EU議員、炭素除去認証制度の設立に合意

EU議員、炭素除去認証制度の設立に合意

2月20日、欧州議会と欧州理事会の議員らは、炭素除去の定量化、モニタリング、検証のための認証枠組みを確立する新規制について暫定合意に達したと発表した。本合意は、EU法制における包括的な炭素除去および土壌排出削減の枠組みの発足に向けた重要な一歩となる。

炭素除去は、気候変動との闘いにおける重要な手段として台頭しつつあるが、大気から炭素を回収・貯蔵する技術やソリューションのほとんどは、まだかなり初期段階にある。2022年に発表されたIPCCの画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年にわたって年間数十億トン規模の二酸化炭素除去(CDR)方法が含まれている。

炭素除去ソリューションには、直接空気回収プロジェクトのような産業技術から自然の炭素吸収源まで様々なものがある。炭素除去プロジェクトに対する資金調達は、炭素クレジットや政府のインセンティブなど、さまざまなソースから行われる。

新しい合意の重要な側面のひとつは、規制の範囲を土壌の排出削減にまで拡大し、炭素除去の定義を特定の種類に偏らせるのではなく、IPCCに沿ったオープンなものとしたことである。

また、合意された枠組みでは、炭素除去活動と排出削減活動のカテゴリーを区別している。これには、大気中または生物起源の炭素を数世紀にわたって貯蔵する恒久的な炭素除去、35年以上持続する長期製品への一時的な炭素貯蔵、森林や土壌の修復、湿地管理などの炭素農法による一時的な炭素貯蔵、炭素農法による土壌の排出削減などが含まれる。

同協定は、欧州委員会の認証基準である定量性、付加性、長期的貯蔵、持続可能性を維持し、欧州委員会は、専門家グループの支援を受けながら、さまざまな種類の炭素除去活動に合わせた認証方法を開発することを求めた。

さらに本合意は、モニタリング期間中に炭素が大気中に放出される「逆戻り」のケースに対応するため、認証方法を開発する際に、前払い保険などの責任メカニズムを含めるよう、欧州委員会に求めている。

暫定合意の達成により、新規則は発効前にEU理事会および議会で正式に採択される必要がある。

【参照ページ】
(原文)Climate action: Council and Parliament agree to establish an EU carbon removals certification framework

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…
  3. 2025-3-24

    CDP、ESRS報告基準との対照表を発表

    3月18日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)と国際的な非営利団体であるCDPは、欧州サステナ…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る