EUDR簡素化レビューが公表で企業への影響はどう変わる?最新動向と対応ポイントを整理

EUにて2024年に導入が予定されていた森林破壊防止規則(EUDR)は、2025年12月への適用延期が決定した。また、2026年5月には、実務負担の軽減を目的とした簡素化レビューが発表された。本記事の前半ではEUDRの概要と延期や対象の整理を、後半では簡素化の主な4つのポイントと今後の対応指針を紹介する。現在、CSRD・ESRSやCSDDDでも簡素化が進む中、欧州におけるサステナビリティ規制の最新動向を正確に把握しておくことは重要だ。

EUDRとは

EUDR(EU Deforestation Regulation/欧州森林破壊防止規則)は、パーム油、牛肉、木材、ココア、コーヒー、ゴムおよびその関連商品について、森林破壊に関与していないことを示すようなDUe Deligence Statement(DDS:デューデリジェンス・ステートメント)の提出を企業に求める規制である。

2023年に承認され、当初は2024年12月の施行が予定されていたが、国際的な準備状況を考慮し、欧州委員会は2024年10月に施行を1年延期することを発表した。さらに、2025年12月には、さらなる1年延長が決定した。

EUDRでは、自社製品が「2020年12月31日以降に森林破壊が行われた土地で生産されていない」ことを企業が証明する必要がある。そのために、企業にはデューデリジェンス(DD)義務が課せられ、製品の原産地情報、生産地の地理座標、生産期間、森林破壊との関係性の有無などを含む報告書を作成・提出しなければならない。

対象企業と実施スケジュール

EUDRの義務は業界からの実務的懸念と中小企業への配慮を受け、以下のとおり欧州委員会は1年間の延期が決定された。

  • 大企業:2026年12月30日~
  • 中小企業:2027年6月30日~

本規則では、EU域外の事業者であっても、EU市場に製品を最初に投入する人または法人は「operator」として適用対象となる。また、EU市場で流通・加工・販売を行う downstream operator(下流事業者) や trader(取引事業者) も対象となるが、それぞれ課される義務の範囲は異なる点に留意が必要である。このため、EU域内で事業を展開する日本企業にとっても、サプライチェーン上の役割に応じて規則の適用を受ける可能性がある。

なお、物流や技術的サポートのみ行うサービス提供者(例:貨物代理店、海運会社)は、適用対象外である。

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続きでは、EUDR簡素化措置の実務インパクトと企業が今すぐ検討すべき対応ポイントを整理しています。自社への影響についてご確認のぜひご活用ください。

EUDR簡素化措置4点の実務インパクト整理
・取引先から求められる産地証明・地理情報など、今後求められる日本企業への対応ポイント

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<執筆者

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

マルティネス リリアナ(ESGJournalスペシャリストライター)
サステナビリティ学修士。シンクタンクにて、海洋・大気環境分野を中心とした環境政策・制度検討支援(調査・分析)に従事。また、国際海事機関(IMO)における海洋環境関連条約の技術・政策議論にTechnical Advisorとして参画した経験を持つ。その後、 Big4 ファームにて、気候変動、ネイチャー課題を中心とした企業向けアドバイザリー業務に従事。現在は 非財務情報開示フレームワークからサステナビリティを巡る国際動向まで、企業実務の視点からオリジナル解説およびホワイトペーパーを執筆。

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