カリフォルニア州:気候関連開示法(SB253・SB261)対応ガイドー実務ポイント解説付きー (※最新情報更新)

※本記事は、2026年3月に公開された記事を10月に最新情報を更新したものである。
2026年2月26日、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、SB253:Climate Corporate Data Accountability(カリフォルニア州 気候データ説明責任法)およびSB261:Climate-Related Financial Risk Act(気候関連財務リスク開示法)初期規制の採用が承認されたと発表した(規制要件を満たす最初のステップ)。
SB253は一定規模以上の企業に対しScope1・2・3の排出量報告を義務づけるもので、SB261は気候変動が事業や財務に与えるリスク・機会の開示を求める制度であり、TCFDやISSB基準と整合している部分が多い。本稿では、CARBが公表した公式FAQおよびSB261チェックリストを基に制度の要点を整理するとともに、日本のSSBJ基準との関係も踏まえ、実務対応のポイントを解説する。
SB253とSB261とは
SB253 および SB261は、2023年に成立した法律であったが、2025年に裁判所が控訴の結果が出るまでSB261の施行を一時停止する仮差し止め命令を出すなど、施行までに時間を要していた。両法とも、対象企業や開示内容が異なるものの、温室効果ガス排出量情報と気候関連財務リスク情報を組み合わせることで、企業の気候関連情報を包括的に開示する制度設計となっている。
なお、今回の最終規則はSB253の2026年初回報告に関する具体的な要件を定めている。一方、SB261については裁判所による差止命令の影響を受けており、開示義務の執行状況は区別して確認する必要がある。(※2026年10月時点)
| 項目 | SB253 | SB261 |
| 正式名称 | Climate Corporate Data Accountability Act | Climate-Related Financial Risk Act |
| 主な内容 | 温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)の報告 | 気候関連財務リスクおよび対応策の開示 |
| 対象企業 | 年間売上高10億ドル超かつカリフォルニア州で事業を行う米国法に基づいて設立された法人 ※米国外企業も要件を満たせば適用対象 | 年間売上高5億ドル超かつカリフォルニア州で事業を行う米国法に基づいて設立された法人 |
| 初回報告・開示期限 | → 2026年11月10日(Scope1・2) | 初回開示について裁判所の差止命令が出されており、最新の執行状況の確認が必要 |
| 報告方法 | CARBへの排出量報告。2026年は初回報告の特例あり | 自社ウェブサイトで公表とリンクの提出 |
| 保証(Assurance) | 段階的に第三者保証を義務化(Scope1・2は限定的保証から開始) | 法律上の保証義務なし |
※主管機関のカリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board:CARB)は、規則制定(rulemaking)、FAQ公表、チェックリスト整備などを通じて制度運用を担っている。
SB253の初回報告期限は2026年11月10日であり、Scope1・2排出量の報告が求められる。初回報告については、既存データの活用や一定の条件下での声明提出を認める特例も設けられた。
日本企業への影響:米国子会社の適用判定と連結報告
SB253およびSB261は、カリフォルニア州で事業を行う一定規模以上の米国法人を対象とする制度である。日本法に基づいて設立された日本の親会社は原則として直接の適用対象とならないが、米国子会社が対象要件を満たす場合には、制度への対応が必要となる。
例えば、米国で大規模な事業を展開する日本企業では、米国法人ごとに売上高やカリフォルニア州内での事業活動を確認する必要がある。最終規則§96072では、売上高と州内での事業活動について法人単位で判定することが明示されており、売上高の判定には過去2会計年度のうち低い方を用い、一定のグループ内取引は除外することができる。
さらに、SB253では親会社レベルでの連結報告が認められている。親会社が連結報告を選択した場合、対象子会社は個別の報告書を作成する必要がない。ただし、日本本社が作成する既存のGHG排出量報告書をそのまま活用できるかどうかは、報告範囲や算定方法などが制度要件に適合するかを確認する必要がある。
現時点では、米国法人の適用状況を把握するとともに、既存の排出量データやグループ全体の報告体制を活用できるか検討することが重要だろう。
以下では、SB253およびSB261での報告期間、排出量算定などの開示内容から提出方法(報告書のテンプレート)まで幅広く紹介し、実務対応ポイントについても解説する。
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続きでは、初回報告が2026年月10日の予定のSB253への対応のほか、SB261についても具体的内容について解説しています。
- B253およびSB261での報告期間
- 排出量算定などの開示内容から提出方法
- 今後の実務の対応ポイント
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<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

