2021年に発足したTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、2023年9月からガイドラインを発行した。いくつかの日本企業は、発行前からすでにTNFDのフレームワークに基づき、自然資本と事業の関連について情報開示を進めている。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)同様に、TNFDの開示も重要性を増す中、具体的にどのような内容を開示するのかイメージがつかない場合も多いだろう。本稿では、TNFDの日本企業の開示例から、実務的な開示項目について紹介する。
TNFDと日本企業の動向
TNFDガイドラインを発行したことによって、自然にまつわる“リスク”や“事業機会”といった企業の財務に影響を与える情報の開示は重要性を増した。投資家などからの企業価値の判断材料に「自然資本」も入ってきたためである。
たとえば、十分な利益を出している農林産品を扱う企業があったとする。これまでであれば、金融機関や機関投資家はその企業の利益(財務情報)をみて投融資の判断をしてきた。しかし、その企業が森林破壊などを通じて自然に与える負のインパクトが大きいというリスク情報が開示された場合、金融機関や機関投資家は、事業が自然資本に依存している部分を勘案し先行きへの影響を考慮するだろう。将来的なビジネスや暮らしへの深刻な影響が判断材料となる。こうした背景により、日本企業でもTNFDに基づく開示が進みつつある。
以降のコンテンツは無料会員登録を行うと閲覧可能になります。無料会員登録を行う
すでに登録済みの方はログイン画面へ