ESMA、欧州監督指針で改称と投資方針修正が相次ぐ

12月17日、欧州証券市場監督機構(ESMA)は、ESGやサステナビリティ関連用語を基金名に用いる際の指針がEU基金市場に与えた影響を分析したリスク分析報告書を公表した。本報告は、2024年5月に導入されたESMA指針が、グリーンウォッシング防止と投資家保護を目的に、基金名と実際の投資戦略の整合性を求めて以降、その状況を整理している。

分析によれば、EU大手25運用会社(運用資産総額7.5兆ユーロ)からの約1,000件の通知を基に調査した結果、指針に対応した基金の約3分の2が名称を変更し、過半数が投資方針を修正した。名称変更では、ESG関連用語を完全に削除するケースが最多で、代替表現として「スクリーンド」「セレクト」などが用いられた。投資方針の修正では、化石燃料関連企業の除外規定を明示的に追加する動きが中心であった。

さらに、ESG用語を維持した基金は、化石燃料関連資産への投資比率を他の基金より速いペースで削減しており、指針がポートフォリオの脱炭素化を促したことが示された。一方、化石燃料へのエクスポージャーが高い基金ほど名称変更を選択する傾向が強く、特に米国本拠の運用会社でその傾向が顕著であった。

ESMAは、これらの結果から、指針が基金名の使用に一定の収れんをもたらし、サステナブル・ファイナンス市場の信頼性向上に寄与したと結論付けている。

(原文)Impact of ESMA Guidelines on the use of ESG or sustainabilityrelated terms in fund names

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