待値を設定することである。

新ルールは、ESGや気候リスクに対する投資家の関心が著しく高まり、「グリーン」、「サステナブル」、「ネット・ゼロ」として販売される投資商品やサービスが急増する中、ファンドで考慮されている実際のサステナビリティ関連の属性、方法論、基準を投資家に伝える明確なルールがないために生まれた。

ガイドラインが扱う主なトピックは、投資ポートフォリオのネットゼロ目標の設定、特にポートフォリオの排出量の評価、気候関連財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)に沿った気候リスクの報告などである。

また、本ガイドラインは、ファンドのサステナビリティ特性を偽って表示することによるグリーンウォッシュを避けるため、気候リスクに対処すると主張するファンドのラベリングに関する投資マネージャー向けのガイダンスも提供している。当ガイダンスには、ファンドの目的やサステナビリティに関連する投資手法の開示、ファンドのラベルの正確さと明確な定義、継続的な評価と関与に関する開示、さらに報告義務やネット・ゼロの主張に関する独立した検証の推奨が含まれている。

FSCの新しいガイダンスは、オーストラリアの企業・市場・金融サービス規制当局であるASICが、投資ファンドによるグリーンウォッシュを警戒していると発表し、ファンドマネージャーや発行者がサステナビリティ関連商品を宣伝・提供する際にグリーンウォッシュを回避するための独自のガイダンスを公表したことに続いて発表された。

米国SECの提案・EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)・英国FCAの要求事項・シンガポールのMASが先週導入したESGファンドに関する新しい報告・開示要求など、いくつかの主要市場の規制当局は最近ESGファンドの表示と開示に関する規則を導入している。

【関連記事】
オーストラリア証券規制当局、グリーンウォッシュへの警戒を表明
SEC、グリーンウォッシュをターゲットに、ESGファンドの新しい開示規則を公表
英国FCA、2022年から資産運用会社と上場企業に気候変動に関する情報開示を義務付ける規則を発表
シンガポール通貨監督庁(MAS)、グリーンファイナンス拡大に向けたESG投資の情報開示基準を公表

【参照ページ】
INVESTMENT COMMUNITY ACTS ON CLIMATE CHANGE

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-15

    ESGフロントライン:移行計画の“実行力”が企業価値を左右する時代へ

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-7-15

    ESRS開示項目66%削減案へEFRAGが草案公表。ダブルマテリアリティ評価も負担軽減

    7月、欧州のサステナビリティ報告基準を策定する欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、欧州サステ…
  3. ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025-7-11

    ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025年7月に公表されたSASBスタンダードの改訂案は、IFRS S2の産業別ガイダンスと連動す…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る