9月1日、バイデン政権は、EVへの移行を支援することを目的とした150億ドル(約2兆円)以上の融資パッケージを発表した。その中には、自動車メーカーが工場をEV生産に転換するのを支援するための100億ドル(約1.4兆円)の融資と20億ドル(約3,000億円)の助成金が含まれる。
新プログラムの主な申請基準には、製造工場での雇用維持、賃金、福利厚生、恵まれない地域社会への投資という政権のイニシアティブを支援するプロジェクトなどが含まれる。
米国エネルギー省(DOE)が開始した新しい融資プログラムは、クリーンなモビリティへの移行を加速させることを目的とした、政権による一連のイニシアティブの最新版である。バイデン大統領は2021年に、2030年までに米国での新車販売の半分をゼロ・エミッション車が占めることを義務付ける大統領令に署名し、政権の超党派インフラ法(BIL)とインフレ削減法(IRA)は、EVとバッテリーの製造、EV充電インフラの構築を支援する投資、助成金、税額控除に数十億ドルを割り当てている。
新しいDOE融資プログラムは、DOEの融資プログラム室(LPO)の先進技術自動車製造(ATVM)融資プログラムの下、現在製造施設を抱える地域社会で質の高い雇用を維持する自動車製造転換プロジェクトに最高100億ドル(約1.4兆円)を提供する。ATVM基準に加え、資金提供されるプロジェクトの考慮事項には、既存労働者の維持、高賃金・高待遇の提供、職場での権利、新施設が完成するまで施設をオープンし続けるという約束が含まれる。既存の工場を転換するプロジェクトについては、地域経済への貢献、雇用の歴史、予想される雇用、施設の存続期間などが評価要素となる。現在、同業界で上位4分の1の賃金と賃金以外の待遇を支払っている申請者が優先される。
BILが資金提供する20億ドル(約3,000億円)の補助金プログラムは、効率的なハイブリッド車、プラグイン電気ハイブリッド車、プラグイン電気駆動車、水素燃料EVの国内生産のための費用分担補助金を通じて、小型、中型、大型の電動化車両と部品製造の拡大を支援する。本プログラムでは、生産労働者の高賃金と労働協約の維持に取り組むプロジェクトが優先され、選ばれたプロジェクトは、クリーン・エネルギー投資の利益の40%を不利な立場にある地域社会や気候変動の最悪の影響を受けている地域社会に向けることを目標とする、政権の「ジャスティス40」イニシアティブにも貢献する。
融資と助成金プログラムに加えて、同政権は、EVと送電網用蓄電池のための先端電池と電池材料の増産に35億ドル(約5,156億円)を投資する意向であることも発表した。
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(参考記事)US offers $12 billion to auto makers, suppliers for advanced vehicles