サステナビリティの課題と機会 – 財務・ITとの連携が成功のカギ

2月27日、ERM Sustainability Institute、Salesforce、GlobeScan、Accounting for Sustainability、SustainableIT.orgが新たな調査結果を発表し、企業のサステナビリティに関する現状と課題が浮き彫りになった。

企業のサステナビリティが事業価値を生むという認識は広がっているが、その統合には課題が多い。企業財務、IT、持続可能性の各分野のビジネスリーダー320人を対象に行われた調査によると、持続可能性が商業的成功にとって「非常に重要」と回答したのは3分の2にのぼる。しかし、それを意思決定に「深く統合している」と答えたのはわずか37%だった。

特に財務やIT部門では、持続可能性に対する知識や経験が不足しており、持続可能性チームを支援する役割を果たす可能性があるにもかかわらず、各部門のリーダーの3割未満しか「自部門には持続可能性に関する高い理解と能力がある」と認識していない。

また、持続可能性に関する報告義務は活動を促進する一方で、価値創出につながるかどうかは意見が分かれている。44%は「報告が協働を促し価値を生む」と回答したが、42%は「価値創出に影響を与えない」もしくは「むしろ妨げている」と考えている。特に財務部門のリーダーは報告の価値を評価する傾向がある一方で、持続可能性部門のリーダーは懐疑的である。

さらに、人工知能(AI)の活用は進んでおらず、持続可能性分野で「すでに大きな価値を生んでいる」と答えたのは6%にとどまった。しかし、今後2年以内にAIがより多くの価値を生むと予測するリーダーは50%に達している。

こうした課題がある中で、持続可能性を企業の意思決定の中心に統合することで、より大きな価値創出が可能になることも明らかになった。調査では、持続可能性を企業の中核に統合している企業群を「Advanced Integrators」と定義し、統合が不十分な「Less-advanced Integrators」と比較している。

「Advanced Integrators」は、持続可能性の取り組みが売上向上につながっているとする割合が3分の2に達し、「Less-advanced Integrators」の2倍近くに及ぶ。持続可能性がビジネスの成長に寄与するという認識の差が、両者の大きな違いを生んでいる。

持続可能性の統合には、財務、IT、持続可能性部門の協力が不可欠であり、調査ではこれを「Sustainability Value Triangle」として位置付けている。持続可能性を企業戦略に組み込むには、財務的な裏付けと高品質なデータが必要であり、これが資源配分の最適化や競争力向上につながる。実際に、「Advanced Integrators」の半数は「高品質な持続可能性データを利用できる」と回答したが、「Less-advanced Integrators」ではわずか18%にとどまった。

また、持続可能性の取り組みを財務、IT、持続可能性部門が共同で推進することで、企業全体の統合が進み、商業的価値が向上することも明らかになった。それぞれの部門が独自の強みを持ち、それを相互に活用することで、持続可能性の推進力が強まる。

【参照ページ】
(原文)Sustainability Value Triangle: Creating impact through Finance, IT, and Sustainability
(日本語参考訳)持続可能性の価値トライアングル: 財務、IT、持続可能性を通じてインパクトを生み出す

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