PRI、投資家に対し、DEIへの取り組みを促す報告書を発表

PRI、投資家に対し、DEIへの取り組みを促す報告書を発表

責任投資原則(PRI)は、投資家に対して、多様性、公平性、および包摂(DEI)の問題に関するパフォーマンスの向上を促す報告書を発表した。また、投資家が自らの組織、ポートフォリオ、そしてより広く社会全体でDEIに取り組むために従うべき一連の行動を概説している。

PRIは、投資家によるESG要素の投資プロセスへの統合を支援し、投資家が従うべき具体的かつ自発的で意欲的な原則を確立するために、国連の支援のもと、2006年に設立した。現在署名者は4,300名を超え、運用資産額は121兆円を超えている。

新しいレポート「Diversity, Equity & Inclusion: 投資家のための主要な行動分野」では、投資家がDEIの問題に取り組む上での主要な推進要因とメリットを紹介するとともに、投資家が追求すべき一連の行動分野と提言を行っている。

PRIは、DEIへの注目度を高める主な要因として規制圧力の高まりを挙げており、企業の社会的価値の提供確認を目的とした複数の管轄区域における法規制の要件進化を指摘している。また、規制要件以外にも、意思決定、採用力、従業員のエンゲージメント、評判、生産性の向上など、ビジネスや投資に多くのメリットがあることを強調している。

PRIレポートでは、投資家や企業が、取締役会における女性の代表性の向上など、ジェンダー・ダイバーシティの強化に向けて前進していることを指摘しているが、投資家に対しては、DEIの取り組みの焦点をジェンダー・ダイバーシティだけでなく、社会のさまざまなグループが意思決定権を持つポジションにアクセスできるようにする「インクルージョン」や、社会のすべての人が公平な待遇や結果を享受できるようにする「エクイティ」にも広げることを求めている。

本報告書では、「包括的な企業文化」、「包括的なビジネスモデル」、「製品やサービスの設計およびバリューチェーン全体にDEIを組み込むこと」、「包括的な社会」、「関連する政策レベルに影響を与え、業界全体でDEIの進展を実現すること」、などの主要な行動分野について説明している。これらのカテゴリーで推奨される具体的な行動としては、労働力やバリューチェーンのDEIパフォーマンスなどの要素を、投資やスチュワードシップのプロセスに組み込むことや、政策立案者やステークホルダーとの関わりが挙げている。

PRIは、DEIの問題が人権問題であることを指摘し、投資家に対して、気候変動問題と同様の緊急性をもって人権問題に取り組むよう求めている。

【参照ページ】
(原文)Diversity, equity & inclusion: Key action areas for investors
(日本語訳)PRI、投資家に対し、DEIへの取り組みを促す報告書を発表

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