3月18日、国際エネルギー機関(IEA)は石油需要に関する新たな分析を発表した。本発表でロシアは、ウクライナ侵攻に端を発し世界的なエネルギー危機に直面した場合、今後数ヶ月のうちに石油需要を大幅に削減する必要があると述べた。
IEAの石油に関する推奨政策を実行した場合、4ヶ月以内に石油需要を日量270万バレル削減することができる。これは、中国の全自動車の石油需要に匹敵する。またロシアからの大量の供給が途絶え、7〜8月の需要ピークを迎える時期であっても、潜在的な負担を大幅に削減可能である。この措置は、新興国でも一部または全面的に採用された場合、さらに大きな効果が期待できる。
石油需要の大半は輸送手段によるものであることから、IEAの10の推奨政策では、人や物の移動において、いかに石油を使わないかに焦点を当てた具体的な施策を紹介している。短期的な行動としては、制限速度の引き下げ、在宅勤務、都心への車の乗り入れ制限、安価な公共交通機関、相乗りなどの取り組みによる車の石油消費量の削減、航空機の代わりに高速鉄道やバーチャルミーティングの利用拡大などを提案している。
IEAの報告書では、石油使用量の削減を一時的な措置にとどめてはならないと指摘している。持続的な削減は、各国のエネルギー安全保障を向上させるだけでなく、気候変動への対応や大気汚染の軽減のためにも重要である。各国政府は今後数年間で石油需要を減少に転じるため、必要なあらゆる手段を自由に使えるようになっており、報告書ではEVの普及促進、燃費基準の引き上げ、代替燃料供給の強化、ヒートポンプの普及促進、プラスチックの持続的生産・消費などを重要な手段として示している。
【参照ページ】
(原文)Emergency measures can quickly cut global oil demand by 2.7 million barrels a day, reducing the risk of a damaging supply crunch
(日本語訳)IEA、石油需要に関する新たな分析を発表 恒久的な石油需要削減の重要性を強調