カナダ、持続可能な財務理事会の最優先事項として気候情報開示の義務化を設定

カナダ、持続可能な財務理事会の最優先事項として気候情報開示の義務化を設定

5月18日、カナダ政府は、企業の気候変動報告書の義務化に向けた次のステップを発表し、金融業界のサステナブル・ファイナンス行動協議会の新たな最重要課題に位置づけた。

カナダの大手金融機関、保険会社、年金基金25社で構成される本協議会は、カナダ政府が昨年発足させたもので、国の持続可能性目標を達成するために必要な資本と投資の動員を支援することを目的としている。本協議会の主な任務は、カナダにおける持続可能な金融の誘致と拡大に必要な重要な市場インフラについて勧告を行うことである。

カナダ政府は、昨年来、企業や金融機関に対する気候変動に関する情報開示の義務付けに一層力を入れている。12月には、Justin Trudeau首相が閣僚に委任状を送り、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく報告制度への移行を指示した。先月発表されたカナダの2022年度予算では、2024年から銀行と保険会社が気候関連のリスクとエクスポージャーに関する情報開示を行うという新たな要件が導入された。

【関連記事】カナダ、気候変動関連の情報開示義務化に本格着手

サステナブル・ファイナンス行動協議会は、新たな任務の下、「気候関連の財務情報開示を最優先事項とする」とし、今年末までに気候情報開示の義務化を実施するための最も効果的な方法について財務大臣と環境大臣に助言を行うよう指示された。

また、同協議会は、民間資本をネット・ゼロへの移行に合わせるための資本配分戦略を策定し、国の2030年気候変動目標達成の機会を知らせることも任務とされた。

さらに、同協議会は、国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)のグローバルなサステナビリティ報告基準に関するカナダの金融セクターの意見と、カナダでの基準の採用の調整を支援する役割を担う。

【参照ページ】
(原文)Government of Canada convenes a high-level roundtable on sustainable finance with His Royal Highness The Prince of Wales
(日本語)カナダ政府、ウェールズ皇太子殿下と持続可能な金融に関するハイレベル・ラウンドテーブルを開催

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る