石油・ガス大手のエクソンモービルは、新たに発表した2027年までの企業計画の一環として、近未来の排出量目標の加速や2030年の温室効果ガス削減計画の策定、排出量削減プロジェクトへの投資に今後6年間で150億ドルを充当するなど、一連の排出量削減目標と取り組みを発表した。
このように目標が更新されたにもかかわらず、エクソンはシェル、bp、トタルエナジーズなどの同業他社とは異なり、ネット・ゼロ・エミッションの達成目標を設定していない。
今回の目標更新は今年初めに行われた委任状争奪戦の結果を受けたものだ。この委任状争奪戦では、アクティビスト投資家である「Engine No. 1」が同社の取締役会の3つの議席を獲得し、石油・ガス会社に行動を起こすよう求める投資家にとって大きな勝利となった。このキャンペーンには、CalPERS、CalSTRS、New York State Common Retirement Fund、BlackRockなどの大手投資家が参加していた。
エクソン社は昨年、一連の気候変動に関する目標を発表した。その中には、2025年までに上流のスコープ1および2の温室効果ガス(GHG)排出量の強度を15-20%(2016年比)、メタンの強度を40-50%、フレアリングの強度を35-45%削減し、2030年までに事業全体で業界トップクラスの温室効果ガス排出量を達成するという目標が含まれている。
この更新された計画により、同社は2025年の目標を予定よりも大幅に前倒しして達成し、計画した排出原単位の削減を今年中に達成することを発表した。同社は、2030年までに全社の原単位を20〜30%削減、上流の原単位を40〜50%削減、全社のメタン原単位を70〜80%削減、全社のフレア原単位を60〜70%削減する目標など、新たな目標を発表している。
エクソン社は、150億ドルの投資には、既存の事業からの温室効果ガス排出量を削減するプロジェクトや低炭素ソリューション事業への投資の増加が含まれるとし、炭素回収・貯留、バイオ燃料、水素などのエネルギー転換分野での機会を追求していくと述べている。
【参照ページ】
(原文)ExxonMobil announces corporate plans to 2027 – supports approximately doubling earnings and cash flow potential, reducing emissions
(日本語訳)エクソン、排出量削減目標を加速化するも、ネット・ゼロ目標には至らず