7月26日、投資大手のBlackRockは、新たに発表した2022年委任状投票シーズンにおいて、環境・社会・気候関連の議案を支持し、気候に焦点を当てた企業のエンゲージメントを前年より減少させたことが、「2022 Voting Spotlight」レポートで明らかになった。
本報告書によると、企業が気候変動に関する戦略や情報開示で大きな進展を見せる一方で、提案の質が低下し、環境と社会(E&S)に関するBlackRockの株主総会決議への支持が減少している。
BlackRockは、株主提案に関するSECのガイダンスが改訂され、許容される提案の範囲が広がったことを受け、 今年の委任状受領シーズンに向けてESGに焦点を当てた「質の異なる」提案が増加する傾向にあると指摘している。
BlackRockによると、米国ではE&Sに関する議案が133%増加し、その多くは「経営陣に対する不当な制約」または「過剰な規範」、あるいは企業がすでに議案の目的をほぼ達成していることを認識していないものであった。同社は今年のE&S株主提案のうち22%を支持し、昨年の47%を大幅に下回ったと発表した。
さらに、市場全体のE&S株主提案への支持も減少しており、米国企業で採決された提案は、昨年の36%から今年は27%にとどまったと指摘している。また、気候変動への懸念から176名の取締役の選任を見送った(前年は254名)。
BlackRockは、株主提案の質の低下を指摘する一方で、企業の業績やESG課題の透明性が向上し、経営陣に対する全体的な支持が高まったことを示唆した。
また、同社は米州とEMEAの経営陣に対して全体的に支持を強めているとし、米州では取締役会の多様性が「大幅に改善」され、EMEAでは報酬政策と情報開示が長期株主リターンに沿って改善し、両地域で気候変動対策計画と情報開示が改善されたと指摘した。
昨年、BlackRockは、エンゲージメント活動を若干増加させ、昨年の3,650件から3,690件に達した。取締役会の質と有効性(2,330件、前年2,150件)、価値創造に沿ったインセンティブ(1,350件、1,240件)などの主要優先分野でのエンゲージメントが最も増加した。しかし、気候および自然資本(2,060件、前年2,200件)、企業が人に及ぼす影響(1,280件、1,350件)ではエンゲージメントが減少している。
【参照ページ】
(原文)PowerPoint Presentation (blackrock.com)