
5月22日、マイクロソフトは、建設部門におけるCO₂排出削減を目指し、サブライム・システムズ製の低炭素セメント「Sublime Cement」を最大622,500トン調達する契約を締結した。この契約は6〜9年にわたって履行され、初回納品はマサチューセッツ州に建設中のサブライム社の商業工場から始まる予定である。
サブライム社の技術は、従来の高温焼成を伴うセメント製造法とは異なり、CO₂排出の主要因を根本から回避する「真のゼロエミッション」方式である。これは二酸化炭素回収技術を必要とせず、フルスケールでもコスト競争力を維持する技術であるという。マイクロソフトは、データセンターやオフィスビル等の建設プロジェクトにおいて、地理的に可能な範囲で本セメントを優先使用する権利も確保した。
さらに、マイクロソフトは物理的なセメントとは別に、サブライム社に対応する環境属性証明書(EACs)を購入する新たなモデルも導入する予定である。これは再生可能エネルギー証書の仕組みに似た「ブック&クレーム方式」で、重工業にも適用可能な革新的モデルとして注目される。第三者による認証の下、EACの取引が透明性と追加性を持つことが保証される。
サブライム社のホールヨーク工場は、米国エネルギー省から最大8,700万ドルの支援を受け、セメント産業の国内回帰と脱炭素化、さらには地域経済の再生を目指す。同社の電気化学プロセスは原料岩石や産業廃棄物を完全分解し、従来型セメント製造で生じる公害やエネルギー浪費を排除する。さらに、製品は従来のポルトランドセメント(OPC)よりも耐久性が高く、美観や都市のヒートアイランド効果の抑制にも寄与する。
この取り組みは、RMIやCenter for Green Market Activationなどの団体との連携を含む業界全体の脱炭素推進の一環であり、マイクロソフトの建設関連サプライチェーンにおける気候変動対策を一層加速するものとなる。