カナダ政府、2050年ネット・ゼロに向けたサステナビリティ投資ガイドラインを推進

10月9日、カナダ政府は、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するための重要な一歩として、新たな持続可能な投資ガイドライン「メイド・イン・カナダの持続可能な投資分類法」を発表した。本ガイドラインは、低排出または非排出の経済活動への民間資本の投資を促進し、気候変動対策を加速することを目的としている。

産業の脱炭素化を支援する「移行」カテゴリー

新しい分類法の特徴の一つとして、「グリーン」カテゴリーに加えて、カナダの高排出産業が脱炭素化を進めるための「移行」カテゴリーが導入された。これにより、排出量の多い産業も科学的根拠に基づいた持続可能性への道筋をたどることが求められ、ネット・ゼロ達成に向けた具体的なステップが提供される。

ガイドラインの主なポイント

  • 「グリーン」と「移行」カテゴリーの導入
    持続可能な経済活動を2つのカテゴリーに分け、低排出と高排出の産業の双方への資金提供を促進する。特に「移行」カテゴリーは、カナダの主要産業が脱炭素化を進めるための指針を提供する。
  • 対象セクターの焦点
    ガイドラインは、低排出エネルギー、輸送、建築物、農業、重工業などを優先的に対象としている。今後12ヶ月以内に、詳細な分類が発表される予定である。
  • パフォーマンス基準の導入
    国際的な基準に基づき、気候科学を反映したパフォーマンス指標を採用。1.5℃の気温上昇抑制目標に適合する経済活動が明確化される。

サステナブルファイナンス市場への影響

このガイドラインにより、金融機関や企業は、気候変動対策を推進しやすくなることが期待されている。特に、投資家がカナダの持続可能な経済活動を理解し、ネット・ゼロへの移行を支援するための基準が提供されることになります。また、国際的なタクソノミー(分類法)とも互換性を持たせることで、グローバルな資本市場におけるカナダの競争力も強化される見込みである。

カナダ政府は、企業に対して気候情報の開示を強化し、ネット・ゼロ目標に基づいた移行計画を求めることで、持続可能な経済への移行を加速させることを目指している。

【参照ページ】
(原文)Government advances Made-in-Canada sustainable investment guidelines to accelerate progress to net-zero emissions by 2050
(日本語参考訳)政府は、2050年までにネットゼロ排出への進展を加速するために、カナダ産持続可能な投資ガイドラインを推進しています。

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…
  2. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る