9月、KPMGは新たにレポート「KPMG CEO Outlook」を発表し、地政学・オフィス復帰・ESG・生成 AIについてのCEOたちの見解を発表した。このレポートは、北米・欧州・アジア太平洋の市場で収益5億ドル以上の大企業1,325社を対象に調査が行われた。中でも、ESGの分野では、この10年間でCEOたちのESGとサステナビリティに関する意識が高まっていることが明らかになった。
同レポートによると、2015年には、CEOたちは環境リスクを最も優先度の低いリスクと位置づけていたが、2024年になると、ほぼ4分の1(24%)が、ESGの期待に応えられなかった場合、競合他社に優位性を与えてしまうと認めており、自社の在職期間への脅威(21%)や採用難(16%)に先んじた問題であると位置づけられているという。
さらに、一部の国ではESGアジェンダの政治化が進んでいるにもかかわらず、リーダーはESG問題が組織の信頼や評判に与える影響に特に敏感である。CEOの4分の3(76%)は、収益性は高くとも、評判を損なうような事業の一部は売却することも厭わないと回答している。また68%のCEOは、政治的・社会的に争いのある問題については、たとえ取締役会から懸念を指摘されたとしても、断固とした姿勢で臨むと回答した。
しかし、半数以上(66%)のCEOは、ESGに関して、株主やステークホルダーからの潜在的な監視や期待に応える準備ができていないことを認めており、これに対応するための行動を取ることを示唆している。また、ステークホルダーや外部からの圧力の高まりを受け、CEOたちはESGへの取り組みをどのように伝えるかについてもシフトしているようだ。今年のグローバル調査によると、CEOの69%が、過去12ヶ月間と同じ気候変動関連戦略を維持しているものの、変化するステークホルダーのニーズに対応するため、使用する言葉や用語を変更したことを明らかにした。
また、多くの組織が環境目標を報告するようになる2025年に向けて、30%のCEOが、気候変動に関する野望を達成するための最大の障壁は、サプライチェーンの脱炭素化がもたらす複雑さであると答えた。
【参照ページ】
(原文)Top CEOs navigate global turbulence by betting big on AI and talent