3月15日、環境情報開示プラットフォームCDPの新しい報告書によると、バリューチェーン全体の排出量、すなわち「スコープ3」排出量の開示を開始するという規制が主要市場で近づいているにもかかわらず、約60%の企業がサプライチェーンの排出量カテゴリーを一つも報告できていないことが明らかになった。
CDPは、グローバルな環境情報開示システムを運営しており、投資家やその他のステークホルダーは、気候変動、森林破壊、水の安全保障などの主要な環境サステナビリティ分野における組織のパフォーマンスを測定・追跡できるようになっている。
本調査は、一般的に企業の気候変動フットプリントの大部分を占めるスコープ3排出量の報告が注目される中、特に欧州や米国を含む主要な規制報告制度やグローバルスタンダードが、今後数年以内にサプライチェーン排出量の開示を義務付けることを受けて行われた。
しかし、規制要件が近づいているにもかかわらず、CDPのレポートによると、2022年には、Scope1および2の直接排出量を報告している企業が70%以上であるのに対し、Scope3のカテゴリーを一つでも報告している企業は41%に過ぎない。
CDPは本報告書の中で、バリューチェーンにおけるデータの透明性とトレーサビリティの制限、データの質と粒度の低さ、データ抽出のための自動化ツールの欠如、ほとんどのスコープ3カテゴリーに対する影響力の制限、規制環境の変化など、スコープ3報告を妨げている一連の課題を挙げている。
しかし、報告書は、多くの取り組みが初期段階にとどまっているものの、企業がスコープ3排出量への対応に向けて前進していることを示した。現在、サプライヤーとの契約に気候変動関連の要件を盛り込んでいると回答したのは11%に過ぎないが、36%は、今後2年以内にサプライヤーとの契約要件として、サステナビリティKPIを購買プロセスに組み込み始める予定だと回答している。