TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

※本記事は、2025年5月掲載の記事に2026年1月時点の最新情報について追記・編集したものである。

2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の最終提言が公表されて以降、自然資本を経営・リスク管理・情報開示に組み込む動きは着実に進展している。2026年にはISSB基準への統合の可能性もある中、日本ではTNFDへの賛同を表明する企業・団体は132(2025年)に達した。2026年時点では、賛同表明にとどまらず、統合報告書やサステナビリティレポート、有価証券報告書で自然関連リスクや依存関係に言及する企業も徐々に現れ始めている。

TNFDは、企業と自然との関係性を「依存(Dependencies)」「影響(Impacts)」「リスク(Risks)」「機会(Opportunities)」の4要素に分解し、構造的に把握・開示することを求めている。しかし、対象となる自然資本は、水資源、森林、生物多様性、土壌、海洋など多岐にわたり、専門的知見や地理情報、科学的データを要する領域も多い。そのため、自社独自の分析手法のみで網羅的かつ客観的な評価を行うことには限界がある。

こうした背景から、TNFD対応の実務においては外部ツールの活用が重要な位置づけを占めており、TNFD自身も公式にツールやデータプラットフォームの活用を推奨している。本稿では、日本企業において実際に導入・活用実績のある主要ツールを紹介するとともに、TNFDの開示に向けた体制構築のヒントを整理する。

TNFDのLEAPアプローチとツールの関係

TNFDは、自然との関係性を段階的に整理・評価するための実務フレームワークとして「LEAPアプローチ」を提示している。LEAPとは、以下の4段階から構成される。

Locate:自然との接点(事業拠点・サプライチェーン・投融資先など)の特定
Evaluate:自然資本への依存と影響の評価
Assess:自然関連リスクと機会の分析
Prepare:対応方針の策定と開示の整備

TNFDが推奨する外部ツールの多くは、このLEAPアプローチの各フェーズに対応する形で設計されており、特にLocateおよびEvaluateフェーズにおける初期スクリーニングや可視化で活用されるケースが多い。

たとえば、ENCOREはEvaluateフェーズ(E2〜E4)において、業種や生産プロセス単位で、事業活動が自然資本にどのように依存し、どのような影響を与えているかを体系的に可視化するツールである。一方、WRIのAqueductは水資源に特化し、EvaluateフェーズのうちE3(水リスク評価)を中心に、地域別の物理的リスク、規制リスク、将来リスクを定量的に把握できる。

LEAPの構造を理解したうえで、各フェーズに適したツールを組み合わせて活用することが、TNFD開示の精度と実務効率を高める鍵となる。

以下、TNFD開示において活用されるツールについて一覧表にてまとめるとともに、ツール選定のポイントについても解説する。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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