3月29日、国土交通省は、企業の実務担当者向けに、洪水を対象とした気候変動に伴う物理的リスクの具体的な評価の手順や考え方等をとりまとめた手引きを公表した。
国土交通省では、令和4年12月に「気候関連情報開示における物理的リスク評価に関する懇談会」を設置し、民間企業の気候関連情報開示における物理的リスク(特に洪水による浸水リスク)の評価のあり方について議論を進めてきた。
本手引きは、企業の実務担当者等を対象に洪水による浸水リスク(洪水リスク)の評価手法について、具体的な手順や評価の考え方等をとりまとめたものである。また、企業がTCFD提言等に対応した物理的リスクとして洪水リスクの評価を行い、さらに洪水を含む水害への対策(適応策)を行う場合に参考となる構成としている。
本書では、洪水リスク評価の基本的なフローとして、「スクリーニング」、「将来リスクの評価」、「評価」の3つのステップに分けて説明している。リスク評価では、上記のハザードマップ等を活用し影響度を大まかに評価する定性評価を行うことが最初のステップとなる。その上で、財務インパクトの定量評価を行う場合の4つのステップも提示した。
- 評価拠点の現在の浸水深を確認
- 現在の被害・損失額を算定
- 将来の洪水頻度倍率を確認し、対象洪水規模での将来の被害・損害額を推定
- 対象洪水規模における将来のリスク増分を評価
国土交通省は、気候変動に関連した洪水リスクの評価に関連した企業等の取組への相談への対応や、水管理・国土保全局の取組みについて情報提供等を行うため、「気候変動リスク評価支援担当窓口」を新たに設置した。
【参照ページ】
民間企業の気候関連情報開示におけるリスク評価をサポート