
7月1日、欧州持続可能投資フォーラム(Eurosif)を含む198の投資家・企業団体は、EUのサステナブルファイナンス規制に関する「Omnibus法案」に対して、制度の骨格を維持するよう求める共同声明を発表した。署名には、ノルデア銀行、EDF、シグニファイ(Signify)などの主要企業・金融機関が名を連ねており、持続可能性関連情報の開示制度や企業責任に関する基準の後退を懸念する声が広がっている。
声明では、EUが導入した企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)、および企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)が、投資判断や気候リスク管理、資本のグリーン移行に不可欠なインフラであると位置づけられ、法整備にあたってはこれら制度の「簡素化」ではなく「整備と実装支援」に注力すべきと指摘された。
特に、ESRSにおける「ダブルマテリアリティ」や、気候以外のサステナビリティ課題への対応、GRI・ISSBなど国際基準との整合性の確保が重要とされた。企業サステナビリティ報告の義務を確実に履行できるよう、より明確なガイダンスやセクター別支援策の導入が求められている。
この共同声明は、現在EU議会と加盟国理事会で審議が進む「Omnibus I」法案に対し、民間セクターが制度の信頼性維持を求めて一丸となって発信した初の大規模アクションとなる。
(原文)Omnibus initiative: Sustainability rules are essential for European competitiveness