3月31日、日本政府は「生物多様性国家戦略2023-2030」の閣議決定を行った。本戦略は、令和4年12月に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえた、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する基本的な計画である。
令和4年12月にカナダ・モントリオールにおいて開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2010年に採択された愛知目標の後継となる、2030年までの世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、各国はそれを踏まえ生物多様性国家戦略を策定・改定することが求められた。
政府では、これに先立ち生物多様性国家戦略の見直しの検討を進めており、令和3年8月19日付けで環境大臣より中央環境審議会会長に生物多様性国家戦略の変更について諮問し、同審議会自然環境部会及びその下に設置された生物多様性国家戦略小委員会において審議が行われ、パブリックコメント等を経て、令和5年3月16日付けで同審議会から答申が行われた。
この答申を踏まえ、令和5年3月31日(金)に「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定した。
2012年に策定した第5次戦略では、以前から掲げていた「生物多様性を社会に浸透させる」「地域における人と自然の関係を見直し、再構築する」「森・里・川・海のつながりを確保する」「地球規模の視野を持って行動する」に加え、「科学的基盤を強化し、政策に結びつける」を盛り込み、5つの基本戦略とした。その中では、経済・金融は変革の対象としては位置づけられいても、イネイブラー(実現者)としては想定されていなかった。
一方で、今回の第6次戦略では、金融機関・投資家を重要なアクターと位置づけたうえで、新たな5つの基本戦略として「生態系の健全性の回復」「自然を活用した社会課題の解決(NbS)」「ネイチャーポジティブ経済の実現」「生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動」「生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進」を掲げた。