5月10日、グラスゴー金融同盟(GFANZ)は、2022年6月に設立されたGFANZアジア太平洋(APAC)ネットワークの一環として日本支部を設立すると発表した。日本は支部を持つ初めての国となり、2023年6月の始動を予定している。
GFANZ日本支部は、専門知識やリーダーシップを提供する他、日本国内の金融機関、パートナー企業、官公庁など、様々なステークホルダーと協働し、日本がネット・ゼロへの移行の機会を掴むために必要な変革を実行・加速し、ネット・ゼロ目標を達成できるよう支援する。
日本がG7広島サミットの議長国を務めるタイミングでのGFANZ日本支部の立ち上げにより、日本の金融機関が自主的に協力し、気候変動ファイナンスに関してリーダーシップを発揮する形となる。金融庁、財務省、日本銀行、経済産業省、環境省を含む国内官公庁・公的機関はGFANZ日本支部の設立を歓迎している。日本の大手金融機関20社以上がGFANZのメンバーであり、APAC地域では日本からのメンバーが最多となっている。
GFANZ日本支部は東京に拠点を構え、国内の金融機関がネット・ゼロ移行計画を策定するための知識やベストプラクティスを共有し、ネットゼロ・エコノミーへの公正な移行に必要な政策や施策について各金融機関が関係省庁や提携企業と連携できるようサポートしていく。
GFANZ日本支部は主要な金融機関や政府機関を代表される皆様などを含むコンサルテーティブグループを設立し、支部の活動や成果物へのコンサルテーションを通じて業界エキスパートの皆様と協働する。第一生命保険株式会社 代表取締役会長である稲垣精二氏が、本グループの初年度の議長を務める予定である。日本支部の活動は国内に拠点を持つ金融機関によってサポートされる。GFANZ日本支部のアドバイザーは前OECD事務次長で三菱UFJ銀行顧問の河野正道氏が務め、同氏はGFANZ APACネットワークの諮問委員会にも加わる。
GFANZ APACネットワークはアジア太平洋地域におけるネット・ゼロへの移行を加速するために2022年に設立された。GFANZは、APACにおいてインドネシアおよびベトナムにおける「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」を支援すると同時に、石炭火力発電所の段階的廃止を促進するためのガイダンスを金融機関に提供する地域のワークストリームを運営している。
日本は気候変動ファイナンスにおいて優れたリーダーシップを発揮しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」を通じた気候変動関連の情報開示に関して他国のモデルとなっているだけでなく、世界全体のTCFD賛同機関の30% を占めている。また、日本政府は2021年に、従来定めた基準よりも高い貢献度を目指し、2030年のNDC(国別排出削減目標)を2013年比26%から46%へ引き上げた。GFANZ日本支部は、このNDCの実現に必要な脱炭素化を支援する。