英国、輸入品に炭素税を導入

英国、輸入品に炭素税を導入

12月18日、英国政府は、2027年までに炭素国境調整メカニズム(CBAM)を導入すると発表した。これは、一連の主要な排出集約型産業を対象とした輸入品に対する炭素税を設けるもので、英国の生産者が支払う炭素価格を英国外の生産者と同等にし、「カーボンリーケージ」(炭素集約型商品の生産が、排出削減政策がより緩やかな国や地域に移動すること)の回避を目的としている。

CBAMは、アルミニウム、セメント、セラミック、肥料、ガラス、水素、鉄鋼などの分野の輸入品から炭素価格を適用する。

新たな炭素税は、政府が今年初めに開始した、炭素リーケージの緩和を目的とした対策に関する見直しに続くもの。英国のいくつかの排出集約型セクターの生産者は、英国が産業の脱炭素化のために使用している主要な手段の1つである、同国の排出量取引制度(ETS)の対象となっている。

EUの排出量取引制度への英国の参加に代わるものとして2021年に開始された英国のETSは、主要な温室効果ガス多消費セクターの温室効果ガス(GHG)排出量に上限を設定し、企業がセクターの気候目標に沿って排出量を削減する動機付けとなるよう、時間の経過とともに減少させるものである。

しかし、同協議会によると、回答者の85%が、自社の脱炭素化努力や投資に対するリスクとして、脱炭素化政策や炭素価格が野心的でない国に生産拠点を移すカーボンリーケージを挙げている。

新しいCBAMの仕組みの下では、炭素価格の低い海外からの製品の輸入者は、輸入品の生産で排出された炭素量と、製品が生産された国で適用された炭素価格と英国の生産者が支払った炭素価格とのギャップに基づき、製品に賦課金を課される。

EUも最近、自国のETS制度と輸入炭素価格を等しくするためにCBAMを採用した。

財務省は、制度の対象となる製品の正確なリストを含め、CBAMの設計は2024年も協議の対象となるとし、新制度が貿易に与える影響を最小限に抑えるため、貿易パートナーや影響を受ける企業と協力していくと述べた。

【参照ページ】
UK to implement carbon levy on imported goods by 2027

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

ページ上部へ戻る