用語集

あ行か行さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行A-Zその他

あ行

アクティブ・オーナーシップ(Active ownership)
アップサイクル
移行リスク(Transition risk)
伊藤レポート
インクルーシブ・ビジネス
ウォーターフットプリント
エクエーター原則・赤道原則
エコファンド
エシカル
エシカル・コーポレーション(Ethical Corporation)
エシカル消費
エシカルファッション
エンゲージメント
エンティティリスト

か行

カーボンオフセット
カーボンニュートラル・カーボンネガティブ・気候ポジティブ
カーボンフットプリント
カーボンプライシング
カーボンリサイクル
カーボンVaR
科学的根拠に基づく削減目標(Science-based targets)
価値協創ガイダンス2.0
株主アクティビズム(Shareholder activism)
環境税
環境と開発に関するリオ宣言(リオ宣言)
環境配慮型商品
議決権行使助言会社
気候危機
気温上昇予測ダッシュボード
気候非常事態宣言
気候変動
気候変動適応
気候変動の物理的リスク(Physical risks of climate change)
気候変動枠組条約
キャップ・アンド・トレード
京都議定書
クライメイトニュートラル(気候中立、Climate neutral)
グリーンウォッシング、グリーンウオッシュ
グリーンコンシューマー
グリーン水素・ブルー水素
クリーンテクノロジー、クリーンテック
グリーンパワープラン
グリーンピース
グリーンビルディング
グリーンボンド
グリーンマーケティング
経営陣への反対票(Vote against management)
原単位(Intensity)
コーポレートガバナンス・コード
国際人権規約(International Covenants on Human Rights)
国際人権章典(International Bill of Human Rights)
国際フェアトレード認証ラベル
国連環境開発会議(地球サミット)
コーズマーケティング(Cause Marketing)
コミュニティ投資(Community Investment)
昆虫食

さ行

再生可能エネルギー(Renewable energy)
サーキュラーエコノミー
座礁資産(Stranded Asset)
サステナビリティ(持続可能性、Sustainability)
サステナビリティ会計基準審議会(SASB、Sustainability Accounting Standards Boards)
サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)
サステナビリティ報告書
サステナビリティボンド
サステナビリティ要因(Sustainability factors)
サステナビリティリスク(Sustainability risk)
サステナブル シーフード
サステナブル ツーリズム
サステナブル投資(Sustainable investing)
サブスクリプションエコノミー
サプライチェーン・マネジメント(SCM)
シェアリングエコノミー(共有型経済)
シェアブロッキング(Share blocking)
ジェンダーペイギャップ(男女の賃金格差、Gender pay gap)
社会的要因(Social factors)
女性管理職比率
人的資本可視化指針
スクリーニング(Screening)
スコープ1の排出量(Scope 1 emissions)
スコープ2の排出量(Scope 2 emissions)
スコープ3の排出量(Scope 3 emissions)
スチュワードシップ・コード(日本版スチュワードシップ・コード)
スチュワードシップ(Stewardship)
ステークホルダー・エンゲージメント
ステークホルダー・ダイアログ
ステークホルダー(利害関係者、Stakeholder)
世界食料デー(World Food Day)
世界人権デー
世界水の日(World Water Day)
責任投資(Responsible investing)
先住民族の権利
ソーシャルグッド
ソーシャルデザイン
ソーシャルハウジング
ソーシャル ビジネス
ソーシャル リスニング
ソーシャル・ボンド(Social bonds)

た行

代替肉(フェイク ミート)
ダイベストメント(Divestment)
男女共同参画社会
炭素集約度
脱炭素化、脱炭素
罪深い株式(Sin stocks)
低炭素経済(Low-carbon economy)
デカップリング
テーマ投資(Thematic investing)
電子廃棄物
トゥルーフード(True Food)
統合報告書
都市生態学
都市農業
トランジション・イニシアチブ(Transition Initiative)
トランスペアレンシー・インターナショナル
トリプルボトムライン(Triple bottom line accounting)
トレーサビリティ

な行

人間環境宣言(ストックホルム宣言)
ネイチャーポジティブ
ネット・ゼロ(Net zero)
ノンバイナリー

は行

バーゼル条約(Basel Convention)
バーチャルウォーター
パーマカルチャー
バイオ燃料
バイオプラスチック
バイオミミクリー
ハザードマップ
パッシブデザイン
パッシブ運用・アクティブ運用
ハラルフード
パリ協定(Paris Agreement)
パンセクシャル
ビジネスと人権に関する指導原則
ファイトマイニング
ファイトレメディエーション
フィルターバブル
フード セキュリティ
フード ファディズム
フェアトレード(Fair Trade)
プラスチックフリー
ブルーエコノミー
ブルーカーボン
ブルーサイン(Blue sign)
ブレイン ストーミング
フレキシタリアン
ブロックチェーン
紛争鉱物RMI
ベーシックインカム
ベスト・イン・クラス(Best-in-class)
ヘドニスティック サステナビリティ
ヘルス リテラシー
ポストワークエコノミー
ボディシェイミング
ボディポジティブ

ま行

マイクロアグレッション
マイクロファイナンス(Microfinance)
マイクロプラスチック
マテリアリティ (シングルマテリアリティ ダブルマテリアリティ)
マテリアルリサイクル
マンスプレイニング
マンスプレッディング
ムーンショット構想力
モスコウィッツ賞(Moskowitz Research Prize)
モントリオール・カーボン・プレッジ

や行

ヨハネスブルグ宣言
予防原則・予防的な取組方法・予防的措置

ら行

ラナプラザ崩壊事故
リジェネラティブ農業

わ行

ワシントン条約(CITES)

A-Z

AA1000
Access to Medicine Index
B Corporation(Bコーポレーション)
BSCI
BSR(Business for Social Responsibility)
CDP
CONTEXT(コンテクスト)
COP
CSRD/ESRS
CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)
ECHA(European Chemicals Agency)
Equileap
ESGファンドの格付け
GRI
GX
Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)
IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告委員会)
ILO(International Labour Organization:国際労働機関)
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)
ISCC認証
ISO26000
ISS(Institutional Shareholder Service) ESG
JI(共同実施
LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)
Net Impact
NZAOA
OECD多国籍企業行動指針
Pathfinder Framework /Pathfinder network
PFAS規制
PPP(Polluter-Pays Principle:汚染者負担原則)
PRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)
PUE(Power Usage Effectiveness)
Race to Zero
REACH規則(リーチ規則)
ROESG
RoHS指令(ローズ指令)
SA8000
SAF
SBTi/SBT
SBTN
SDGs(Sustinable Development Goals:国連持続可能な開発目標)
SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)
Sustainable Brand Index
SustainEx(サステネックス)
TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures::気候関連財務情報開示タスクフォース)
TNFD
UNGC(United Nation Global Conpact:国連グローバル・コンパクト)
WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)
WBCSD PACT
WEEE指令
XPANSIV
ZEH

その他

2℃(2 degrees)
3R

用語集

アクティブ・オーナーシップ(Active ownership)

アクティブ・オーナーシップとは、株主としての権利を積極的に行使し、投資先企業においてサステナブルな企業運営がなされるよう企業行動に影響を与えることです。企業への影響を与えるために、主に株主総会における議決権行使と、投資先へのエンゲージメントの2つの手法があります。企業への積極的な権利の行使は、投資資産の価値を守り、さらには株主、投資先企業、環境、社会にとって持続的な価値をもたらすと考えられています。

アップサイクル

アップサイクルとは、本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせることです。このシステムは、常に新しい素材から新しい製品を生み出すのではなく、すでにあるものを利用することに依存しているため、より持続可能です。耐用年数を越えたソーラーパネルをテーブルとして利用したり、擦り切れたタイヤをカバンに作り変えたりと、アップサイクルは、さまざまな業界で注目されています。

移行リスク(Transition risk)

移行リスクとは低炭素経済への移行に伴う技術革新や政策変更などにより生じる、企業等の事業上および財務上のリスクのことを指します。TCFD提言によると移行リスクは主に「法や規制に関するリスク」・「テクノロジーリスク」・「市場リスク」・「レピュテーションリスク」の4つに分類されます。
「法や規制に関するリスク」はカーボンプライシング、環境負荷の大きい製品や手法への法的規制や、環境負荷の低い手法導入の義務化、製品による環境的不利益を被った消費者からの訴訟などが挙げられます。
「テクノロジーリスク」は、再生可能エネルギーによる発電や、炭素回収プラントなど、エネルギーに関する新技術に乗り遅れることが挙げられます。
「市場リスク」は、低炭素社会の移行に伴い、既存サービスや製品の需要減少が挙げられます。
「レピュテーションリスク」は、消費者からの不買運動や、環境対応の遅れや不祥事などに起因する株式や企業価値の下落が含まれます。

伊藤レポート

伊藤レポートとは、一橋大学大学院商学研究科の伊藤邦雄教授を座長とする経済産業省のプロジェクトによる最終報告書「持続的成長への競争力とインセンティブ―企業と投資家の望ましい関係構築」のことで、2014年8月に公表されました。金融危機の反省から欧米で短期主義的な投資の是正やコーポレートガバナンスの強化が積極的に議論されたことを背景に、日本においても、企業の中長期にわたる価値創造を支援するべくこのプロジェクトが始まりました。本レポートは、企業が投資家との対話を通じて持続的成長に向けた資金を獲得し、企業価値を高めていくための課題を分析し、提言を行っています。2017年10月には、アップデート版にあたる「伊藤レポート2.0」が公開されました。
関連ワード:ROESG

インクルーシブ・ビジネス(Inclusive Business)

インクルーシブ・ビジネスは、2005年にWBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)によって唱えられた概念で、ビジネスのバリューチェーンの中に地域社会で暮らす人々(主に貧困層)を消費者、顧客、取引先、起業家などとして巻き込み(インクルードし)ながら、事業の発展だけではなく雇用の創造や所得水準の上昇などを通じてコミュニティ全体の発展を図るビジネスの手法のことを指します。主に発展途上国におけるBOP(Base of the Pyramid)層と呼ばれる低所得者層を対象としたビジネスにおいて用いられます。

ウォーターフットプリント

ウォーターフットプリントとは、モノやサービスを消費する過程で使用された水の総量を図る概念です。これを使えば、日本が輸入し、消費している産品の製品が、水環境にどのような負荷を与えているのか、その概要を把握することも可能になります。ウォーターフットプリントは、環境負荷を削減するため、原材料の栽培・生産から製造、加工、輸送、消費、廃棄、リサイクルといった商品のライフサイクルを包括的に捉え、定量的な評価ができるよう開発されています。

エクエーター原則・赤道原則

エクエーター原則(赤道原則)とは、大規模プロジェクトに対する融資の際、環境・社会リスクを評価・管理するための金融業界による自主的ガイドラインです。石油・ガス開発やダム建設などの大規模プロジェクトによって、地域社会での生活が脅かされている状況を受け、ABNアムロ、米シティバンク、英バークレイズ、ドイツのウェストエルビーの4行がガイドラインを作成しました。本原則を採択している金融機関(EPFI)は、2023年6月現在、38カ国148です。本原則は10の原則から構成されており、EPFIによる融資予定先企業に対するアセスメントの実施や、ステークホルダー・エンゲージメントの実施の要求、ステークホルダーからの苦情処理のためのメカニズムの構築などが義務化されています。

エコファンド

エコファンドとは、特定の環境テーマに関連する銘柄のみを選定して投資を行うファンドです。ESG投資や社会的責任投資(SRI)の一環であり、その中でも「サステナビリティテーマ投資」に含まれます。1990年代初めに欧米で環境意識が高まったことで誕生した「グリーンファンド」を受け、日本では1999年にローンチされた「日興エコファンド」が第1号となりました。日興エコファンドは、発売以降の4ヶ月で1,000億円もの投資が集まりましたが、資パフォーマンスが思わしくないことから、その人気は下降しました。現在では、環境・社会的インパクトと投資リターンの同時追求を掲げるESG投資が主流です。

エシカル(Ethical)

エシカルとは、英語圏で環境や社会に配慮していることを指す形容詞です。元々は「倫理的な」「道徳上の」という意味を持ちます。児童労働問題や低賃金による労働搾取、環境破壊などが危機に迫る中、倫理的な企業活動・消費活動の重要性が高まり、「エシカル」に新しい意味づけがなされました。自然環境への負担が少ないオーガニック素材や天然・リサイクル素材を使用した商品、動物実験を実施していない商品、フェアトレード商品などがエシカルとして表されます。特に、「エシカルファッション」は、多くのファッションブランドをはじめ、消費者までが注目し取り組みを進めるテーマです。

エシカル・コーポレーション(Ethical Corporation)

エシカル・コーポレーション(Ethical Corporation)は、企業の持続可能性と社会的責任を推進するための情報提供やイベント開催を行う国際的なメディア企業です。同社は、ビジネスと持続可能性の分野で専門的な情報やインサイトを提供し、企業や組織が社会的な環境負荷を減らし、倫理的な事業活動を促進することを支援しています。また、持続可能性に関連する業界のリーダーや専門家が集まるイベントやカンファレンスも主催しており、知識共有とネットワーキングの機会を提供しています。同社の目的は、ビジネスが利益を追求するだけでなく、地球と社会の課題に対処し、長期的な社会的・環境的な利益を追求することを促進することです。

エシカル消費(Ethical Consumption)

エシカル消費とは、市場において消費者が、製品の積極的な原則や環境への影響、その製品がどこから来たのか、どのように生産されたのかに基づいて選択する一連の購買倫理です。エシカル消費をおこなう消費者のことは「エシカルコンシューマー」(Ethical Consumer)と呼ばれます。エシカル消費は、英国から始まったと言われており、エシカル消費に関するしっかりとした基準が設けられています。

エシカルファッション(Ethical Fashion)

エシカルファッションとは、環境と社会に配慮した方法で生産された衣類やアクセサリーを指す言葉です。エシカルファッションは、環境への影響を最小限に抑えながら、人々や地域社会に配慮することを目的としています。また、エシカルファッションは、人権、動物愛護、企業活動にも配慮しています。エシカルファッションは、透明性や説明責任を欠く大量生産の衣料品に代わるものです。競争が激しいファッション業界では、生産段階で2013年にバングラデシュでおこったラナ・プラザ崩落事故に代表される工場の強制労働や、製造過程で使用する化学薬品による環境破壊などが、世界的な問題となっています。こうした問題に対し「環境・社会問題を引き起こさない、むしろ解決策となる倫理的なファッションを」という意識が1990年代からファッション業界関係者、消費者の中で高まり、エシカルファッションという言葉が広まりました。

エンゲージメント

エンゲージメントとは、ESG投資において株主と企業経営者との対話を指します。「公式に何かを行う約束ごと」「深いつながりを持った関係性」という意味を持つ英単語から派生して、ESG投資の分野で用いられるようになりました。ESG投資を行う機関投資家や資産家が投資先企業における環境・社会問題への対応の改善を図るため、株主総会などで建設的な対話を行います。欧米ではESG投資手法の1つとして頻繁に利用されており、日本でも2014年に金融庁が日本版スチュワードシップ・コードを公表しエンゲージメントが促進されています。対話を行った後、投資家が企業価値は向上してないと判断すれば、株式を売却することもあり得ます。

エンティティリスト

エンティティリストは、米国商務省産業安全保障局(BIS)が公表する貿易制限リストで、特定の外国人、事業体、政府で構成されます。エンティティリストは、特定かつ明確な事実に基づき、当該事業体が米国の国家安全保障または外交政策の利益に反する活動に関与している、または関与する重大な危険をもたらすと信じるに足る理由がある事業体を識別します。

カーボンオフセット

カーボンオフセットとは、人為的な活動や日々の生活などから排出された温室効果ガス(GHG)のうち、削減が難しい量の全部または一部を排出権購入などで、オフセット(埋め合わせ)する仕組みです。国際的に2050年までに2010年比で40〜70%の排出量削減を行う必要性が掲げられて以降、世界全体では自らの排出量の認識・削減の努力が求められるようになりました。その取り組みの中で、どうしても削減が困難な部分については、クレジットの購入や植林・森林保護などでの炭素固定や再生エネルギー事業を行うことで埋め合わせることができます。環境省・経済産業省・農林水産省は、2013年度以降、カーボンオフセットの信頼性を高めるため、国内における排出削減活動や森林経営によって生じた削減量を認証する「J-クレジット制度」を運営しています。

カーボンニュートラル・カーボンネガティブ・気候ポジティブ

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス(GHG)排出量と吸収量の総和をゼロにすることを指します。「GHGネット排出量ゼロ」と同義です。GHGは移出量を完全にゼロとしたり、排出量相当分を待機中から除去する手法を組み合わせたりして、カーボンニュートラルの達成を目指します。また、GHG吸収量を十分に確保できない場合、排出権購入によって、自らの排出量を削減したとみなすカーボンオフセットもカーボンニュートラルの手段として認められています。
カーボンネガティブとは、GHG吸収量が排出量を上回っている状態を指します。カーボンニュートラルの状態よりもさらに吸収量を増加させることで、ネット排出量をマイナス(ネガティブ)にします。
気候ポジティブとは、カーボンネガティブと同義です。カーボンネガティブの状態は気候変動の緩和において望ましい状態であることから、「ポジティブ」という単語が用いられています。

カーボンフットプリント

カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料の調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。企業や消費者が排出するCO2を「見える化」することで、事業者がサプライチェーンを構成する企業間で協力して更なるCO2排出量削減を推進することや、消費者がより低炭素な消費生活へ自ら変革していくことを目指しています。カーボンフットプリントが企業活動や消費活と排出削減を結び付け、低炭素社会の実現につながると期待されています。

カーボンプライシング

カーボンプライシングとは、気候変動の主因である企業などの排出するCO2(カーボン、炭素)に価格をつけ、排出者の行動を変化させるために導入する政策手法です。具体的な制度は、「明示的CP」と「暗示的CP」に分類されます。このうち明示的CPは排出される炭素量に直接的に値付けする点が特徴です。一般的に政府によって行われるカーボンプライシングとして①炭素税②「排出量取引制度」③「クレジット取引」などが挙げられます。その他、「石油石炭税」や法律による規制なども該当します。

カーボンリサイクル

カーボンリサイクルとは、工場や発電所などで排出されるCO₂を資源と捉え、素材や燃料などに再利用することで、大気中へのCO₂排出を抑えることです。質量保存の法則により、地球外の宇宙空間にCO2を捨ててしまわない限り、地球に存在するCO2の全体量は変化しませんが、カーボンリサイクルの技術があれば、大気中のCO2を減らすことができます。経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、カーボンリサイクルは、カーボンニュートラル社会を実現するためのキーテクノロジーとして、重要分野の一つに位置づけられています。

カーボンVaR

カーボンVaRは、企業の温室効果ガス(GHG)排出量やエネルギー消費量などのカーボンリスクを評価し、気候変動による経済的な損失を予測するための指標です。カーボンVaRの計算には、企業の過去のGHG排出量やエネルギー消費量、気候シナリオなどが含まれます。これにより、将来の気候変動による影響をシミュレーションし、リスクを定量化することが可能となります。カーボンVaRの導入により、気候変動に対するリスクへの対応や持続可能な戦略の策定がより効果的に行われることが期待されています。

科学的根拠に基づく削減目標(Science-based targets)

パリ協定が求める水準と整合した、5〜15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです。
CDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が2014年9月に設立したイニシアティブ(SBTイニシアティブ)によって提唱されました。SBTiはSBTを「企業による温室効果ガスの削減目標が、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書に記述されているように、地球の気温上昇を産業革命前の気温と比べて、2℃未満にするために必要な脱炭素化のレベルと一致している場合に、それらの目標は「科学と整合した」もとのみなされる」と定義しています。

価値協創ガイダンス2.0

価値協創ガイダンス2.0とは、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けた経営の強化や効果的な情報開示、建設的な対話を行うためのフレームワークです。SXとは、社会と企業のサステナビリティをともに実現すること、そのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を指します。本ガイダンスは、経済産業省が公表した「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」を踏まえ、SXの実現に向けた長期経営や対話を具体的に落とし込んでいくための実践編として位置づけられています。本ガイダンスでは、SXの意義が明示され、持続可能な社会の実現に向けて企業が長期的かつ持続的に価値を提供することの重要性と、対応の方向性を明記しています。

株主アクティビズム(Shareholder activism)

株主アクティビズムとは、投資家が株主の権利によって積極的に企業の変化を促すエンゲージメントの形態です。日本では、企業の経営陣と投資家とのエンゲージメントを呼びかける日本版スチュワードシップ・コードが導入されて以降、徐々に株主アクティビズムは活発化してきました。国内外のアクティビストが経営陣と提携し、不採算事業を切り離すなど、大胆な経営改革を行う事例がしばしば見られます。

環境税

環境税とは、環境負荷の抑制を目的として設けられた税を指します。環境負荷がかかる活動に対しては税金の負担が重くなり、反対に環境保全に貢献するものへは免税・減税がなされます。この仕組みにより、社会の行動パターンを環境への負荷が相対的に小さいものへと転換させ、地球温暖化の防止やエネルギー消費の抑制などを図っています。日本では、2011年に「地球温暖化対策税」の導入が決定し、全化石燃料に対して二酸化炭素排出量に応じた税率が上乗せされることになりました。日本の税率は諸外国に比べて著しく低い特徴があり、環境省は税率を段階的に引き上げていくことを検討しています。

環境と開発に関するリオ宣言(リオ宣言)

環境と開発に関するリオ宣言は、1992年6月3日から14日にかけて開催された国連環境開発会議で採択された宣言です。省略して「リオ宣言」とも呼ばれ、27原則で構成されています。1972年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)で採択された「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」を再確認するとともに、新しい公平な地球的規模のパートナーシップを構築することを目標としており、先進国と発展途上国の双方が、持続可能な開発と地球環境の保全に関して「共通だが差異ある責任」を有することを明示的に表現しています。また、同宣言を確実に履行するために、国連環境開発会議の場で「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」「森林原則声明」「アジェンダ21」も採択されました。

環境配慮型商品

環境配慮型製品とは、環境破壊を最小限にとどめ、その生産がライフサイクルを通じて環境に与えうる影響を考慮した形で構成された製品開発プロセスと連動している市場志向の製品です。従来、製品開発(PD)は、品質、コスト、時間の目標達成に重点を置き、環境側面は間接的にしか考慮されていませんでした。しかし、現在の社会生態学的状況を考慮すると、PDに環境リスクを考慮することが急務であり業を通じて環境リスクを低減する手段として注目されています。

議決権行使助言会社

議決権行使助言会社は、証券会社、投資信託、ヘッジファンド、年金基金などの機関投資家向けに委任状投票のアドバイスを提供しています。すべての株主と同様に、機関投資家も投資先企業の議案に投票することがよくあります。議案は、取締役会のメンバーの投票から重要なコーポレートアクションの承認まで、多岐にわたります。議決権行使助言会社は、株主総会における議決権を行使することで、投資先企業のガバナンス強化を図ったり、企業や産業の直面する課題解決を目指したり、深く経営に関与しています。上位2社による寡占状態にあり、その助言内容の透明性を求めたり、こうした企業を利用しない動きなども出てきています。

気候危機

気候危機とは、気候変動よりも緊急性を上げて使われるようになった言葉です。
近年急激に進行する気候変動に対して、一刻も早く対策を打たなければ手遅れになるという機運が高まっていることが影響しています。
英語では「Climate risk」「Climate crisis」「Climate emergency(気候非常事態)」などと呼ばれます。IPCCの報告書によれば、2040年には現在よりも1.5℃温度があがるとされており、国際的な危機感が高まっています。

気温上昇予測ダッシュボード

気温上昇ダッシュボードとは、シュローダーが気候変動に対処するために世界の政策立案者や企業が実施する対策の変化から示唆される長期的な気温上昇予測を客観的に示す指標として、2017年に開発しました。
本ツールは、政策目標から再生可能エネルギー容量に至るまで幅広い領域を検証します。12の指標が含まれており、現状の取り組みでは、気温上昇は4℃近くになると予想されています。
本ツールは、目標達成にどの程度の変化が必要とされるのか、投資におけるリスクと投資機会はどこにあるのかを投資家が知る材料になります。

気候非常事態宣言

気候非常事態宣言とは、国や自治体、学校、団体といった組織が、気候変動が異常な状態であることを認め宣言を行うことです。また、気候変動緩和の積極的な政策を打ち出すことで市民や事業者の関心を高めることで気候変動への行動を加速させるものです。「気候危機宣言」と呼ばれることもあります。
オーストラリアのデアビン市が世界で初めて宣言を出しました。日本では2019年9月に長崎県壱岐市が初めて宣言を出して以来、毎年の各地で大規模な災害が発生しており各地で宣言されています。

気候変動

気候変動とは、長期間にわたる気候の変動・変化を指します。気候変動が起きる要因は、外部強制力と内部要因の2つに分けられます。前者はさらに自然的要因と人為的要因に分けられ人為的要因とは、人間の活動による化石燃料の燃焼や温室効果ガス(GHG)の増加が最たる例です。気候変動は、降水量減少などによる水資源賦存量の減少、気温上昇による作物生産量の減少、健康への悪影響などにつながるため、国際レベルでの対応が進められています。1995年から開催されている気候変動枠組助役加盟国による締約国会議(COP)、2016年に発効したパリ協定、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された政府間パネル(IPCC)などが 国際レベルでの対応の例です。

気候変動適応

気候変動適応とは、気候変動への対応方法の1つであり、現在または起こりうる気候変動とそれによる影響への適応を指します。システムの本質と完全性の維持を目的として行動する漸進的適応と、システムそれ自体の基本的な属性を変更する変容的行動の2つに分けられます。漸進的適応とは、灌漑システムの構築や家畜の数・耕作面積の削減、新しい作物品種の使用などが例として挙げられます。変容的行動の例としては、河川の再生や氾濫原での人間活動の移転が挙げられます。日本では、2018年6月に気候変動適応に関する初の法令として「気候変動適応法」が成立しました。これによって、地方公共団体や事業者には、温室効果ガス(GHG)の排出抑制を促進に向けた措置を講じる努力義務が課されています。

気候変動の物理的リスク(Physical risks of climate change)

「気候変動の物理的リスク」とは、気象災害が企業の供給、設備、サプライチェーン、運営、市場などの物理的資産に与える損害の可能性を指します。シュローダーの物理的リスク・フレームワークでは、地球温暖化や極端な気象によるリスクから、企業が資産を守るために必要なコストを評価しています。気候変動によるハリケーン、洪水、干ばつなどの影響は、事業活動に深刻な障害をもたらす可能性があり、企業はこれに備えるための投資や対策が求められます。

気候変動枠組条約(UNFCCC)

気候変動枠組条約(UNFCCC)とは、1992年6月3日から14にかけてリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された条約です。大気中の温室効果ガス(GHG)濃度の安定化という最終的な目標に向け、気候変動とそれによる影響を防止するための国際的な枠組みを定めています。会議会期中には、日本を含む155カ国が署名し、1994年3月に発効しました。同条約は、締約国に対して締約国会議(COP)で締結される条約で定められた義務を課しています。「温室効果ガスの排出及び吸収についての目録作成」「気候変動対策に向けた国別の計画策定」「締約国会議への目録と措置に関する情報の報告」の3つがその義務です。先進国に対してはさらに、気候変動防止策の制定、GHG排出量に関する情報の報告、途上国に対する資金供与・技術移転を義務付けています。2015年11月30日から12月13日にかけパリで開催された第21回締約国会議(COP21)/京都議定書第11回締約国会議(CMP11)では、パリ協定が採択されました。同協定では、世界共通の長期目標として、「産業革命前からの平均気温上昇を2°Cより十分に低く保ち、1.5°Cに抑える努力をする」「21世紀後半に世界のGHG排出をゼロにする」を掲げています。

キャップ・アンド・トレード

キャップ・アンド・トレードとはCO2排出量取引の手法の一つです。
排出量に上限(キャップ)を設定した分量を排出企業・事業に割り当て、余剰排出量や不足排出量を売買する仕組みのことを言います。
排出量に上限を付けることで、温室効果ガスの排出総量削減の効果があります。過不足を取引できるため、排出するCO2に価格がつき、排出業者のインセンティブも働くことで、より削減行動に結びつくことになります。
たとえば欧州では、各国がキャップ・アンド・トレード制度に基づく独自のルールを導入して排出量取引の市場を形成しています。また、米国では2006年にカリフォルニア州で、2007年頃から複数州の参加による2つの大きな取引制度が始まりました。他にも、カナダ、ニュージーランド、韓国、中国でも取り組みが行われており、日本においても2010年4月より東京都が都内の大規模事業者を対象に同制度が開始されました。

京都議定書

京都議定書とは、先進国の排出削減について法的拘束力のある数値目標などを定めた文書のことです。平成9年に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)において、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素(亜酸化窒素)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)及び六ふっ化硫黄(SF6)の6種類の温室効果ガスについて定められました。
京都議定書は平成17年2月16日に発効しました。京都議定書では、2年(1990年)の6種類の温室効果ガス総排出量を基準として、20年(2008年)~24年(2012年)の5年間に、先進国全体で少なくとも5%の削減を目指すこととされています。

クライメイトニュートラル(気候中立、Climate neutral)

クライメートニュートラルとは、すべての温室効果ガスの総排出量をゼロにすることを指します。二酸化炭素などのカーボンに焦点を当てる「カーボンニュートラル」に対し、「クライメートニュートラル」はメタンや一酸化窒素など、あらゆる温室効果ガスを対象とします。「排出量をゼロ」というのは、人や企業が活動の中で排出する温室効果ガスから、その吸収量や削減量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味します。削減が難しい分野や活動においては、残りの排出分を代替措置やその他の活動で相殺します。

グリーンウォッシング、グリーンウオッシュ

グリーンウォッシュとは、消費者等への訴求効果を狙い、企業やその商品・サービスなどがあたかも環境に配慮しているかのように見せかけることを指します。「whitewash(ごまかし、粉飾)」と「green(環境に配慮した)」を合わせて作られた造語です。
欧米では1960年代半ばから環境運動が始まり、人々の環境意識が高まりました。1970年代頃からは企業が自社の環境問題への対応をアピールする事例が増加し始めました。1980年代からは欧米の環境活動家がそのような企業活動を揶揄するために「グリーンウォッシング」という言葉を使い始め、1992年には国際的な環境保護団体グリーンピースが「グリーンウォッシュ」と題した著書を発刊し、世界中に言葉が浸透しました。

グリーンコンシューマー(Green Consumer)

グリーンコンシューマー(Green Consumer)とは、広義には環境に配慮した行動をする消費者を指します。彼らの行動の中には、必要なもの以外を買わない「不買・買い控え」、長く使える商品を優先して購入することや環境対策に積極的な販売店・メーカーを選ぶことなどが含まれています。日本におけるグリーンコンシューマーの認知は、1994年にグリーンコンシューマー・ネットワークが発売した『地球にやさしい買い物ガイド』によって進められたといわれています。この本では「グリーンコンシューマーの10原則」が掲げられ、グリーンコンシューマーになるための具体的な方法が説かれています。

グリーン水素・ブルー水素

グリーン水素とは、水を電気分解し、水素と酸素に還元することで生産される水素のことです。この水素を利用し、酸素を大気中に放出することで、環境への悪影響を与えずに水素を利用することができます。ブルー水素とは、天然ガスや石炭等の化石燃料を、蒸気メタン改質や自動熱分解などで水素と二酸化炭素に分解し、二酸化炭素を大気排出する前に回収する方法です。二酸化炭素を回収することで、グリーン水素と同様に、温室効果をゼロにすることができます。グリーン水素とブルー水素のどちらを優先的に扱うかは、コストの面で比較されることが多く、現状はグリーン水素の方が高価であることがわかっています。しかし、電気分解能力を大幅に増やせば、今後10年間で約70%のコストを削減できると予想されており、グリーン水素は2050年までに世界経済がネットゼロエミッションを達成し、世界の気温上昇を 1.5℃に抑えるために不可欠な要素になると見られています。

クリーンテクノロジー、クリーンテック

クリーンテクノロジーは、天然資源の使用量を減少させ、有害排出物や廃棄物を削減または取り除くことを目指す製品、サービス、プロセスの総称です。風力発電機や電気自動車などはその代表例であり、再生可能エネルギーや省エネルギー技術などがこれに含まれます。環境への負荷を軽減し、生態系の維持や改善に寄与します。

クリーンパワープラン(Clean Power Plan)

クリーンパワープランとは、2015年8月米国オバマ政権時、環境保護庁(EPA)が発表した電力事業者向けのCO2排出削減に関する政策です。本政策は、発電事業所におけるCO2排出量の2005年比32%削減を目標に掲げており、各州政府は目標達成に向けた対策を講じるよう義務付けられています。本政策はまた、発電所からの二酸化硫黄排出量の90%、窒素酸化物排出量の72%の削減も含まれています。本政策によって、国全体のC02排出量の約3分の1を占めていた石炭火力発電が大幅に削減されるとして、大きな注目を集めました。トランプ政権下では、雇用創出、エネルギー安全保障の強化、不要な環境規制による経済的負荷などの理由から、クリーンパワープランは廃止されていました。以後のバイデン政権でも、コロンビア特別連邦控訴裁判所が本政策を無効とする判断を示し、環境保護庁に差し戻しています。

グリーンピース

グリーンピースとは、1971年に設立された国際的な環境NGOです。オランダのアムステルダムに本部を置き、ヨーロッパをはじめアメリカ、アジア、アフリカ、太平洋地域で55カ国以上に連絡網を持っています。環境保護と平和を目標に掲げ、現在は280万人の個人サポーターを擁しています。自由な言動を担保するため、資金源は個人からの寄付及び財団からの助成金であり、政府や企業からの資金援助は受けていません。組織名は、1971年にアメリカの地下実験に反対を表明し、現場で抗議を行った人々が、環境を守る「グリーン」と反核・反戦・平和を意味する「ピース」を結びつけ「グリーンピース」と名乗ったことに由来します。活動の特徴として、共通するグローバルな問題に組織を挙げて対処するとともに、各国が直面している問題に対しては、それぞれの地域の人々の参加を促していることが挙げられます。本部が掲げる活動内容は6つで構成されています。:「エネルギー革命の触媒となる」「海を護る」「古代からの森林を保全する」「軍縮と平和に向けて取り組む」「汚染のない未来をつくる」「サステナブルな農業のために活動する」

グリーンビルディング

グリーンビルディングとは、エネルギーや水、空調設備などにより環境性能に優れた建物です。日本語では「環境配慮型建物」「環境にやさしい建物」、英語では「サステナブル・ビルディング」「ハイパフォーマンス・ビルディング」「グリーンアーキテクチャー」とも呼ばれます。建物からのC02排出量は総排出量の30%を占め、世界の飲料水の14%を消費していることから、少ないCO2排出量・水使用量で建築可能なグリーンビルディングが注目を浴びています。近年、環境性能だけでなく、建材のサステナビリティや人体の健康・ウェルビーイングへの配慮も目指されています。環境や社会への配慮がなされた不動産の支援として、グリーンビルディング認証制度があり、各地域で誕生しています。米国のLEEDや日本のCASBEE(建築環境総合性能評価システム)、中国のGBAS(緑色評価評文体系)などがその例です。日本では、一般社団法人グリーンビルディングジャパン(GBJ)が2013年に設立されて以降、認証取得件数が増加しています。2023年6月時点のCASBEE認証取得物件数は730件です。

グリーンボンド

グリーンボンドとは、環境改善効果をもたらすことを目的としたプロジェクトに要する資金を調達するために発行される債権のことを指します。
2014年1月のグリーンボンド原則(GBP)の公表で、定義が確立しました。
グリーンボンドは調達資金のすべてが、新規または既存の適格なグリーンプロジェクトの一部または全部の初期投資またはリファイナンスのみに充当されます。
また、GBPの4つの核となる要素(調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティング)に適合している様々な種類の債権と定義づけられています。

グリーンマーケティング

グリーンマーケティングとは、主に一般企業が消費者に対し、環境志向製品を消費者に買ってもらうための仕組みづくりのことを指します。具体的に、環境に配慮した商品開発、生態系の保護や資源の節約、エコロジーへの協賛キャンペーン、リサイクル運動などがあります。

経営陣への反対票(Vote against management)

「経営軍への反対票」とは、株主が企業の株主総会などで提案される議案に対して、「賛成」または「反対」の意志を示す投票のことです。企業の株主は、その所有権に基づいて経営方針や重要な意思決定に影響を与える権利を保有しています。運営軍への反対票は、企業ガバナンスの一環として、株主の監督機能を果たし、バランスを保つ重要な役割を果たしています。

原単位(Intensity)

「原単位(Intensity)」は、特定の生産物を生成するために必要な資源の使用量や排出量を示す概念です。これにより、生産の効率や持続可能性を評価できます。原単位の利用は、環境や資源の効果的な管理や、持続可能なビジネス戦略の策定に役立ちます。企業が原単位を計測し、改善策を導入することで、生産プロセスの効率化や環境への影響を最小限に抑えることが可能となります。

コーポレートガバナンス・コード

コーポレートガバナンス・コードとは、2015年に金融庁と東京証券取引所が共同事務局となって制定した上場企業の行動原則のことを指します。2018年に内容が一部改訂されました。
コーポレートガバナンス・コードは東京証券取引所が定める有価証券上場規定の一部となっており、5つの基本原則、31の原則、42の補充原則の計78原則から成り立っています。本コードは、基本原則を受け入れるか、受け入れない場合にはその理由を説明するという「コンプライン・オア・エクスプレイン」を採用しています。

国際人権規約(International Covenants on Human Rights)

国際人権規約は、人権に関する国際条約の総称です。世界人権宣言の内容を基礎として、これを条約化したものであり、人権諸条約の中で最も基本的かつ包括的なものです。社会権規約と自由権規約は、1966年の第21回国連総会において採択され、1976年に発効しました。日本は1979年に批准しました。
なお、社会権規約を国際人権A規約、自由権規約を国際人権B規約と呼ぶこともあります。

国際人権章典(International Bill of Human Rights)

国際人権章典とは、「世界人権宣言」「国際人権規約」の通称のことを指します。
世界人権宣言は、人権及び自由を尊重し確保するために、全ての人々や国が達成すべき共通の規範を定めており、市民的、政治的、経済的、社会的、そして文化的分野における多くの権利を対象としています。前文と本文30条からなっています。
国際人権規約は人権に関する国際条約の総称です。世界人権宣言の内容を基礎として、これを条約化したものであり、人権諸条約の中で最も基本的かつ包括的なものです。

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベルとは、原料の生産から、輸出入、過酷、製造工程を経て完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルのことを指します。また本ラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。国際フェアトレード認証ラベルの基準では、以下を守ることが求められます。
・生産者への適正な価格と長期的な取引
・生産者の社会的・経済的な発展
・生産物の品質と技術の向上
・生産者の労働環境と労働条件(強制労働と児童労働の禁止)
・生産地の環境保全(農薬使用、水質、森林、土壌の保全、廃棄物の扱いに関し国際規約を遵守)

国連環境開発会議(地球サミット)

国連環境開発会議(UNCED)とは、1992年6月3日から14日にブラジルのリオデジャネイロで開催された環境と開発をテーマにした国連会議のことを指します。
1970年代始め頃から人間環境について様々な決定がなされるようになり、その後、オゾン層の破壊、地球温暖化、熱帯林の破壊や生物の多様性の喪失など地球環境問題が極めて深刻化し、世界的規模での早急な対策の必要性が指摘されたことで、開催に至りました。
会議には、172カ国及びEC、その他多数の国際機関、NGO代表などが参加しました。
同会議では、前文と27原則で構成される「リオ宣言」が採択され、持続可能な開発に向け、地球規模のパートナーシップの構築を目指すことが定められました。
リオ宣言を具体的に実施するためのルールとして、「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」「森林原則声明」「アジェンダ21」も採択されました。

コーズマーケティング(Cause Marketing)

コーズマーケティングは、特定の商品やサービスの購入が環境保護や社会貢献に関連する寄付などにつながることを強調し、消費者に訴求する手法です。通常の寄付との違いは、顧客に対して社会貢献だけでなく、売上と利益の増加を追求する点で、マーケティングと広報の領域で企業のCSR活動の一環として活用されます。企業は選んだ社会的な課題に対する寄付や貢献を強調することで、消費者に持続可能な価値と意義を提供し、共に社会に対する影響を創出することを目指します。

コミュニティ投資(Community Investment)

コミュニティ投資とは、地域社会の活性化を目的とする投資のことを指します。
金融機関の融資を受けにくい低所得者層や地域に根ざした中小企業へ資金供給し、経済的支援を行うことで、地域社会の開発や課題解決へ貢献するインパクト投資の一種です。
主に、財団、NGO、銀行、信用協同組合、貸付基金、マイクロファイナンス機関等を通じて行われます。支援組織として、国内ではNPOバンクやマイクロ投資ファンド、クラウドファンディングなどが挙げられます。

昆虫食

昆虫食とは、昆虫を炒めたり、パウダーにすることでクッキーに混ぜたり、お酒に入れたりすることで、食べられる状態にしたものを指します。
2013年、国連の食糧農業機関(FAO)が「世界の食料危機の解決に、栄養価が高い昆虫類を推奨する」という報告書を発表したことで注目を浴びました。同報告書によると、全世界で約20億人が1900種類を超える昆虫を食べています。
地球規模の人口増加と、それにともなう食料不足の懸念から、昆虫食には期待が寄せられています。
昆虫食のメリットには、栄養価の高さ、環境への負担が少ないこと、低コストでの生産などが挙げられます。一方でデメリットとして、アレルギーリスクや公衆衛生上のリスクが挙げられます。

再生可能エネルギー(Renewable energy)

再生可能エネルギーとは、自然から得られ、繰り返し利用できるエネルギーです。再生可能エネルギーは、エネルギー源が枯渇する可能性がない上、火力発電のようにGHGを排出しないことから、環境にやさしいエネルギー源として重要視されています。また、再生可能エネルギーは国産のエネルギー源であるため、エネルギー自給率が10%を切っている日本にとって有望です。2009年に制定された「エネルギー供給高度化法」では、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱その他の自然界に存在する熱」「バイオマス」の7つが再生可能エネルギーとして指定されています。

サーキュラーエコノミー

「サーキュラーエコノミー」は、資源の持続的な活用を重視し、廃棄物や浪費を最小限に抑える経済モデルです。このアプローチでは、製品のライフサイクルを延ばし、修理・再利用・リサイクルなどの方法で材料や部品を再利用することを重要視します。従来の線形経済モデルと異なり、製品の生産から使用、廃棄までのライフサイクルを考慮し、資源循環を最大化することを目指します。

座礁資産(Stranded Asset)

座礁資産とは、市場環境や社会環境の激変によって価値が毀損する資産です。近年、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料資産が座礁資産に当たるとされています。地球温暖化が深刻化する中、CO2排出量の削減によって活用できなくなると、資産価値が大きく下がることが予想されるためです。IEA(国際エネルギー機関)によると、CO2の回収・貯蔵技術(CCS)が普及しない場合、今後、世界中に存在する化石燃料の3分の1しか燃料できず、残りは座礁資産になると言われています。また、日本においては、政策改変が行われない限り、再生エネルギーの出現によって、710億ドル(約7兆7千億円)が座礁資産となるリスクが指摘されています。

サステナビリティ(持続可能性、Sustainability)

サステナビリティは、持続可能な社会や環境を実現するために、長期的な視点で価値を向上させるための取り組を指します。組織や国が変化する課題に適応し、責任を果たすことに焦点を当て、これによってステークホルダーとの信頼関係を築きます。企業や国が持続可能なビジネスモデルを確立し、環境への配慮や社会的な公正を重視することで、より繁栄する未来を構築する概念です。

サステナビリティ会計基準審議会(SASB、Sustainability Accounting Standards Boards)

サステナビリティ会計基準審議会(SASB、Sustainability Accounting Standards Boards)とは、サステナビリティに関する開示基準策定のため2011年に発足した非営利団体です。中長期的な企業の情報開示の質向上に貢献することを理念に掲げ活動しています。2018年11月、ESG情報開示枠組みである「SASBスタンダード」を発表し、現在世界で広く利用されています。SASBスタンダードは、11セクター77業種それぞれについて、企業の財務パフォーマンスに影響を与える可能性の高いサステナビリティ課題を特定しているのが特徴です。企業のサステナビリティを分析する視点として、「環境」「社会資本」「人的資本」「ビジネスモデルとイノベーション」「リーダーシップとガバナンス」の5領域と、それらに関係する26の課題カテゴリーを設定しています。SASBスタンダードが規定する開示項目と指標は、課題カテゴリーに紐づいているため、企業の情報開示の負担を減らすことができます。

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは、企業と社会のサステナビリティを重視した経営への転換です。日本では2020年8月、経済産業省主体の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」で提唱されて以来、企業価値の維持・向上に寄与する戦略指針として注目を集めています。SXの実現には、企業の戦略的取り組みの視点だけにとどまらず、投資家との対話(エンゲージメント)のあり方も変革する必要があります。

サステナビリティ報告書

サステナビリティ報告書とは、ステークホルダー向けに企業の社会的な取り組みをまとめた報告書です。2000年代以降、企業の社会的責任が問われ始めたことを受け、2003年に多くの企業がCSRについての情報開示をスタートしました。この情報開示のためにCSRレポートが作成され、現在はサステナビリティ報告書として発行する企業が増加しています。サステナビリティ報告書の作成・公開によって、自社の透明性のアピールや、信頼性の向上などにつながります。情報開示の際、世界的に利用されているガイドラインとして、GRIスタンダードが挙げられますが、企業によって構成や内容は異なっているのが現状です。

サステナビリティボンド

サステナビリティボンドとは、調達資金全てがグリーンプロジェクトやソーシャルプロジェクトの初期投資またはリファイナンスのみに充当され、かつ、GBP(または環境省策定のグリーンボンドガイドライン)と「ソーシャルボンド原則」(または金融庁策定のソーシャルボンドガイドライン)いずれか一方または両方の4つの核となる要素に適合する債権です。国際的には、「サステナビリティボンドガイドライン」が2017年に策定されて以来、発行が増加しています。グリーンプロジェクトを資金使途の対象として含むサステナビリティボンドは、グリーンボンドと同様のメリットがあり、グリーンプロジェクトに民間資金を導入するための有効なツールの一つです。

サステナビリティ要因(Sustainability factors)

サステナビリティ要因とは、経済的、社会的、環境的な側面から長期的な投資価値に影響を及ぼす可能性のある様々な要因を指します。これには、企業や組織の持続可能性に関連するさまざまな要素が含まれます。具体的には、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素(ESG要因)が含まれます。サステナビリティ要因の考慮により、リスクの軽減や機会の発見が可能となり、長期的な価値向上に寄与することが期待されています。

サステナビリティリスク(Sustainability risk)

サステナビリティリスクとは、長期的な投資価値や企業活動に悪影響を与える可能性のある変化・事象です。サステナビリティリスクには、気候変動や自然災害などの環境リスクや、人権問題などの社会リスクが含まれます。これらのリスクが生じる要因として、人口増加や気候変動の進行、資源枯渇など地球規模における構造的な変化が考えられます。サステナビリティリスクは今後も企業活動の停滞を招くことが想定されるため、企業にはそれらに対応できるリスク管理(サステナビリティリスク・マネジメント)が求められています。

サステナブル シーフード

サスティナブルシーフードとは、持続可能な漁業や方法で加工された魚介類のことを指します。持続可能な漁業では、希少種や海洋の汚染がない手法を用いているので、生態系の破壊などのリスクを低減します。サスティナブルシーフードには、2種類の認証制度(MSC認証とASC認証)があります。MSC認証は、天然の魚介類の獲得に際して、海洋資源に配慮をしているものに与えられるのに対し、ASC認証は、養殖の魚介類に対して与えられています。

サステナブル ツーリズム

サスティナブツーリズムとは、持続可能な観光の意味で観光地の資源や環境を保全することを指します。具体的には、観光地で農業体験をしたり、自然体験をしたり、観光地を新たに開発して汚染するのではなくそのままの資源を活用する観光の仕方があります。また、宿泊施設の廃棄物やアメニティの削減もサステナブルツーリズムの一環として進んでいます。

サステナブル投資(Sustainable investing)

サステナブル投資とは、ESG投資とほぼ同義であり、企業のサステナビリティに注目して投資判断を行うことを指します。ESG投資と同様に企業の中長期的な成長とサステナビリティへの影響を考慮して価値創造への実現について考慮します。また、サスティナブル投資には、企業活動を統合的に判断するパターンと、スクリーニングによりふるい分けるパターンがあります。

サブスクリプションエコノミー

サブスクリプションエコノミーとは、製品を購入するのではなく一定期間リースするなど所有しない仕組みのことを指します。大量消費型の経済では、製品の使用や廃棄が問題となりプロダクトエコノミーと呼ばれています。サブスクリプションエコノミーでは、製品を何度もことなるユーザーにより使用していくので、リユースが広がり環境への負荷を低減できます。また、製品もライフサイクルを長くすることや耐久性がこれまで以上に求められるようになります。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)

サプライチェーン・マネジメントとは、製品の調達、製造、販売、廃棄までの一連の流れを管理することを指します。サプライチェーンが注目されるようになったのは、経済のグローバル化で複雑化した背景があります。サプライチェーンの管理が問われるのは、コスト面からでしたが、現在では環境や人権課題にも考慮したサプライチェーン・マネジメントが求めれています。

シェアリングエコノミー(共有型経済)

シェアリングエコノミー(共有型経済)とは、一般の消費者が保有するモノや場所、スキルなどをインターネット上のプラットフォームを介して貸し出す経済の仕組み・サービスです。具体的には、ライドシェアやフリマアプリ、民泊などが挙げられます。大きな企業が消費者に対してモノ・サービスを提供するのではなく、消費者同士が取引を行うCtoCのビジネスモデルが多い点が特徴です。シェリングエコノミー自体は、2000年代後半、「Airbnb」「Uber」などを起点にアメリカで生まれました。日本では、2012年頃から参入する企業が増加しました。ゴミの減少や生産抑制、環境負荷の低減につながるといったメリットがあることから、その市場規模は拡大しています。似た概念としてサブスクリプションサービスが挙げられますが、これは消費者が企業に継続的に定額の利用料金を払う形態です。必要時に利用しその都度料金を支払うシェアリングエコノミーとは異なります。

シェアブロッキング(Share blocking)

シェアブロッキングとは、株主総会より前に株式の売買に制限を加え、議決権行使をさせないようにすることです。日本以外の国で行われることもあります。

ジェンダーペイギャップ(男女の賃金格差、Gender pay gap)

ジェンダーペイギャップとは、男女間での賃金や報酬の不平等など、経済的な分野における性別に基づく格差を指します。これは女性が同じ職務や能力を持っているにも関わらず、男性よりも低い賃金を受けている場合や、女性が昇進の機会を得ることが難しい場合などに現れることがあります。
ジェンダーペイギャップの解消に向けては、法律や政策の導入、職場文化の改善、意識の啓発などが行われています。さらに、男女同一賃金の原則を尊重することや、女性のキャリア支援を強化することも重要です。

社会的要因(Social factors)

社会的要因とは、企業活動に与える影響のうち環境以外の、地域社会、サプライヤー、従業員、顧客、コミュニティ、政府、規制当局との関わり方に関するものです。ESGのSの部分に該当するもので、企業のサステナビリティにとっても重要な側面であり、環境同様の取り組みが求められています。

女性管理職比率

女性管理職比率とは、企業などの組織における女性の管理職がどの程度着任しているかを示した比率です。日本は世界と比較して女性の管理職比率が高くなく、13%程度(2023年当時)となっており社会課題になっています。日本では、女性活躍推進法が施行されましたが効果はまだ表れていない状況です。投資家の間でも、女性管理職比率は企業評価の指標として位置づけられており、サステナビリティ評価においても重要です。

人的資本可視化指針

人的資本可視化指針とは、人的資本に関する資本市場への情報開示のあり方を中心に、既存の基準やガイドラインの活用方法などについてまとめられた手引きです。2022年8月、内閣官房の非財務情報可視化研究会によって公表されました。近年、企業の人材戦略に関して、投資家からの期待は高まっています。これを受け、指針では、自社の経営戦略・人的資本への投資や人材戦略の関係性を描き、それに沿って指標と目標を開示することを企業に推奨しています。また、有価証券報告書のサステナビリティ情報への対応についても記載されています。

スクリーニング(Screening)

スクリーニングとは、運用会社やアセット・オーナーが、 あらかじめ設定された基準・フィルタに基づき企業を選別する投資手法のことを指します。
投資家の優先順位、価値観、倫理に基づき、潜在的な投資リストにフィルタを適用し、投資対象としての可否を判断します。
ネガティブ・スクリーニングでは、好ましくない活動や業種に関わることを理由に、特定の企業を除外します。
ポジティブ・スクリーニング(ベスト・イン・クラス投資)では、サステナビリティの実践や実績の面で同業他社をリードしている企業を組み入れます。

スコープ1の排出量(Scope 1 emissions)

スコープ1の排出量とは、サプライチェーン上のGHG排出量を測定する際に、用いられる排出量計測の考え方です。業務用車両やなど自社での燃料使用など燃料の使⽤、⼯業プロセスでの排出などの「直接的な排出」のことを指します。具体的には、自社で燃焼した都市ガス、LPガス、A重油、軽油、灯油、ガソリンなどが主な排出源として挙げられます。

スコープ2の排出量(Scope 2 emissions)

スコープ2の排出量とは、スコープ1と同様にサプライチェーンのGHG排出量を測定する際の考え方です。企業オフィスや工場などで使用される電気・熱等のエネルギーの使用に伴う電力排出や、他社で⽣産されたエネルギーの使⽤などの「間接的な排出」のことを指します。具体的には、自社が購入して使用した電気、熱、冷水、蒸気などが主な排出源となります。

スコープ3の排出量( Scope 3 emissions )

スコープ3の排出量とは、サプライチェーン排出量のうち、Scope1とScope2以外の「間接的な排出」のことを指します。原料調達・物流・販売などで発生する自社の事業活動に関連した他社の排出(間接排出)を示します。
具体的には、従業員が通勤で使用する交通機関からの排出など、事業者が所有・管理をしていないが、事業者のサプライチェーンに間接的に影響を与える発生源からの間接的な排出が該当します。

スチュワードシップ・コード(日本版スチュワードシップ・コード)

スチュワードシップ(責任ある機関投資家の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫)とは、機関投資家が実施することが求められる行動原則のことを指します。2014年2月、金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」によって策定され、その後、2017年5月、2020年3月に2度の改訂がなされました。同コードにおける「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が投資先企業やその事業環境等を理解し建設的な「目的をもった対話」(エンゲージメント)を通じて、持続可能な成長を促しながら「顧客・受益者」が得る中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味します。スチュワードシップ・コードは原則主義(プリンシプルベースアプローチ)のため、機関投資家が原則を受け入れるかどうかは、「コンプライ・オア・エクスプレイン」ベースです。

スチュワードシップ(Stewardship)

スチュワードシップとは、財産管理を任された者が果たすべき責務のことを指します。
顧客の資産を運用するにあたり、長期的かつ持続的に価値を生み出せるよう、投資先企業の責任ある資本配分や管理、監督に積極的に影響を与えることです。
投資信託委託会社、投資顧問会社などの機関投資家が委託された資産を運用管理するにあたっての受託者責任とも言えます。

ステークホルダー・エンゲージメント

ステークホルダー・エンゲージメントとは、企業と利害関係者との間で対話を行うことで、企業が利害関係者の関心事を理解し、それを意思決定に役立てていくことを目的とするエンゲージメントのことを指します。
企業とステークホルダーの相互の対話を意味する「ステークホルダー・ダイアログ」はその一種です。そのほかにも従業員を対象にしたアンケート、顧客からの電話や問い合わせなど様々な活動がエンゲージメントに含まれます。

ステークホルダー・ダイアログ

ステークホルダー・ダイアログとは、企業が自社活動によって社会・環境に与える影響について、ステークホルダーの意見を反映することを目的として行う双方向の対話のことです。
企業にとってのステークホルダーとは、株主、従業員、顧客、債権者、取引先、行政機関、地域社会など、企業の決定や活動に利害関係を持つ個人やグループが挙げられます。
継続的な対話を通じてステークホルダーとの利害を見極め、ステークホルダーへの悪影響を減らし好影響を増やす対策をとることができる。また、ニーズに適した商品の提供やCSR活動の促進を実現することができます。

ステークホルダー(利害関係者、Stakeholder)

ステークホルダー・ダイアログとは、企業が自社活動によって社会・環境に与える影響について、ステークホルダーの意見を反映することを目的として行う双方向の対話のことです。
企業にとってのステークホルダーとは、株主、従業員、顧客、債権者、取引先、行政機関、地域社会など、企業の決定や活動に利害関係を持つ個人やグループが挙げられます。
継続的な対話を通じてステークホルダーとの利害を見極め、ステークホルダーへの悪影響を減らし好影響を増やす対策をとることができる。また、ニーズに適した商品の提供やCSR活動の促進を実現することができます。

世界食料デー(World Food Day)

世界食料デーとは飢餓に苦しむ人々、全ての人々に健康的な食事を確保する必要性について、世界的な意識喚起と行動を促す国連の記念日のことを指します。
最も重要な基本的人権である「すべての人に食料を」の実現に向け、世界の人々と協力して、栄養不良や飢餓、極度の貧困の解決することを目的としています。
1945年10月16日に国連食糧農業機関(FAO)が創設されたことを記念し、毎年10月16日は、世界の食料問題を考える日として、国連により1981年から定められています。

世界人権デー

世界人権デーとは、1948年12月10日に第3回総会で世界人権宣言が採択されたのを記念して、1950年12月4日の第5回総会において定められた記念日のことです。
世界人権宣言は,基本的人権尊重の原則を定めたものであり、それ自体が法的拘束力を持ちませんが、初めて人権の保障を国際的にうたった画期的なものです。法務省は、毎年12月10日を最終日とする一週間(12月4日~10日)を「人権週間」と定め、広く国民に人権の尊重を普及させるべく全国的に啓発活動を展開しています。

世界水の日(World Water Day)

3月22日「世界水の日」とは、1992年12月の国連総会で、淡水の保全と持続可能な淡水資源管理の促進への人々の意識を啓発し、各国の行動につなげるため制定されました。
水資源の開発・保全やアジェンダ21の勧告の実施に関して普及啓発を行う日とされています。
制定の背景には、地球上のすべての経済活動や社会活動は、質の良い淡水とその供給に大きく依存しているにもかかわらず、人口と経済活動の増加により、多くの国が急速に水不足に陥ったり、経済成長に行き詰まったりしている現状への危機感がありました。世界では約10人に1人、7億7,100万人が清潔な水を利用できない中で生活しており、清潔な水やトイレを利用することができていません。世界水の日は、水の大切さ、そして全ての人が清潔で安全な水を利用できる社会を目指すことへの意識向上に寄与します。

責任投資(Responsible investing)

責任投資とは環境、社会、ガバナンスの要因(ESG 要因)を投資決定やアクティブ・オーナーシップに組み込むための戦略および慣行のことを指します。責任投資は持続的、長期的な経済的リターンを得るために、運用プロセスの一環としてESGに関するリスクや投資機会を考慮し、エンゲージメントや議決権行使を活用します。また、リスク管理を改善しつつポートフォリオのリターンを高めること、投資戦略に投資家や受益者の価値観を反映することを目指します。それは、伝統的な財務分析やポートフォリオ構築テクニックを補完するものです。

先住民族の権利

先住民族の権利とは、文化、アイデンティティ、言語、労働、健康、教育など、先住民が持っている権利のことを指します。2007年には、「先住民族の権利に関する宣言」が総会によって採択されました。宣言は、先住民族の個人および集団の権利を文化、アイデンティティ、言語、雇用、健康、教育に対する権利を含め規定しています。
宣言は、先住民族の制度、文化、伝統を維持、強化し、かつニーズと願望に従って開発を進める先住民族の権利を強調しています。固有の生活様式を守り、かつ経済社会開発に対する自身のビジョンを追及する権利も含められます。

ソーシャルグッド

ソーシャルグッドとは、地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対して良い影響を与える活動や製品、サービスの総称です。古くからあるソーシャルグッドの代表例としては、水や空気の浄化、街の緑化、教育やヘルスケアなどがあります。気候変動や都市問題、貧困などの社会課題の解決につながる活動に対して「ソーシャルグッドな○○」と形容詞的に表現されることが多いです。昨今では、製品やサービスだけでなく、企業のCSR活動やSDGsを実現する活動、広告やプロモーションの領域にまで広がっています。

ソーシャルデザイン

ソーシャルデザインとは、社会課題を解決するためのデザインのことです。特定の人や組織の営利を目的としたデザインではなく社会貢献を前提とており、街の育児や教育、福祉、災害、産業などに関わる様々な課題を解決し、よりよい社会を構築するための方法として近年注目され始めました。ソーシャルデザインはモノの創造にとどまらず、社会制度やインフラ等の「街に関するあらゆる要素」を設計することまでを含んでいます。誰でも使いやすい公園を街の中心に作ったり、コミュニティスペースを作ったりすることもその一つです。

ソーシャルハウジング

ソーシャルハウジングとは、公的な機関が提供する住居に関する制度のことです。各国によって、ソーシャルハウジングの施策は異なりますが、低所得者層に対する住宅政策である点では各国統一されています。日本では公営住宅として認識されています。

ソーシャル ビジネス

ソーシャル ビジネスとは、社会課題の解決をビジネスを通じて実施することを指します。2006年ノーベル平和賞を受賞したバングラデッシュのムハマド・ユヌス博士が提唱しており、貧困問題、人権問題の解決に資するソーシャルビジネスが国際的に広がっています。ソーシャルビジネスは、利益の追求だけではなく、社会課題の解決にも重点をおいているところが、一般の事業との違いになります。日本でも、有数のNPO法人がソーシャルビジネスを展開しています。

ソーシャル リスニング

ソーシャル リスニングとは、SNSや口コミなどソーシャルメディアからの情報分析することです。

ソーシャル・ボンド(Social bonds)

ソーシャル・ボンドとは、衛生・福祉・教育などの社会的利益をもたらす事業に資金を提供するために、企業や政府が発行する債券のことです。現状では、国際資本市場協会(ICMA)が2017年に策定したソーシャルボンド原則が唯一の国際基準となっています。また、2021年には金融庁がガイドラインを策定し、その中で資金調達の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティングに関して規定されています。

代替肉(フェイク ミート)

代替肉(フェイク ミート)とは、肉の代替として、大豆・えんどう豆などの植物性たんぱく質から作られる食べ物です。畜産における環境負荷の増加や、赤肉・加工肉による発がん性の発見によって、代替肉の需要は高まりました。現在は、ベジタリアンやヴィーガンの間ではもちろん、動物福祉や食糧不足解決の観点からも注目集めています。代替肉は、大きく分けて「ソイミート」と「グルテンミート」の2つの種類に分けられます。ソイミートは、大豆由来の成分で作られ、その多くは乾燥した状態で販売されています。一方のグルテンミートは、小麦由来の成分で作られ、瓶詰めや缶詰で販売されるものがほとんどです。

ダイベストメント(Divestment)

ダイベストメントとは、企業や投資家が特定の資産、事業、または投資から撤退することを指す用語です。社会的・環境的な理由に基づく倫理的な考慮や、リスク管理の観点から行われることがあります。ダイベストメントの例としては、化石燃料産業からの撤退や、特定の国や地域での事業活動の中止などが挙げられます。

男女共同参画社会

男女共同参画社会とは、男女が平等に社会や経済、政治などあらゆる分野で参画し、平等な権利と機会を持つ社会のことを指します。この概念は、男女の性別に基づく不平等や差別を解消し、すべての人がその能力や意志に応じて活動できる社会を目指すものです。日本では、例えば、男女雇用機会均等法や男女共同参画基本法などがあり、女性の職業進出やリーダーシップの拡大、ワーク・ライフ・バランスの改善などが取り組まれています。

炭素集約度

炭素集約度とは、生産プロセスや経済活動において、どれだけの炭素排出が発生するかを示す指標です。これは、温室効果ガスの排出量を経済的な成果に対してどれだけの比率で削減できるかを表します。低炭素集約度のプロセスや産業は、環境への負荷を軽減する努力を示すことができます。

脱炭素化、脱炭素

脱炭素化(脱炭素)とは、O2排出量ゼロに向けたプロセスです。CO2排出実質ゼロが実現した社会は「脱炭素社会」と呼ばれます。気候変動や化石燃料に代わるエネルギー資源の不足などに直面する中、世界が低炭素経済に移行するための重要な要素です。脱炭素が世界で目指されるようになったのが、2015年のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択されたパリ協定です。「産業革命後と比較して世界の気温上昇を2°C以内に抑える」という長期目標が設定されました。しかし現在では、2°C目標では不十分という事実から、1.5°Cが共通目標として掲げられています(2021年のCOP26で合意)。日本では、2020年10月、当時の菅義偉内閣総理大臣が2050年までに脱炭素社会の実現を宣言しました。これを受け、環境省は「2050年までに年間12億トンを超える温室効果ガス(GHG)排出を実質ゼロにする」を目標に設定しています。

罪深い株式(Sin stocks)

罪深い株式とは、一般的にはネガティブスクリーニングの対象となる「たばこ」「ギャンブル」など、投資家の考え方から倫理的でない銘柄を指します。

低炭素経済(Low-carbon economy)

低炭素経済とは、大気中への炭素の排出を最小限に抑えるとともに、社会の発展と生態系の保護が実現した経済です。化石燃料ではなく、再生可能エネルギーや原子力などの使用、非化石価値取引市場の創設などによって、温室効果ガス(GHG)の排出を削減します。また、行政が認定する低炭素建築物も低炭素経済に向けた取り組みのひとつです。これは、石炭・石油など一次エネルギーの消費量がマイナス10%以上の建築物を指します。具体的には、太陽光発電パネルや天井の遮熱、常時換気システム、床断熱の設置が施されています。

デカップリング

デカップリングとは、サステナビリティの領域では、経済成長と環境への影響を分離することを指すことがあります。言い換えれば、経済成長と環境負荷低減を同時に実現することを目指すことでもあります。

テーマ投資(Thematic investing)

テーマ投資とは、再生可能エネルギーや廃棄物・水資源管理、教育など、特定の投資テーマを設定し、それに沿った事業を行う企業の株式や債権にのみ投資を行うESG投資手法の1つです。「サステナブル・テーマ投資」「サステナビリティ・テーマ投資」と呼ばれることもあります。投資信託では、特定のテーマに関連のある銘柄を選定して運用を行う「テーマ型投資信託」が登場しています。「カーボンニュートラル」「AI」「サイバーセキュリティ」などが近年注目を集めているテーマです。債権投資では「グリーンボンド(環境債)」が挙げられ、環境保全活動としての事業資金を調達するために発行されます。使用用途・事業計画は明示されるため、透明性が担保されているのが特徴です。

電子廃棄物

電子機器や電気製品が不要になった際に発生する廃棄物のことを指します。これにはコンピュータ、携帯電話、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電子機器が含まれます。電子廃棄物の適切な処理は環境保護や資源の有効活用の観点から重要です。多くの電子機器には貴重な金属や希少な地金が含まれており、リサイクルや再利用が行われることで、これらの資源を有効に利用することができます。

トゥルーフード(True Food)

トゥルーフードとは、遺伝子組み換え食品を使用していない食品のことです。環境系NGOのグリーンピースは世界の、トゥルーフード(True Food)に関するリストを発表しいています。これには、遺伝子組み換え食品をめぐる考え方は各国異なっていますが、適切な表示を行うことが求められている中で、制度としての整備が進まないことが背景にあります。

統合報告書

統合報告書とは、企業の財務情報及び非財務情報(社会的責任、知的財産、ESGなど)を統合したレポートです。それらの情報が、ステークホルダーにとってどのような価値をもたらすかについて説明されています。そのため、企業のブランディングや、無形資産の価値化などにもつながり、企業価値の向上に役立ちます。欧米では、アニュアルレポートとして普及しており、日本でも、コーポレートガバナンスにおいて、非財務情報の開示が促さされていることから、統合報告書を発行する企業は増加傾向です。

都市生態学

都市生態学とは、都市環境における生物と環境の相互作用や影響を研究する学問分野です。都市化が進む現代社会において、都市部の自然環境や生態系がどのように変化し、生物がどのように適応しているかを理解することが目的とされています。

都市農業

都市農業とは、都市内やその近郊で行われる農業のことを指します。都市農業は、都市部の人々に新鮮な食品を提供するだけでなく、持続可能な食品生産や環境保護の観点からも注目されています。ただし、限られた土地資源や水質汚染などの課題があります。将来的な技術革新によりこうした課題が解決されていくことが期待されています。

トランジション・イニシアチブ(Transition Initiative)

トランジション・イニシアチブ(Transition Initiative)とは、石油資源がピークを迎えて以降、脱石油社会に移行していくかを目指す運動のことです。具体的には、現状からいかにエネルギーを削減した生活ができるかを目指し考えるもので、地産地消や自然エネルギーの自給などがあげられます。

トランスペアレンシー・インターナショナル

トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)は、国際的な非政府組織で、腐敗に対抗し透明性を促進することを目的としています。1993年に創設されました。この組織は、腐敗の拡散を防ぐために政府、企業、市民社会と協力し、腐敗に対する認識を高め、効果的な対策を提案しています。
トランスペアレンシー・インターナショナルは、腐敗に関する調査やデータの収集・公表、政策提言、キャンペーン活動などを通じて、世界各国での透明性と誠実さを向上させるための努力を行っています。毎年、腐敗の程度を評価する指標である「Corruption Perceptions Index」を発表しています。

トリプルボトムライン(Triple bottom line accounting)

トリプルボトムライン(Triple Bottom Line)とは、企業や組織の持続可能な成功を評価するための概念です。この概念は、単に財務的な成功だけでなく、社会的および環境的な影響も含めて、総合的な成果を測定するために使用されます。

トレーサビリティ

トレーサビリティとは、製品や素材の供給源から経路を追跡し、その履歴や情報を確認する能力を指します。特に食品業界や製造業界で重要な概念となっており、製品の品質管理や安全性確保に関連しています。トレーサビリティは、製品の生産過程や流通経路を透明化し、問題が発生した際に迅速な対応ができるようにするために使用されます。食品業界では、原材料の出所から製品が店頭に並ぶまでの経緯を追跡し、品質や安全性に問題があった場合に原因の特定やリコール手続きを行うためにトレーサビリティが重要です。

人間環境宣言(ストックホルム宣言)

ストックホルム宣言は、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された国際連合の環境に関する会議(国際環境会議)において採択された文書です。正式名称は「国際環境に関する国際会議の報告書」で、人間環境に関する重要な問題に焦点を当てた初めての国際的な会議でした。

ストックホルム宣言は、環境問題への国際的な関心を高め、環境保護の重要性を認識する上で重要な役割を果たしました。この宣言では、環境への懸念や保護の必要性が強調され、持続可能な開発と環境保護のための国際的な協力が呼びかけられました。

ストックホルム宣言は、環境問題に関する国際的な協力の基盤となり、後の環境政策や国際的な取り組みの基礎となる重要な文書とされています。

ネイチャーポジティブ

「ネイチャーポジティブ」とは、「生物多様性を含めた自然資本を回復させる」ことを目指す概念です。
企業・経済活動により生じる自然環境への負の影響を抑制することで「生物多様性を維持する」だけでなく、正の影響を与えることを目指します。
ネイチャーポジティブに関わる国際的な潮流として、2021年6月に設立された「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が挙げられます。
TNFDは「自然に負の影響を与える資金の流れを転換させ、生物多様性を回復に向かわせる」ことを目標に掲げており、企業が自然への依存度や影響を把握し開示する枠組みをつくります。
2021年10月の第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)における「昆明宣言」や、2022年12月の「ポスト2020生物多様性フレームワーク」の合意など、グローバルかつ強固な枠組みとしてのネイチャーポジティブの制度設計は急速に進んでおり、企業は早期の対応を求められています。

ネット・ゼロ(Net zero)

ネット・ゼロとは温室効果ガスの排出量から除去量を差し引いた合計をゼロにすることをします。
経済活動を行う以上、温室効果ガスの排出をゼロにすることは困難であるため、吸収量や除去量を差し引く、ネット・ゼロの考え方が採用されています。
ネット・ゼロは「カーボンニュートラル」と同義として使われます。ネット・ゼロは温室効果ガス排出量が正味ゼロの状態を指し、カーボンニュートラルはCO2排出量と吸収量が中立の状態を指します。

ノンバイナリー

ノンバイナリーとは、自分自身の性自認を「男性」や「女性」といった枠組みに当てはめようとしない考え方のことを指します。バイナリーは男性か女性かという2択で生物的性で性別を分類する見解ですが、ノンバイナリーは男女二元論に捉われない見解です。「第三の性」「クィア」とも呼ばれます。
その他にも似た言葉としてXジェンダー、ジェンダーレスなどが挙げられますが、これらは「男性/女性という区別が当てはまらない」という意味を共通して持っています。

バーゼル条約 (Basel Convention)

バーゼル条約(Basel Convention)は、廃棄物の輸出入に関する国際的な枠組みを確立するための国際連合環境計画(UNEP)の主導によって1989年に採択された国際的な環境法です。この条約は、有害廃棄物やその他の廃棄物が適切に管理され、環境への悪影響が最小限に抑えられることを促進することを目的としています。バーゼル条約は、締約国によって署名および批准されることで効力を持ちます。条約の運用は、定期的な締約国会議によって監視されています。

バーチャルウォーター

「バーチャルウォーター」とは、製品やサービスの生産過程で使用される間接的な水のことを指します。具体的には、原材料の生産、加工、輸送などの段階で消費される水の量を指します。この概念は、製品の水使用量を考慮し、水資源の持続可能な利用を促進するために役立ちます。
例えば、一つの製品を生産する際には、その製造に関わる畑の灌漑、動物の飲料水、工場内の冷却など、さまざまな工程で水が消費されます。これらの水の総量を考慮して、その製品の「バーチャルウォーター」量が評価されます。
この概念は、持続可能な消費と生産の促進に役立つだけでなく、水の枯渇や環境への影響を評価するためにも使用されます。

パーマカルチャー

パーマカルチャー(Permaculture)は、持続可能な農業と設計の哲学およびアプローチです。この概念は、1970年代にオーストラリアのビル・モリソンとデビッド・ホルグレンによって開発されました。パーマカルチャーは、農業、庭園、建築、エネルギー、水管理など、人間が環境と調和して協力する方法を提唱しています。
このアプローチは、自然の模倣、循環経済、多様性の尊重など、いくつかの基本的な原則に基づいています。具体的には、持続可能なシステムを構築するために地域の資源を最大限に活用し、自然界のパターンやプロセスを模倣することを重視しています。また、人々の生活と環境の間で相互作用が生じるようなデザインを促進し、エネルギーの効率的な利用や廃棄物の最小化にも焦点を当てています。

バイオ燃料

バイオ燃料は、生物由来の原料を使用して作られる燃料の総称です。これは化石燃料に代わる持続可能なエネルギー源として注目されており、二酸化炭素の排出量を削減するために利用されることがあります。主な種類としては、以下のようなものがあります:

・バイオエタノール:農作物やバイオマス(植物由来の生物資源)を発酵させて作られるエタノール
・バイオディーゼル:植物油や動物脂肪を化学的な反応によって加工し、ディーゼルエンジンで使用される燃料に変換したもの
・バイオガス:有機廃棄物やバイオマスを分解させて生成されるガス状の燃料
・アルジェノン:藻類を原料として使用し、燃料や化学物質を生産するための新興の技術

バイオプラスチック

バイオプラスチックとは、微生物によってCO2と水に分解される「生分解性プラスチック」と再生可能な有機資源を原料とする「バイオマスプラスチック」の総称です。どちらか一方の特性を有していればバイオプラスチックと呼ばれます。生分解性プラスチックは、通常のプラスチックと同等の持久性を持ち、化石資源を原料とするものとバイオマスを原料するものがあります。環境によって生分解の度合いは変わってくるため、必ずしも完全に分解しきれるわけではありません。バイオマスプラスチックは、1〜10年ほどで再生産可能な植物などを化学的・生物学的に合成することによって作られます。生分解性プラスチックと異なり、必ずしも生分解性は有しているわけではない点に注意が必要です。

バイオミミクリー

バイオミミクリーとは、「Bio」(生物)と「Mimicry」(模倣)を合わせた造語で、生物の生態から学んだ技術のことを指します。主な日本のバイオミミクリーの例としは下記があげれます。
・カワセミのクチバシを元に考案された500系新幹線の先頭部分の尖った形状
・海藻の生態から学んだ波のゆれを利用する波力発電システム
・アリ塚の構造を模倣した省エネ効果のある建築デザイン

ハザードマップ

ハザードマップとは、特定の地域において、自然災害や事故などのハザードが発生した際の影響やリスクを示す地図です。これにより、住民や関係者が災害リスクを理解し、適切な対策や避難計画を立てることが可能となります。

パッシブデザイン

「パッシブデザイン」は建築や都市計画において、自然の資源や気候条件を最大限に活用し、エネルギー効率を向上させる設計アプローチを指します。このアプローチは、建物や都市の設計段階で、日射し、風、気温などの自然の要素を利用して、冷暖房や照明などのエネルギー消費を最小限に抑えることを目指します。

パッシブ運用・アクティブ運用

「パッシブ運用」とは、投資や資産運用の手法の一つで、市場全体の動向に追随する投資手法です。パッシブ運用では、市場全体や特定のセクターをトラッキングするためにインデックスファンドやETF(上場投資信託)を利用することが一般的です。 また、パッシブ運用は取引の頻度が低く、運用チームが必要ないため、通常アクティブ運用よりも低コストで行えるとされています。
一方、「アクティブ運用」とは、市場のインデックスや平均的な動向から逸脱し、市場に対するアナリストやポートフォリオマネージャーの判断に基づいて選択肢を作る手法です。アクティブ運用では、市場のインデックスに対してアナリストやファンドマネージャーが独自の調査や予測を行い、銘柄の選定や取引のタイミングを決定します。ただし、運用チームのスキルや市場の動向によって成果が大きく変わることもあります。

ハラルフード

ハラルフードとは、イスラム教の戒律に則って認められた食品や飲料のことを指します。イスラム教では、食品の選択や調理方法に一定の制約があり、ハラル(許可された)とされる食品を摂取することが重要です。
ハラルフードの基本的なルールには以下のようなものがあります:
豚肉やその副産物は避ける
飲酒やアルコールを含む飲料は避ける
イスラム教の戒律に反する方法で食べ物が調理されたり処理されたりしていないことが重要です。

パリ協定(Paris Agreement)

パリ協定(Paris Agreement)は、2015年に採択された国際的な気候変動に関する枠組みです。この協定は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で締結され、気候変動の緩和と適応に向けた取り組みを加速させることを目的としています。具体的には、地球温暖化を2℃未満に抑えるための努力が盛り込まれており、可能な限り1.5℃に近づけることを目指しています。

パンセクシャル

「パンセクシャル」は、一般的には「性的指向のスペクトラムの中で、他の人の性別や性に関わらず、人々が個々の人の個性や魅力に基づいて性的魅力を感じる」という意味で使われる用語です。つまり、パンセクシャルの人々は、相手の性別や性別表現に関係なく、その人自身の特性や魅力に惹かれる性的指向を持っているとされています。

ビジネスと人権に関する指導原則

ビジネスと人権に関する指導原則は、国際連合人権理事会が2011年に採択したもので、企業が人権を尊重し、守るためのガイドラインです。これは、企業が人権を侵害しないようにし、社会的責任を果たすための基本的な原則を提供しています。

ファイトマイニング

ファイトマイニングとは、植物を利用して金属を回収する技術のことです。重金属を集積する植物は世界において500種以上あるとされおり、様々な産業への利用へ向けて研究が進められています。

ファイトレメディエーション

ファイトレメディエーションとは、ギリシャ語の「Phyto(植物)」とラテン語の「remedium(修復)」を組み合わせた造語で、植物を利用して土壌や水から汚染物質を除去するための技術のことです。

フィルターバブル

フィルターバブルとは、利用者が見たいと予測された情報ばかりがインターネット上に表示されることにより、本当に見たい情報が表示されずに孤立することを指します。インターネットにおけるアルゴリズムが進展する一方で情報へのアクセスがさらに狭くなり、返って考え方に固執したり、視野が狭くなったりする弊害が起こっています。

フード セキュリティ

「フードセキュリティ」とは、食品の供給やアクセスが確保され、人々が栄養を適切に摂取できる状態を指します。フードセキュリティが脅かされる状況には、飢餓や栄養不良が含まれます。これは特に開発途上国で顕著であり、適切な栄養を摂取できないことが健康や生活に悪影響を及ぼすことがあります。また、フードセキュリティは、持続可能な農業や食品生産に密接に関連しています。効率的な農業プラクティスや新しい技術の導入は、十分な食料供給を確保する上で重要です。さらに、気候変動は農業生産に影響を及ぼし、一部の地域で食品の生産が困難になる可能性があります。これによりフードセキュリティへの脅威が高まることがあります。

フード ファディズム

「フードファディズム」とは、一般的には極端な食事制限や特定の食品グループを過度に避ける傾向を指す用語です。これは健康やダイエットの観点から行われることがありますが、時には科学的な根拠に基づかない信念やトレンドによっても影響を受けることがあります。特定のフードファディズムの例には、炭水化物を極端に避けるケトジェニックダイエットや、乳製品や穀物を避けるパレオダイエットがあります。
フードファディズムは健康に対するリスクを伴う場合もあるため、専門家の指導のもとで行動することが重要です。バランスの取れた食事と科学的な根拠に基づいたアプローチが、健康を維持する上でより持続的で安全な方法とされています。

フェアトレード(Fair Trade)

フェアトレード(Fair Trade)は、開発途上国の農産物や工芸品などを取り扱う際に、生産者の労働条件や収入を向上させることを重視し、公正な取引関係を築く取り組みや運動を指します。主な目的は、農村地域の生活水準向上や社会的な持続可能性の支援、労働者の権利保護などです。
フェアトレードは、商品の生産段階での適正な労働条件、公正な価格設定、長期的な取引関係の構築を重視しています。これにより、生産者は適切な報酬を受け取り、持続可能な経済的な成長が促進されることを目指しています。

プラスチックフリー

「プラスチックフリー」とは、プラスチック製品の使用を最小限に抑え、環境への影響を軽減しようとする取り組みを指す言葉です。プラスチックは長い寿命を持ちますが、その廃棄物やマイクロプラスチックが環境に悪影響を及ぼすことが問題となっています。プラスチックフリーの動きは、環境への配慮や持続可能な生活スタイルの一環として注目されています。

ブルーエコノミー

ブルーエコノミーとは、海洋資源の保護・回復に努めながら、経済や社会全体のサステナビリティを高めることを前提とした海洋産業です。SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」にも大きく関係しています。本概念は、2012年の国連における持続可能な開発会議で、グリーンエコノミー(環境配慮型の経済)に対し、海洋資源の保全と持続可能な利用を通じた経済をブルーエコノミーと呼び、島嶼国の経済振興支援を訴えたことが発端です。2015年、WWFは、全世界のブルーエコノミーの経済価値を年間2.5兆ドル(約350兆円)と算出しており、これは世界第7位のフランスのGDP(2.9兆ドル)に次ぐ規模です。しかし現在、海洋汚染や海洋の酸性化、海水温の上昇など海のサステナビリティは脅かされ続けています。これらの危機を回避するためには、洋上風力発電所の建設やゼロカーボン船の燃料開発などを通じて海洋に投資する「ブルーファイナンス」が必要とされています。

ブルーカーボン

ブルーカーボンは、海洋や淡水域における特定の生態系で蓄積される、炭素を指します。主に沿岸域や湿地、海草などの生態系において、海水中の二酸化炭素が吸収されて蓄積されることで形成されます。これにより、地球温暖化の防止や持続可能な海洋資源の管理に影響を与える重要な要素となっています。
気候変動に対抗する手段として注目されており、これらの生態系を保護・復元することで、大気中の二酸化炭素を吸収・貯蔵し、地球温暖化の進行を緩和する可能性があります。

ブルーサイン(Blue sign)

ブルーサイン(Bluesign)は、環境に優しい繊維産業のための持続可能な生産基準を提供する国際的な認証制度です。この制度は、繊維製品の製造工程における環境への影響を軽減し、化学物質の使用を最適化することを目的としています。ブルーサインは、繊維原料、製造プロセス、製品の安全性、労働者の健康と安全など、さまざまな側面をカバーしています。
ブルーサイン認証を受けるためには、繊維産業の企業は厳格な基準を満たす必要があります。これには、化学物質の使用制限、水とエネルギーの効率的な使用、廃棄物の最小化、労働条件の改善などが含まれます。認証を受けることで、製品は環境にやさしい、持続可能な生産過程を経て作られていることが証明されます。

ブレイン ストーミング

ブレインストーミングは、アイディアや解決策を生み出すための創造的な手法です。グループやチームで行われることが一般的で、特定の問題やテーマに関する多くのアイディアを集めることを目的としています。参加者は自由な発想を奨励され、どんなアイディアでも歓迎されます。評価や批判は初めは避け、アイディアの数を最大化することを重視します。

フレキシタリアン

フレキシタリアンとは、主に植物性の食品を中心に摂取しつつ、時折動物性の食品も摂る食生活スタイルを指します。つまり、完全なベジタリアンやヴィーガンではなく、柔軟な範囲で食事内容を選択する人々を指します。フレキシタリアンは、健康や環境への配慮から、肉や魚などの動物性食品を適度に制限しながら、主に野菜、果物、穀物、豆類などの植物性食品を中心に摂ることを目指します。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、分散型のデジタル台帳技術です。データは「ブロック」と呼ばれる小さな単位にまとめられ、それぞれのブロックは前のブロックと連結され、チェーンのような形でつながっています。これにより、データの改ざんや不正なアクセスを防ぐことができます。

紛争鉱物RMI(Responsible Minerals Initiative)

Responsible Minerals Initiative (RMI) とは、世界で300以上の企業や団体が加盟する紛争鉱物に関する取り組みを主導している団体のことです。紛争鉱物とは、スズ石(スズの原鉱石)、コルタン(タンタルの原鉱石)、金、鉄マンガン重石(タングステンの原鉱石)およびその派生物のことを指し、3TGとも表記します。これらの鉱物は、内戦や紛争や戦争、武装勢力や反政府組織の資金源となることが懸念されています。コンゴ民主共和国をはじめとしたアフリカ等の鉱物資源国で採掘されます。

ベーシックインカム

ベーシックインカムとは、国や地域の全ての市民に対して一定の金額を定期的に支給する政策のことを指します。これは、経済的な安定性や貧困削減、社会的な公正性を促進するための方法として提案されています。
ベーシックインカムのアイデアは、基本的な生活費や必需品を購入するための最低限の収入を保証することによって、社会的な安全網を提供することを目指しています。支給額や支給頻度は国や提案の文脈によって異なりますが、一般的にはすべての市民に均等に支給されることを特徴としています。

ベスト・イン・クラス(Best-in-class)

ベスト・イン・クラス(Best-in-class)は、ある特定のカテゴリや領域において、その中でも最も優れたものや最高品質のものを指す表現です。これは、製品、サービス、プラクティス、技術、企業など、さまざまなコンテキストで使用されることがあります。
例えば、製品の場合、ベスト・イン・クラス製品とは、その分野で競合他社の製品よりも優れた性能や品質を持っているものを指します。サービスの場合も同様で、顧客満足度や効率性などで他のサービスよりも優れているものを指します。

ヘドニスティック サステナビリティ

ヘドニスティックサステナビリティとは、持続可能な開発やライフスタイルの考え方の一つです。この概念は、環境的な持続可能性だけでなく、個人や社会の幸福や満足感にも焦点を当てるものです。
ヘドニスティックサステナビリティでは、環境への影響を考慮しながらも、個人が幸福や楽しみを感じることができる持続可能な方法を見つけようとします。つまり、環境への配慮と人々の幸福感を両立させることを目指すアプローチです。

ヘルス リテラシー

ヘルスリテラシーとは、個人が健康に関する情報を理解し、判断し、適切な意思決定を行うための能力を指します。具体的には、医療情報や健康に関する情報を読み解く能力、医療の専門用語やプロセスを理解する能力、健康に関する選択肢を評価し、適切な行動を取る能力が含まれます。
ヘルスリテラシーの高いレベルを持つことは、健康な生活を維持するために重要です。健康リテラシーが低い場合、誤った情報に基づいて判断を下したり、適切でない健康行動をとる可能性があります。

ポストワークエコノミー

「ポストワークエコノミー」は、従来の労働や働き方に対する新しいアプローチを指す用語です。ポストワークエコノミーの影響には、以下のような要素が含まれる可能性があります:

・柔軟な労働時間と場所:テクノロジーの進化により、場所や時間に縛られない仕事が可能となり、ワークライフバランスが改善される可能性があります。
・副業や複数の収入源:個人が複数のプロジェクトや仕事を同時に進めることができ、収入の多様化が可能です。
・スキル重視の雇用:特定の学歴や経歴にとらわれず、実力やスキルが重視される雇用機会が増える可能性があります.

ボディシェイミング

ボディシェイミングとは、他人の体型や容姿を嘲笑ったり、批判したりする行為のことを指します。この言葉は、主にネガティブな意図を持つ言動に関連して使われます。個人が自分の体に対して恥ずかしい思いをさせられる可能性があるため、ボディシェイミングは心理的な苦痛を引き起こすことがあります。
ボディシェイミングは、肌の色や体型、容姿など、外見に関するさまざまな要素に対して行われることがあります。社会的には受け入れられるべき多様性や個々の違いに対する尊重が重要です。ボディシェイミングはそのような価値観に反するものとされ、精神的な健康や自尊心に悪影響を及ぼす可能性があります。

ボディポジティブ

ボディポジティブとは、自分自身の体型や外見に対して前向きな考え方や肯定的な態度を持つことを指す言葉です。この運動は、社会的な美の基準に囚われず、自分の体を受け入れ、自己肯定感を高めることを重視しています。ボディポジティブの哲学は、人々が多様な体型や外見を尊重し、健康や幸福感を大切にすることを奨励しています。
ボディポジティブの運動は、特にソーシャルメディアやファッション業界などで注目されており、様々な背景や体型を持つ人々が自分らしさを認められる環境を創り出すことを目指しています。この運動は、身体の多様性を称賛し、差別や偏見を減少させる一環としても注目されています。

マイクロアグレッション

マイクロアグレッションとは、一般的には小さな言動や行動によって、特定の人種、性別、性的指向、宗教、身体的能力などの属性を持つ人々に対して無意識または意図的に差別的・攻撃的なメッセージや態度が示されることを指します。これはしばしば非常に微妙でわかりにくいものであり、当事者にとっても気づきにくい場合があります。
マイクロアグレッションは、社会心理学者であるDerald Wing Sueによって初めて提唱され、その後さまざまな研究や議論が行われてきました。これは、差別や偏見が明示的でない場合でも、無意識のうちに潜在的な偏見が行動や言動に影響を与えることを示しています。

マイクロファイナンス(Microfinance)

マイクロファイナンスとは、貧困層や失業者、低所得者層など、正規の銀行サービスを受けられない人々を対象とした金融サービスです。本概念は、貧困層の経済的自立を目指す「貧困緩和」を目的としています。無担保の少額融資を指すマイクロクレジットを発端に、預金や送金、保険などに拡大しているため、現在ではマイクロファイナンスという言葉が一般的です。マイクロファイナンスは、お金を生活費としてではなく、事業費として融資する仕組みです。融資を受けた人は、事業で得た利益でマイクロファイナンス機関に返済します。グラミン銀行を筆頭に、現在、マイクロファイナンスは世界中の貧困地域に普及しています。Report Oceanによると、グローバルマイクロ貸付市場規模は、2020年から2027年にかけて12.6%の年平均成長率が見込まれています。

マイクロプラスチック

マイクロプラスチックとは、直径5mm以下の微小なプラスチック片や粒子のことを指します。これらは主に化学的に分解されにくいプラスチック製品や廃棄物から生成され、環境への影響が懸念されています。
マイクロプラスチックは、洗顔料や歯磨き粉、衣料品の洗濯時に生じるマイクロビーズや、大きなプラスチック製品が分解された際に発生するものが含まれます。これらの微小なプラスチック片は、水中に放出され、海洋や淡水域に広がり、生態系への影響を及ぼす恐れがあります。動物がこれらの微小プラスチックを誤って摂取することで健康問題が発生する可能性も指摘されています。

マテリアリティ (シングルマテリアリティ ダブルマテリアリティ)

マテリアリティとは、様々なESG課題の中で自社が優先して取り組むべき重要な課題です。ESG情報開示基準において求められるマテリアリティには、「①環境・社会問題が企業活動・業績に与える影響」「②企業活動が環境・社会に与える影響」の2つの側面があります。この内、①のみを重視する考え方を「シングルマテリアリティ」、②も含んだ双方向のマテリアリティを重視する考え方を「ダブルマテリアリティ」と呼びます。より広いステークホルダーへの開示を求めているGRIスタンダードなどでは、ダブルマテリアリティの考え方を採用しています。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、廃棄物や使用済みの製品を再利用するプロセスを指します。このプロセスでは、原材料を再生し、新たな製品を作ることが可能です。マテリアルリサイクルは、資源の保護と環境への負荷軽減を促進するために重要な役割を果たしています。

マンスプレイニング

マンスプレイニングは、男性が特定のトピックや問題について、女性に対して優越感を持って説明することを指す言葉です。この用語は「マン」(男性)と「エクスプレイニング」(説明する)を組み合わせたものであり、主に男性が女性に対して、その人が既に知っていることや理解していることを再度詳しく説明するような行動を指しています。

マンスプレッディング

マンスプレッディングは、男性が公共の場で広いスペースを占有し、周囲の人々に不便をかける行動を指す言葉です。この用語は「man」(男性)と「spread」(広げる)を組み合わせた造語であり、主に公共の交通機関や座席の共有スペースで、男性が足を大きく広げたり荷物を広げたりして、周囲の人々に十分なスペースを残さない行動を指して使われます。

ムーンショット構想力

「ムーンショット構想力」とは、大胆で非現実的な目標を設定し、それに向かって取り組む力や能力のことを指すことがあります。この概念は、Googleなどの一部の企業や組織で用いられてきました。具体的には、アポロ11号の月面着陸を達成するためのプロジェクト「ムーンショット」に由来しており、そのような大きな目標に向かって取り組む姿勢やアプローチを指しています。

モスコウィッツ賞(Moskowitz Research Prize)

モスコウィッツ賞(Moskowitz Research Prize)は、市場調査分野における優れた研究を称える賞です。この賞は、市場調査の分野で革新的なアプローチや洞察を提供した研究者や団体に授与されます。モスコウィッツ賞は、消費者行動、市場動向、製品開発など、広範な市場調査関連のテーマに関する優れた業績を評価し、認めるために設立されました。

モントリオール・カーボン・プレッジ

モントリオール・カーボン・プレッジは、気候変動対策に関連する取り組みの一つです。具体的には、企業や地方自治体、団体などが温室効果ガスの排出削減に取り組むことを約束する取り組みです。
このプレッジは、モントリオール市(カナダのケベック州にある都市)で開催されたC40ワールドメイヤーズサミットで発表されたもので、様々な組織が気候変動に対する取り組みを強化するために提案されました。具体的な目標は、2030年までに温室効果ガスの排出を削減することです。

ヨハネスブルグ宣言

ヨハネスブルグ宣言は、2002年に南アフリカのヨハネスブルグで開催された国際連合持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD、またはヨハネスブルグ・サミット)で採択された文書です。この宣言は、持続可能な開発のための行動計画として位置づけられました。
ヨハネスブルグ宣言は、経済的な発展、社会的な公正、環境の保護の三つの柱を基に、持続可能な開発のための具体的な取り組みや方針を掲げています。この宣言は、環境、貧困、社会的格差など、持続可能な開発に関する多くの課題に対処するための国際社会の共通の目標を示すものとなっています。

予防原則・予防的な取組方法・予防的措置

予防原則とは、環境保全や加賀物質の安全性が証明されていないものを使用する際に、予防のために政策的な決定のことを指します。例えば、遺伝子組み換え食品などが健康への影響や環境への負荷が解明されいていない場合には、規制措置を行うなどがあります。他にも、特定有害物質の電気・電子機器に関する法の標準化を目的としたRoHS指令(2003年)や、人の健康及び環境の保護とEU域内市場の自由な流通を目的としたREACH規則(2006年)などがあります。この考え方は、1982年に国連総会で採択された「世界自然憲章」にて初めて提唱されたものですが、各国における対応が異なっています。

ラナプラザ崩壊事故

ラナプラザ崩壊事故とは、2013年にバングラデシュの商業ビルが崩壊した事故のことです。この事故により、ずさんな建築が明らかになったほか、同建物にあった縫製工場にて多くの女性従業員が犠牲になりました。この従業員がいわゆる劣悪な労働条件もと労働に従事していたいことも明らかになり、労働安全を優先した関ky歩つくりなどサステナブルファッションの在り方を再考する機会になりました。

リジェネラティブ農業

リジェネラティブ農業は、土地や環境を回復・再生しながら食品生産を行う持続可能な農業のアプローチです。従来の持続可能な農業とは異なり、リジェネラティブ農業は単に環境への悪影響を最小限に抑えるだけでなく、土壌、水、生態系などを活性化させ、より健全な状態に戻すことを目指します。

ワシントン条約(CITES)

ワシントン条約(CITES)は、野生動植物の国際取引を規制するための国際協定です。正式名称は「ワシントン条約絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」で、1973年に制定されました。この条約の目的は、絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引を監視し、調整することで、野生生物の保護と持続可能な利用を促進することです。ワシントン条約は、調印国が動植物の種を3つの附属書に分類し、それに基づいて取引の規制を行います。附属書Iには絶滅のおそれが非常に高い種が、附属書IIには取引に制限が必要な種が、附属書IIIには個別の国で保護が必要な種が含まれています。条約の締約国は、これらの附属書に掲載された動植物の国際取引を監視し、適切な措置を取る責任があります。

AA1000

AA1000とは、企業責任や持続可能な開発などの課題に取り組む英国の国際的なNGO「AccountAbility」が発行している国際基準です。A1000は3つの基準が設定されています。1つ目は「AA1000 AccountAbility原則基準(AA1000APS)」であり、組織体が自身のサステナビリティに関する課題を認識、優先し、それに対応するための枠組みです。「重要性(有用性の高い情報の開示)」「対応性(ステークホルダーの期待への対応とその情報の開示)」「完全生(サステナビリティに関する重要な側面の完全な特定と理解)」の三原則で構成されています。2つ目は「AA1000保証基準(AA1000AS)」であり、組織体が保証提供者に対しAPSをどの程度満たしているか、第三者保証機関が評価するための評価基準です。3つ目は「AA1000ステークホルダー・エンゲージメント基準(AA1000SES)」であり、組織体のステークホルダー・エンゲージメントが目的・結果を伴い実践的なものとなるようにサポートするための枠組みです。リスク管理やサステナビリティパフォーマンス向上のためのツールとして活用できるようになっています。

Access to Medicine Index

Access to Medicine indexとは、研究機関をもつグローバルな最大手医薬品メーカー20社を対象に、発展途上国での医薬品アクセス改善に関する実践・貢献度を評価、ランクづけしたインデックスです。オランダを拠点とするグローバルな非営利団体「Access to Medicine Index Foundation」が調査・分析を行っています。2008年に最初のインデックスが構築されて以降、2年毎にレポートが作成されています。本インデックスの情報開示の対象は、製薬企業、投資家、政府機関、研究・教育関係者、NGO、一般の人々です。特に、透明性が確保された調査・分析の結果としてのインデックスを製薬企業がモニターし、自らの業績改善につなげることに注力しています。

B Corporation(Bコーポレーション)

Bコーポレーションとは、非営利団体のB Labが運営している認証制度です。「B」は「Benefit(利益)」に由来し、環境やコミュニティ、従業員などのステークホルダーに対する利益を表しています。ESGに配慮した事業活動を行い、アカウンタビリティや透明性などB Labが設定した基準を満たした企業は、Certified B Corporation(認定Bコーポレーション))が与えられます。認証Bコーポレーションを取得した後も、企業は収益に応じた年会費の支払いや年に2度のBインパクト・レポートの提出、自社の環境・社会パフォーマンスの公開などが必須です。また認証の維持にあたっては、2年に1度Bインパクト・アセスメントを受け、最低でも200スコア中80以上の獲得が求められます。なお、BコーポレーションはBenefit Corporation(ベネフィット・コーポレーション)とよく混同されますが、米国内の一部の州で法的に認められている法人形態の一種なので、B Labからの認証を受ける必要はありません。

BSCI

BSCI(Business Social Compliance Initiative)は、ブリュッセルに本拠を置くNPOです。FTA(Foreign Trade Association)のイニシアティブとして2003年に設立されました。2020年時点で1,500社以上の企業が参加しており、「自由な貿易。持続可能な貿易」というFTAのビジョンを共有しています。BSCI参加企業は、BSCIの行動規範を実行しなければなりません。BSCI行動規範は、世界人権宣言、子供の権利とビジネス宣言、OECDガイドラインなどに基づいており、11の労働者の権利について明記されています。また、BSCIの行動規範の実行システムとして機能しているのが、BSCI 2.0です。デューデリジェンスとカスケード効果からなる2つのコアコンセプトによって、参加企業が社会的責任をビジネスのプロセスとビジネスパートナーに組み込むことを助ける役割を果たしています。

BSR(Business for Social Responsibility)

BSR(Business for Social Reponsibility)は、世界のビジネス界に対してサステナビリティを推進する目的のもと、1992年にワシントンで設立された非営利団体です。世界のサステナビリティに関する議論形成や方向性をリードする中心的存在として影響力を持っており、300社以上のグローバル企業が会員に加盟しています。主な活動は、サステナビリティに関する最新リサーチ・知見の情報発信・啓発活動やサステナビリティ課題に対応したコンサルティングなど、企業のサステナビリティ戦略の立案から実行までの支援です。BSRの会員企業には、ユニリーバやナイキ、コカコーラ、Googleをはじめ、アステラス製薬、電通、不ァーストリテイリング、日立製作所が加盟しています。

CDP

CDPは、約90カ国で活動する非営利団体でありグローバル・ディスクロージャー・システムを普及および運営しています。温室効果ガスの排出量、低炭素経済の構築、気候変動リスクの評価方法、天然資源の保護、森林への影響、水資源の利用、企業意識全般に関する環境データを開示するために、各企業はCDPの年次アンケートを利用しています。以前はカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトとして知られており、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトの目的は、企業が環境へのダメージを測定、追跡、削減できるようにすることで、環境影響データの透明性を向上させ、持続可能なビジネスを支援することです。

CONTEXT(コンテクスト)

「CONTEXT(コンテキスト)」は、企業のステークホルダー(利害関係者)との関係性やビジネスモデルの持続可能性を評価するための独自のツールです。このツールは、75以上のデータソースから得られた250以上の指標を使用し、企業の重要な環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の課題に対する取り組みを客観的かつ明確に示します。企業がどのようにESG課題に対処しているかを詳細に分析し、持続可能なビジネス運営における透明性と説明責任を向上させます。CONTEXTは、企業の行動を広範なコンテキストで理解し、投資家や関係者が情報に基づいた意思決定を行うための重要なツールとなっています。

COP

COPとは「Conference of Parties(締約国会議)」の略で、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に加盟する197カ国が参加しています。1995年にベルリンで開催されて以来、2022年で27回目を迎えました。近年のCOPでは、主に2030年までに温室効果ガス排出量を削減するための目標を約束すること、気候変動の不可避な影響に適応するための対策を議論すること、特に途上国に対する気候変動対策のための資金を増やすことが議論されています。

CSRD/ESRS

CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)とは、EUにおけるサステナビリティ情報の開示に関する法令です。EUタクソノミーの開示も含んでおり、ISSBの基準開発にも先行しています。ESRS(Europan Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)とは、CSRDの公開草案であり、暫定合意前の2022年4月にEFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グループ)によって発表されました。EUは非財務情報の開示をNFRD(Non-Finacial Reporting Directive:日財務情報開示指令)に基づいて規制していましたが、NFRD適用企業は2024年1月から、大規模企業は2025年1月からCSRD/ESRSの適用が予定されています。CSRDでは適用対象がNFRDの約5倍に拡大されることが予測されるため、日本企業のEU現地法人も適用対象となる可能性があります。

CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)

最高サステナビリティ責任者(CSO)は、企業の環境への影響、資源、計画を担当する最高責任者です。CSOは、企業が環境に与える影響を評価し、事業の持続可能な発展と社会的な影響を低減する戦略を策定したり、、組織が環境に関する地域および国の規制を遵守していることを保証したり、サステナビリティの管理者です。あまりなじみがないですが、海外ではCSOは、重要な職位として認識されつつあり、CSOを配置してる企業はガバナンス上、サステナビリティを重視していると評価される可能性があります。

ECHA(European Chemicals Agency)

ECHA はヘルシンキ(フィンランド)を本拠地とした新しい欧州化学物質庁
(European Chemicals Agency)です。ECHA は欧州連合(EU)内の化学物質の管理について統一性をもたせることを目的とし、REACH 規制の下で、化学物質の登録(Registration)、評価(Evaluation)、認可(Authorization)、制限(Restriction)の手続きの運用・調整を行います。ECHA は加盟国とEU 機関に REACH 規制で対象となる化学物質についての科学的・技術的アドバイスを与えます。ECHA のウェブサイトでは産業界へのガイダンスとツールが提供され、登録された化学物質についての一連の情報が一般公開されます。

Equileap

Equileapは、オランダを拠点とする企業の男女平等に関するデータと評価を行っている機関です。2016年に立ち上げられたこの社会的機関は、職場における平等格差の解消を目的としています。Equileapの評価基準は、WEPsをベースに作られており、「WEPsへの署名」が加点項目となっています。そして、そのEquileapの評価基準・スコアカードなどのデータは、GPIFが現在採用している外国株式を対象に採用したESG指数の「モーニングスタージェンダーダイバーシティ指数」のベースとなるなど、活用されています。

ESGファンドの格付け

ESGファンドの格付けは、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの側面に焦点を当てた投資ファンドの評価です。第三者機関が提供する格付けでは、ファンドの保有資産を特定の指標に基づいて評価し、ファンドの総合的なESGリスクを示します。評価基準や格付け方法は各機関によって異なり、ファンドのESG取り組みを客観的に評価し、投資家に情報提供します。ESGファンドの格付けは、投資家が社会的および環境的な影響を考慮しながら、長期的な価値とリスクを評価する際の重要な情報源となっています。

GRI

GRI(Global Reporting Initiative)は、世界の民間企業や政府機関が、気候変動、人権、ガバナンス、社会福祉等の重要なサステナビリティ関連課題を理解し、伝達するのを支援するNGOです。
1997年に、米国の営利組織セリーズ(CERES)や国連環境計画(UNEP)が中心となり設立しました。
GRIは2000年にGRIガイドラインを公表しました。同ガイドラインは、1997年に提唱された「トリプル・ボトムライン」の考え方に即して、経済、環境、社会の3つの側面について、企業が開示すべき項目や指標を定めています。2013年に出版された第4版は広く普及、2014年には日本でも発行されウェブサイトにて公開されました。
2016年には、新板の「GRIスタンダード」を発表しました。
近年では、より広範囲でのサポートツールを発表する等、多様な面から報告書の質と信頼性の向上に向けた支援を展開しています。

GX(グリーントランスフォーメーション)

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じた、経済社会システム全体の変革です。GXが注目されている背景には、「地球温暖化による気候変動」「カーボンニュートラル宣言」「ESG投資の市場拡大」があります。日本政府や産業界は、カーボンニュートラル達成に向けた動きを経済成長の機会と捉え、温室効果ガス排出量削減と産業競争力向上の両立を目指しています。2022年7月には「GX実行会議」を設置し、第5回の会議では、今後10年を見据えたロードマップとして「GX実現に向けた基本方針」が示されました。また、経済産業省は「GXリーグ基本構想」を発表し、GXへの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取組を行う企業群を官公庁や学術機関と共に協働する場を設立しました。

Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)

Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)とは、1978年に設立された国際人権NGOで世界中の人々の権利と尊厳を守り、高い評価を受けてきた団体です。
世界各地に約280名の多国籍かつ多様なバックグランドを持つスタッフを有しています。スタッフは地域専門家や法律家、ジャーナリスト、学者などの人権の専門家から構成されています。
他の人権団体と協力しながら、客観的かつ正確で徹底した事実調査を行い、それを元に戦略的なロビイング/政策提言を行います。
毎年100本以上発表する報告書やブリーフィングペーパーは、世界各地の現地メディアや国際メディアに広く取り上げられています。世界的な影響力があり、人権侵害の解決に向けた行動の促進や実務の推進を実現しています。

IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告委員会)

IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告委員会)とは、2010年7月に英国で設立された国際的NGOです。
財務情報と非財務情報を統合して開示する「統合報告フレームワーク」の開発・推進を行います。
IIRCは投資家や企業、基準設定主体、会計専門家、NGOなどによって構成されています。
2013年12月には、組織が中長期にわたっていかにして企業価値を生み出そうとしているのかに関して報告するための枠組みである「国際統合報告フレームワーク」を公表しました。
企業のグローバル化やサステナビリティ・知的資産という非財務情報への注目の高まり、年次報告書の複雑化などを背景として活動しています。2020年には、ステナビリティ会計基準審議会(SASB)と組織統合しました。

ILO(International Labour Organization:国際労働機関)

ILO(International Labour Organization:国際労働機関)とは、世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする専門機関です。
1919年に「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」という憲章原則の上、1919に創設されました。本部はスイスのジュネーヴにあります。
ILOは社会正義を基礎とする世界の恒久平和を確立することを目的に、基本的人権の確立、労働条件の改善、生活水準の向上、経済的・社会的安定の増進に注力しています。
最も伝統的な活動としては、条約や勧告の制定といった基準設定活動があります。条約と勧告は、協議の国際労働基準を構成します。

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)とは、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織です。
人為的起源による気候変化、影響、適応および緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済的な見地から包括的な評価を行うことを目的としています。IPCCは公に発表された論文などをもとにした評価報告書を発表します。
IPCCには政府関係者だけでなく各関連分野の専門家も参加しています。数年おきに発行する、地球温暖化に関する世界中の数千人の専門家の科学的知見を集約した報告書「評価報告書(Assessment Report)」は、国際政治および各国政策に多大な影響力を持っています。
IPCCは、最高決議機関である総会、3つの「作業部会(WG)」「インベントリー・タスクフォース(TFI)」から構成されます。また、各WG、TFIのそれぞれの活動を支援する「技術支援ユニット」が設置されています。

ISCC認証 (International Sustainability & Carbon Certification:国際持続可能炭素認証)

ISCC認証は、バイオマスや再生品などの持続可能な原材料を使用して製品を製造する企業や団体を認証する国際的な認証制度のことです。
本認証を目印に、消費者はサステナブルで環境にやさしい製品を選択することができます。また、機関投資家もESG投資の対象を選定する基準として本認証を参考にします。
ISCCは、EU内に対象地域が限定される「ISCC EU」と、EU以外でも取得可能な「ISCC PLUS」の2種類に大別されます。
「ISCC EU」は、生物由来の農産物と廃棄物や残渣を持続可能な原材料と定義し、バイオマス原料や製品にターゲットを絞った認証制度を構築しています。また、サプライチェーン全体での持続可能な原材料の使用状況とGHG(温室効果ガス)排出量を報告する義務があります。
一方、「ISCC PLUS」は、プラスチック廃材などの工業廃棄物も対象としています。また、リサイクルや再利用を積極的に活用するサーキュラーエコノミー(循環型経済)をより意識した制度設計となっており、企業や団体が任意で対応方針を決めることができます。

ISO26000

ISO26000は、ISO(国際標準化機構)が2010年11月1日に発行した、組織の「社会的責任」に関する国際規格です。
ISO26000の開発にあたってはISO規格としてははじめてマルチステークホルダープロセスがとられ、99カ国が議論に参加しました。
ISO26000では、社会的責任の原則について、1.説明責任、2.透明性、3.倫理的な行動、4.ステークホルダーの利害の尊重、5.法の支配の尊重、6.国際行動規範の尊重、7.人権の尊重、と説明しています。
社会的責任についての簡潔な解説や社会的責任の最良事例なども取り入れられており、組織が行動するためのツールとして利用されます。
日本では経団連がISO26000を参照に企業行動憲章を改定しています。

ISS(Institutional Shareholder Service) ESG

ISS ESGとは、議決権行使助言会社であるInstitutional Shareholder Service(ISS)の責任投資部門です。代表的なESG評価機関の1つであり、サステナビリティ格付評価を実施しています。2023年3月には、同社の企業およびファンドのESG評価とスコアを一般に無料で提供するオンラインポータルサイト「ISS ESG Gateway」を発表しました。本サイトでは、業界ごとに約100の指標に基づき、世界中の6,100以上の企業がA +からD-まで格付けされています。企業だけでなく、45の国・地域にまたがる約30,000のファンドの評価も実施・提供する予定です。

JI(共同実施)

JIとは、先進国同士でGHG排出削減または吸収増大プロジェクトなどの地球温暖化対策事業を実施し、その結果生じた排出削減量(または吸収増大量)に基づいてクレジットが発行される仕組みで、京都議定書第6条に規定されている、京都メカニズムの一つです。
先進国が技術やノウハウ、資金力を活かすことで国内での排出量削減事業を行うだけでなく、国同士が互いの得意分野を補完し合うことで、さらなる削減を可能にするよう設計されました。JIにおいて発行されるクレジットは、排出削減単位(ERU)です。JIはホスト国による京都メカニズム参加資格の有無によって、トラック1とトラック2の二つの手続きに分かれます。参加資格を有している場合は、ERUの発行手順はホスト国が決定できます。
ホスト国が京都メカニズムの参加資格である6つの要件全てを満たしていない場合は、ERUの発行手順はCDMと類似したものが適用されます。

LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)

LEED認証とは、ビルト・エンバイロメント(建築や都市の環境)の環境性能評価システム・国際認証プログラムのことです。非営利団体米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発、運用し、Green Business Certification(GBCI)が認証の審査を行っています。LEED認証を受けた建築物は、水やエネルギーなどの資源の効率的な利用を実現し、温室効果ガス排出削減へ貢献していることが証明されます。
2013年11月にリリースされた「LEED v4」では、LEED認証が目標する7つのジャンルとして、気候変動、健康、生物多様性、水資源、材料・資源、コミュニティ、経済を挙げており、環境面にとどまらない幅広い目標を掲げています。
本認証の取得には、グリーンビルディングとして備えるべき必須条件(Prerequisite)を満たした上で、選択項目のポイント(Credit Points)取得が必要です。 取得ポイントにより、認証レベルが決まることになります。

Net Impact

Net Impactとは、1993年に設立された、社会問題に関心のある学生や実務家によって構成される米国のNPOです。ポジティブなインパクトの創出を目的としており、10万人以上のメンバーが所属しています。メンバー同士のスキルや経験、ネットワーク形成の機会提供の場となり、メンバーの活動が最大のインパクトを生み出すことを目指しています。
1993年設立当初、支部数は6つでしたが、2016年には世界中に298支部と、現在も拡大を続けています。Net Impact全体でのカンファレンスや支部ごとのカンファレンス開催、学習プログラムの提供、インターンシップや採用情報の紹介、ガイドブック『Business As UNusual』の発行などが主要な活動内容です。

NZAOA(Net-Zero Asset Owner Alliance)

Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)は、2019年9月に国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEPFI)と国連責任投資原則(PRI)によって発足したイニシアティブのことです。パリ協定での目標(気温上昇を1.5℃未満に抑える)達成に向け、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロのポートフォリオに移行することをコミットするアセットオーナーのイニシアティブです。2022年11月時点の加盟機関は83機関で、そのうち多くがヨーロッパ地域の機関であり、アジア地域では日本を中心とした6機関の参加に留まっています。本イニシアティブによる運用資産残高は約11兆ドルに上ります。

OECD多国籍企業行動指針

OECD多国籍企業行動指針は、多国籍企業が世界経済の発展に重要な役割を果たすことをふまえ、それらの企業に期待される責任ある行動を自主的にとることを求める勧告として、経済協力開発機構(OECD)が1976年に策定したガイドラインです。世界経済の発展や企業行動の変化などの実情に合わせ、これまで6回(1979年、1984年、1991年、2000年、2011年、2023年)改訂されています。本行動指針にはOECD加盟国38カ国に加え非加盟国13か国が参加しています。
同指針は、一般方針、情報開示、人権、雇用・労使関係、環境、賄賂・贈賄要求・金品の強要の防止、消費者利益、科学及び技術、競争、納税等、幅広い分野における責任ある企業行動に関する原則と基準を定めています。同指針に法的拘束力はなく、適用実施は各企業に委ねられています。
同指針において期待される企業の責任として、①企業が経済、環境、社会面での発展に積極的に貢献すること②企業の活動から生じる「悪影響」を避け、悪影響が生じた場合には対応を実施することが位置づけられています。
同指針の普及、照会処理、問題解決支援のために、各国に連絡窓口(National Contact Point、NCP)が設置されています。

Pathfinder Framework / Pathfinder network

Pathfinder networkは、すべての組織がシームレスに接続し、情報交換し、排出データから洞察を得るための共通のネクサスであり、必要な規模の脱炭素化を実現するための基盤です。さまざまな技術ソリューションが接続し、バリューチェーンや業界を超えたピア・ツー・ピアのデータ共有を可能にするオープンで分散型のネットワークインフラを提供します。

PFAS規制

PFAS規制とは、有機フッ素化合物(PFAS)の管理規制です。PFASはその環境残留性や生態蓄積性から、永遠の化学物質と呼ばれ、また人への有害性も指摘されています。現在10,000種類以上のPFASの製造・上市・使用を制限する規制案が提出されており、可決されれば欧州で最大級の化学物質管理規制となります。PFASは、GHG削減・除去技術にも多用されているため、本規制案の社会的影響は計り知れません。なお、医療機器や産業への用途などの代替手段はまだないため、代替手段の開発に時間を要す一部の適用先については、18ヶ月間の移行期間に加え、特例としてさらに5年間または12年間の猶予期間も提案されています。

PPP(Polluter-Pays Principle:汚染者負担原則)

PPP(汚染者負担原則)とは、汚染防止費用は汚染者が負担すべきであるという考え方です。1972年にOECD理事会が採択した勧告「環境政策の国際経済面に関するガイディング・プリンシプル」の中で提唱されました。それまでは、民間企業に対し公害対策を課す国と課さない国があり国際競争において不公平な状況が発生していました。そこでPPPでは、生産から消費のプロセスにおいて環境汚染を伴う場合、環境維持のための費用を当該商品・サービスのコストに反映させるべきとし汚染者自身が損害削減に取り組むことを狙っています。なお、OECDによるPPPと日本における汚染者負担の考え方には厳密には違いがあります。前者が経済的な視点に立っているのに対して、日本では公害問題への反省から環境の復元や被害者の救済措置にも比重が置かれています。

PRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)

PRI(責任投資原則)は、投資の意思決定プロセスにESG観点(環境、社会、コーポレートガバナンス)を組み込むべきだとした世界共通のガイドラインです。6つの原則とその全文から構成されており、2006年に当時の国連事務総長コフィ―・アナン氏が機関投資家を中心とした投資コミュニティに対して提唱しました。発足当初より、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と国連グローバル・コンパクト(UNGC)が統括機関となり、署名機関数と運用資産額は年々増加しています。署名機関は専用のウェブサイトで様々な研究やキャンペーン等の最新情報を得たり、勉強会に参加したりすることができます。ただし、6原則の遵守や毎年の報告等を行う義務があり、PRIによる評価が一定基準を満たさない場合は除名の対象となります。

PUE(Power Usage Effectiveness)

PUEとは、データセンターなどのIT関連施設におけるエネルギー効率を測定する指標の一つです。施設全体の消費電力量をIT機器の消費電力で割った式で算出されます。PUEの値が小さいほど、施設の電力効率が良いとされています。一般的なデータセンターは2.0から3.0の間になると言われており、2.0を切ると効率の良い施設、3.0を超えると効率の悪い施設とみなされます。PUEが生まれた背景には、データセンターのエネルギー消費量増加への懸念があります。IT機器がデータセンターに集まりエネルギー消費量が増加すると、その分二酸化炭素排出量が増加してしまう可能性があるからです。PUEを効果的に下げるため、空気の流れを改善したり、寒い地方に施設を設置するといった工夫が行われています。

Race to Zero

Race to Zeroは、企業や自治体、投資家、大学などの非政府アクターに、温室効果ガス排出量削減に向けた行動を起こすことを呼びかける国際キャンペーンです。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が、2020年6月5日の「世界環境デー」に開始しました。キャンペーン参加者には、2050年までのカーボンニュートラル達成と中間目標の設定、経営陣等のコミットメント等を促し、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標実現を目指します。現在(2022年9月時点)、52の地域、1,236の都市、8,307の企業、1,125の大学、595の金融機関を含む非政府アクターがRace to Zeroに賛同しています。

REACH規則(リーチ規則)

REACH規則とは、欧州連合(EU)における化学物質の登録・評価・認可・制限に関する規則です。人々の健康や環境保護、EU市場での自由な流通の確保、EUの化学産業競争力の維持向上を目的としています。2020年までに人の健康や環境への悪影響を最小化する化学物質管理についての指針「ヨハネスブルグ実施計画」が採択され、具体化するためのアプローチ「SAICM」が採択されました。この流れを背景に、2008年には欧州化学物質庁(ECHA)が設立され、REACH規則を運用しています。同規則において対象となるのは、「物質」「調剤中の物質」「成形品中の物質」です。REACH規則はEU加盟国だけでなく、EU域外から輸入される物質についても登録・評価が要求されるため、EU域内へ輸出する事業者にも同規則を遵守する義務があります。

ROESG

ROESGとは、「ROE(Return On Equity)」と「ESG(E:Environment、S:Social、G:Government)」を組み合わせた言葉です。伊藤レポートの著者である伊藤邦雄氏によって提唱されました。「ROE」は、資本生産性(自社の資本をいかに株主の利益に変換できたか)を表す指標です。欧米では、社会的不平等の拡大・気候危機の深刻化などに伴い、企業行動の軸足は、ROEを重視する株主利益最大化からESG(持続可能性)の観点を取り入れた顧客・従業員・環境などのステークホルダーへの配慮へとシフトしています。一方の日本では、ROEとESG(持続可能性)のどちらも不十分であるとし、資本生産性・持続可能性のどちらか一方を重視するのではなく、双方を融和した経営を追求すべきであると主張されました。

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RoHS指令(ローズ指令)

RoHS指令(ローズ指令)とは、電気・電子機器などの特定有害物資の使用制限に関するEUの法律です。2003年に最初の指令(通称RoHS1)が制定された後、2011年に大幅改正され、現在に至るまで施行されています(通称RoHS2)。現在では10の物質が「RoHS10物質」と呼ばれ、制限されています。具体的には、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB(ポリ臭化カビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6物質と、4種類のフタル酸エステルです。各10物質はそれぞれ最大許容濃度が定められ、最大許容濃度を超える量を含む製品はEU域内で製造・販売できません。また、最大許容濃度以下であることが明確化された販売製品には、CEマークという安全マークの貼付が義務づけられています。

SA8000

SA8000は、社会的責任に関する国際規格であり、労働者の権利保護と労働条件の改善を促進することを目的としています。18歳未満の児童労働や強制労働の禁止、安全な作業環境の提供、適正な労働時間と賃金の保障、結社権と団体交渉権の尊重などが規格の重要な要素です。企業や組織がSA8000認証を取得することで、社会的責任を果たす取り組みを公正かつ透明に示し、信頼を得るとともに、労働者の権利と労働条件の向上に寄与します。

SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)

SAFとは、持続可能な原料から製造された航空燃料のことです。従来の化石ジェット燃料と化学的性質が非常に似ています。SAFを使用すると、燃料のライフサイクルにおいて、従来のジェット燃料と比較して二酸化炭素排出量を削減することができます。一般的な原料としては、動物や植物から出る食用油やその他のパーム以外の廃棄物、家庭や企業から出る包装材、紙、繊維製品、生ゴミなど、埋め立てや焼却に回される固形廃棄物があります。その他、廃材などの林業廃棄物や、早生植物や藻類などのエネルギー作物も可能性があります。

SBTi/SBT(Science Based Targets initiative:科学的根拠に基づく削減目標イニシアティブ)

Science Based Targets initiative(SBTi)は、企業が科学的根拠に基づく排出削減目標を設定できるようにすることで、民間企業における野心的な気候変動対策を推進するイニシアティブです。SBTiは、CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)によるパートナーシップ組織です。最新の気候科学に沿った科学的根拠に基づく目標を設定する企業に対し、技術支援と専門家のリソースを提供します。また、専門家チームを結成し、企業に対し、目標の独立した評価と検証を提供します。

SBTN(Science Based Targets Network)

SBTN(Science Based Targets Network)は、科学に基づく環境目標を設定するネットワーク組織です。SBTNは水、土地、生物多様性、海洋の4つと気候を合わせた5つの領域における自然の喪失を回避するため、環境負荷の低減に向けた科学的根拠に基づく目標(SBTs)の設定に関する方法論を開発しています。2020年には企業向けの初期ガイダンス「Science-Based Targets for Nature: Initial Guidance for Business」が発表され、SBTs for Natureの基本概念とともに、企業がネイチャー・ポジティブに貢献するためのステップ等が示されています。

SDGs(Sustinable Development Goals:国連持続可能な開発目標)

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016〜2030年までの国際目標です。2001年策定のミレニアム開発目標(MDGs)の後継として採択されました。「だれ一人取り残さない」ことを掲げ、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17のゴール、169のターゲットで構成されています。特徴として、①普遍性②包摂性③参画型④統合性⑤透明性が挙げられます。日本においても政府が2016年5月に「SDGs推進本部」を設置し、同年12月に取り組み方針となる「SDGs実施指針」を策定しました。

SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)

SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)とは、社会問題や環境問題の解決と投資収益の獲得を同時に達成しようとする投資手法です。財務情報だけではなく、社会、環境、倫理などの面も投資評価基準に入れます。
SRIは1920年代に米国キリスト教教会などが宗教上の理由から、タバコ、アルコール、ギャンブル等産業への投資を除外したことに起源を持ちます。
ESGとSRIとの違いは、前者が社会的課題の解決や持続的成長という面に重きを置くのに対し、後者は投資の観点から、社会的課題の解決、長期的な運用収益の向上を重視している点にあります。

Sustainable Brand Index

Sustainable Brand Indexは、北欧とオランダにおいて実施されている独立系ブランド調査です。2011年にスウェーデンで創設されました。本調査は持続可能性がブランディング、コミュニケーション、事業展開にどのような影響を与えるかを測定・分析することが目的です。8カ国の8万人の消費者の協力を得て、36業種にわたる1600近いブランドの持続可能性を測定・分析しています。
それを元に、持続可能性に関するブランドを毎年ランク付けしています。ランキングは、ブランドがその重要なステークホルダーから持続可能性についてどのように認識されているかを示し同社のレポートで報告されています。また、レポートは、消費者データ、ブランドと競合他社の分析、重要なトレンド、持続可能性に関する戦略的提言など、ブランドごとにカスタマイズされています。

SustainEx(サステネックス)

SustainEx(サステネックス)とは、インパクト測定のためにシュローダーが独自開発したツールです。企業が環境や社会に与える正・負の影響を定量化に向け、シュローダーのアナリストやファンドマネージャー、投資家がインパクトやリスクをより効果的に測定・管理できるよう支援するツールです。

TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures::気候関連財務情報開示タスクフォース)

TCFD(気候関連財務情報タスクフォース)は、投資家に適切な投資判断を促すための、効率的な気候関連財務情報開示を企業へ促す民間主導のタスクフォースです。2017年6月に公表した最終報告書では、すべての企業に対し、2℃目標等の気候シナリオを用いて、自社の気候関連リスク・機械を評価し、経営戦略・リスクへの反映、その財務上の影響を把握、開示することを推奨しています。気候関連のリスクを一貫性があり比較可能な形で報告することを目的としており、情報開示を行う企業、銀行、投資家に広く利用されています。なお、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、TCFDからの要請を受け、2024年以降に、企業の報開示状況を監視する役割を担います。

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務開示タスクフォース)

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)とは、組織が自身の経済活動における自然環境や生物多様性に関するリスクと機会を評価し報告することを促すイニシアティブのことです。設立の背景には、多くの経済活動の自然環境への依存度の高さがあり、2019年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にて、資金の流れを自然保全・回復への活動に向けるため着想されました。TNFDは多くの市場関係者や国際機関と協働して、自然関連リスクに関する情報開示フレームワークを開発しています。

UNGC(United Nation Global Conpact:国連グローバル・コンパクト)

UNGC(United Nation Global Conpact)は、2000年に提唱された国連のイニシアティブであり、企業や組織に対して持続可能な経済成長、社会的公正、環境保護を促進する国際的な枠組みです。10の基本原則には人権、労働権、環境保護、腐敗撲滅などが含まれており、これらを尊重し実践することが求められます。参加組織は毎年報告を提出し、実施状況を公表します。グローバルコンパクトは、世界中の企業や組織が共通の目標に向けて協力し、持続可能な未来の実現に寄与する重要な枠組みとして位置づけられています。

WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)

WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)は、持続可能な開発を推進するために1995年に設立された国際的な企業組織で、世界中の主要な企業や産業団体が参加しています。その目的は、企業のリーダーシップを通じて社会的・環境的な持続可能性を促進し、経済成長と調和させることです。WBCSDは、ビジネスリーダーシップの推進、政策への影響力の発揮、持続可能な解決策の提供の3つの柱に基づいて活動しています。

WBCSD PACT (Partnership for Carbon Transparency)

PACT(Partnership for Carbon Transparency)とは、WBCSDが組成するイニシアティブです。本イニシアティブはサプライチェーンにおける炭素排出量の真の透明性を通じて脱炭素を実現することをビジョンとしています。正確かつ一次データ(実測値)によって検証が可能な、排出量データの交換および計測のための、グローバルな方法論と技術基盤の確立の実現を目指しています。

WEEE指令

WEEE指令とは、電気・電子機器廃棄物(WEEE)に関するEU法です。電気・電子機器の再利用またはリサイクルを促進し、廃棄量を削減することを目的に、加盟国及び生産者にWEEEの回収やリサイクルシステムの構築、費用負担を義務付けています。2012年の改正では、廃棄物の回収率を定めた「WEEE回収目標」が変更されました。新たな回収目標では、2016年までに過去3年間に販売された電気・電子機器の年平均重量の45%、2019年までに過去3年間に販売された電気・電子機器の年平均重量の65%もしくはWEEEの総重量の85%となりました。

XPANSIV

XPANSIV(エクスパンシブ)とは、2019年にオーストラリアの商品スポット市場CBLと、アメリカのESG商品プラットフォームXpasivが統合した企業です。同社は炭素・エネルギー・水などの環境商品を評価・交換できる市場インフラを開発し、ボランタリーカーボンオフセット、再生可能エネルギークレジット、低炭素燃料の市場データなどのサービスを提供しています。2023年1月に、サービス拡大とテクノロジープラットフォーム拡張のため1億2,500万ドルの増資を完了しました。

ZEH

ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅を指します。高断熱や省エネルギー設備の導入により可能な限りエネルギーを節約するとともに、太陽光発電等でエネルギーを調達することで、年間の消費エネルギーをゼロにする目的で建てられた住宅です。日本では「エネルギー基本計画」により、ZEHの実現と普及目標として、2030年までに標準的な新築住宅でZEHを実現すること、2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現することの2つが掲げられています。

2℃(2 degrees)

2℃(2 degrees)は今世紀までに世界の平均気温上昇を産業革命以前の水準と比較し、2℃未満に抑えることを目指す世界共通の長期目標です。
2℃よりも十分に低く保つこと(1.5℃に抑える努力)が、地球温暖化に伴う最悪の事態を回避することに寄与すると広く認識されています。
2015年12月にパリで開催された第21回国際連合気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて合意されました。

3R

3Rとは、環境問題に関する「R」から始まる3つの英単語「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)の総称です。Reduceはごみの削減、Reuseは再利用、そしてRecycleは文字通りリサイクルを表しています。3Rは、何かを捨てる前に、まずReduceのためにそれは本当に手放してよいものかどうか判断し、その後Reuseの可能性を探り、最後に捨てる選択をした場合、Recycleを行うという「Waste hierachy」が提唱されています。日本でも3Rの動きは見られ、2000年には循環社会形成推進基本法に3Rの考え方が取り入れられました。また経済産業省は、循環型社会を目指すべく3R政策を実施、廃棄物・リサイクル法体系の整備、エコタウン事業のような環境産業の育成などの取り組みを進めています。

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