EIOPA、ヨーロッパの保険会社の物理的な気候変動リスクへのエクスポージャーを評価

5月20日、欧州保険・企業年金監督局(以下、EIOPA)は、気候変動リスクによる保険業界へのエクスポージャーに関する報告書を発表した。

本報告書は、業界からの大規模なデータ収集に基づき、風災・山火事・河川洪水・沿岸洪水のリスクに対する財物保険、コンテンツ保険、事業中断保険に焦点をあてている。これらのリスクは、現在および将来の観点から、欧州の損害保険事業にとって最も関連性が高く、最も破壊的となりうるリスクである。

また、本報告書では、欧州の保険セクターの気候関連危険へのエクスポージャーに関する初期評価を提供し、この比較的新しい分野での今後の取り組みに情報を提供した。その結果、サンプルに含まれる欧州のグループおよび単独事業は、本報告書で分析した欧州の3つの主要な自然災害から生じるクレームに対して歴史的に十分な対応能力を有していると示された。しかし、保険部門がそのような災害の影響に対して財務的な保護を提供し続けることができるかどうかは、気候変動の影響を測定し、事業戦略を適応させることができるかどうかにかかっている。

最後に、本報告書の調査結果は、保険業界が気候変動に備えるために、まだやるべきことがあることを示している。EIOPAは、各国の所轄官庁や保険業界と協力し、気候変動の影響に対する保険業界の認識を高め、その準備に貢献するための活動を続けていく。

【関連記事】EIOPA、今後3年間のサステナブルファイナンス活動を発表

【参照ページ】
(原文)EIOPA assesses European insurers’ exposure to physical climate change risks
(日本語訳)EIOPA、欧州の保険会社の物理的な気候変動リスクへのエクスポージャーを評価

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る