
3月18日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)と国際的な非営利団体であるCDPは、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)とCDPの質問項目との間の詳細な対応関係を示すマッピング(対照表)を公開した。
このマッピングでは、主にESRSの気候関連開示基準:ESRS E1とCDPの質問項目との間に高い互換性が示されている。具体的には、気候変動緩和のための移行計画、温室効果ガス排出量(スコープ1、2、3)および内部炭素価格設定などの分野で共通点が見られる。
マッピングがあることで、CDPへの回答を実施している場合(CDPに準拠した情報開示がある場合)、ESRS E1の報告要件に適合しているかが明確になるだろう。報告の複雑さが軽減され、効率性が向上し、ステークホルダーへの透明性が高まることが期待される。
CDPのCEOであるシェリー・マデラ氏は、「このマッピングの公開により、データの有用性が高まり、企業の報告負担が軽減されるだけでなく、より豊富な気候データへのアクセスが可能となり、実質的なビジネス価値が生まれます。これらの洞察は、よりスマートなビジネス戦略を促進し、イノベーションを刺激し、地球に優しい意思決定を後押しするでしょう」と述べている。
また、EFRAGのサステナビリティ報告審議会議長であるパトリック・ド・カンブール氏は、「このマッピングは、ESRS E1とCDPの質問集との整合性を示すことで、報告の効率性を高め、複数の報告を回避するのに役立ちます。EFRAGは、サステナビリティ報告の分野での互換性を促進し、複雑さを軽減することに引き続き取り組んでいます」とコメントしている。
このマッピングは、企業がESRS E1に準拠した開示の準備の意義を高めることになるとともに、CDPの報告要件を理解し、効率的な報告プロセスを構築するための貴重なリソースとなるだろう。ESRSの開示基準は、TNFDなどそのほかの報告・開示基準との整合を図っているので、それぞれの情報を参照しながら自社の開示レベルを把握することもできるだろう。
【参考:お役立ち無料資料】開示基準(ESRS/IFRS/GRI)の対応関係を説明!開示基準早見表
【参考記オリジナル解説】ESRSとTNFDの対応関係:TNFD開示の準備は万全?2025年の開示ポイントと追加対応を徹底解説(再掲)
【参照ページ】
(原文)CDP and EFRAG publish correspondence mapping between CDP question bank and European Sustainability Reporting Standard E1
(日本語参考訳)CDPとEFRAGがCDP質問バンクと欧州サステナビリティ報告基準E1の対応マッピングを公開
CDP/ESRS対照表ダウンロードサイト:https://assets.ctfassets.net/v7uy4j80khf8/UejzQUumEgTrECxmPpo7R/917831e6cc2a58709aabf164fa7d9542/ESRS_E1_IG3-_CDP_2024_mapping.xlsx