2月17日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、モントリオールで開催された会合で、昨年の広範な協議で得られたフィードバックに基づき、初期基準のすべての技術的内容について最終決定を下した。規格の内容が完全に合意されたことにより、ISSBは、2023年第2四半期末に予定されている規格発行に先立ち、規格の徹底的な起草と正式な「投票」プロセスに入ることを全会一致で承認した。
ISSBは、本基準が真にグローバルな取り組みとなるためのキャパシティ・ビルディングの重要性を考慮し、ガイダンスやトレーニング資料のさらなる開発に注力するとともに、すべての市場参加者がその恩恵を受けられるよう、パートナーと協力して異なる経済環境にわたるコアキャパシティ・ビルディングプログラムを実施する予定である。
また、新興国や発展途上国、中小企業特有の事情に配慮することも特に必要である。これを実現するために、ISSBは、専門家の専門知識を活用し、基準の実施に向けた地域の理解を深めるための構造的なパートナーシップを導入している。ISSBはすでに、基準の利用を支援するための救済措置とガイダンスのパッケージを発表しており、これにより企業は時間をかけながら基準を利用するアプローチを拡大できる。
今回の会議では、ISSBの最初のIFRSサステナビリティ開示基準であるS1とS2が2024年1月から適用されることに合意した。サステナビリティ開示は、世界中の多くの企業にとって新しいものであるため、ISSBは、市場のインフラと能力の構築に合わせて、基準の適用者を支援するプログラムを導入する予定である。
発効日の決定は、世界中の企業が包括的で一貫性があり、比較可能なサステナビリティ関連情報を開示することを求める投資家の強い要望に応えるものである。IOSCO及びG20首脳をはじめとする各国政府は、システミックな金融の安定を支えるため、また投資家保護の観点から、気候をはじめとするサステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報を企業が開示できる基準が緊急に必要であると声を上げてきた。
さらに、ISSBのメンバーは、特定のISSB基準がない場合、投資家の情報ニーズに合致する指標や開示を特定するために企業が考慮すべきガイダンスの源として、ISSBの一般要求事項基準であるS1の付録で欧州サステナビリティレポーティング基準(ESRS)に言及することに票決した。ISSBは、昨年12月、欧州委員会、 EFRAGとともに、両者の基準の相互運用性を最大化し、主要な気候変動開示について整合性を図るという共通の目標に向かって取り組んでいると表明した。ISSB基準の内容に関する実質的な決定が終了しているため、この共同作業は、基準内の詳細な用語に焦点を当て、両基準の最終化とともに完了する予定である。
ISSBは現在、持続可能性の基準設定に積極的な他の多くの国や組織と協力し、費用対効果が高く意思決定に有用な基準のグローバルなベースラインの相互運用性を支援し、その効果的な展開に向けた準備を進めているところである。
また、ISSBは将来の規格設定の優先順位を見据えており、今年の第2四半期に将来の作業についてコンサルティングを行う予定である。