SEC、グリーンウォッシュをターゲットに、ESGファンドの新しい開示規則を公表

5月25日、米国証券取引委員会(SEC)は、投資商品・サービスにESG要素を組み込むファンドやアドバイザーに対する新しい開示規則案を公表した。投資家に対してより明確で一貫した情報を提供し、ESGの主張の誇張や虚偽表示によるグリーンウォッシュのリスクへの対処を目的とする。

本規則では、ESGの戦略上の中心性が様々なレベルにある投資商品を特定し、それぞれに異なる情報開示を要求している。また、ファンドが追求するESG戦略の種類に応じた開示が必要となる。例えば、環境重視のファンドは、ポートフォリオの温室効果ガス排出量や炭素集約度を報告することが求められ、ESG戦略の一環として委任状投票や関与を用いるファンドは、これらの分野の活動に関する追加情報を提供する。

今回の提案では、ESGに特化したファンドが、標準化された表形式で情報を提示し、投資家が使用しているESG戦略の種類を迅速に特定し、他のファンドと容易に比較できるようにすることを求めている。

SECはまた、ファンドの名称が、そのファンドが対象とする投資の種類を正確に説明し、ファンドの投資やリスクについて投資家を誤解させないため「名称規則」の更新案も発表した。本規則案はESGファンドにのみ適用されるものではなく、投資判断においてESG要素を非ESG要素よりも集中的に考慮しないファンドは、ファンドの名称にESGや類似の用語を使用することができないと明記している。

今回の新規則案は、それぞれ60日間の意見公募期間を経て、SECが最終的な規則の制定を決定する予定だ。

【関連記事】SEC審査部、2022年の審査優先順位を発表。ESG投資など5つの分野を重視

【参照ページ】
(原文)Statement on Environmental, Social, and Governance Disclosures for Investment Advisers and Investment Companies
(日本語訳)SEC、グリーンウォッシュをターゲットに、ESGファンドの新しい開示規則を公表

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. 2024-4-18

    オーストラリア裁判所、グリーンウォッシュ訴訟でバンガードに有罪判決

    3月28日、オーストラリアの連邦裁判所は、バンガード・インベストメンツ・オーストラリアが、同社のE…
  2. 上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    2024-4-15

    上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    4月に発表した、投資データ・リサーチプロバイダーであるMSCIの新しいレポートによると、世界の上場…
  3. SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    2024-4-15

    SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    4月9日、科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)は、企業の環境持続可能な行動を気候変…

アーカイブ

ページ上部へ戻る