進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)といった国際的枠組みに加え、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)による国内基準、欧州のCSRD(企業サステナビリティ報告指令)、さらには人的資本開示の義務化など、企業を取り巻く開示環境はかつてないスピードで複雑化している。

本稿では、東京証券取引所が2025年に公開した『コーポレート・ガバナンス白書』の第3章「サステナビリティを巡る課題への取組み」に着目し、上場企業がどのように“サステナビリティ経営の深化”と“情報開示の質的向上”に取り組んでいるのかを考察する。

構成は、サステナビリティ経営・ガバナンス・環境・社会・IRの5つの視点から他社の開示傾向を整理している。全体像を俯瞰することで、自社の取り組みを客観的に捉え、次に備えるべき論点を見極める手がかりとしてほしい。

サステナビリティ経営に今問われるていること

サステナビリティ経営や情報開示の実践は、当たり前のものとなっている一方で、「他社はどこまで取り組んでいるのか」「自社の開示が今のままで良いのか」といった比較や見直しの必要性を感じる場面も増えてきたのではないだろうか。制度対応に加えて、どこに“差”が生まれているのか、どこに“深度”が求められているのか、見極めることが今後の実務にとって欠かせないテーマとなっている。

以下、サステナビリティ情報開示において“次の一手”を考えるための視点を5つに整理していく。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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