11月17日、欧州委員会は、欧州グリーンディールを実現するために必要な3つの新しい取り組みを採択した。3つの取り組みとは、EUが主導する森林破壊を抑制するための新たなルール、循環型経済を促進するためのルール、2050年までの土壌回復を目指した「土壌戦略」である。
1つめの森林破壊抑制に関する新規則は、EU市民がEU市場で購入、使用、消費する製品が、
世界の森林破壊と森林劣化に寄与しないことを保証するものである。これらのプロセスの主な要因は、大豆、牛肉、パーム油、木材、ココア、コーヒー、およびそれらの派生製品の一部に関連する農業の拡大である。同規則は、森林破壊のない合法的な製品のみをEU市場に投入することを目的として、これらの商品をEU市場に投入しようとする企業に義務的なデューデリジェンスの規則を定めている。欧州委員会は、ベンチマーキングシステムを用いて、規制の対象となる商品によって引き起こされる森林破壊と森林劣化のリスクのレベルを各国で評価する。
2つ目は、循環型経済促進のため、廃棄物の輸出に関する規則の強化や廃棄物を資源として循環させるためのより効率的なシステム・ルールの策定である。この提案では、EU域外に廃棄物を輸出するすべてのEU企業は、廃棄物を受け入れる施設が、当該廃棄物を環境的に健全な方法で管理していることを示す独立した監査を受けていることを確認しなければならない。
3つ目に、欧州委員会は新たな「EU土壌戦略」を発表した。これは、気候と生物多様性の危機に対処するための「欧州グリーンディール」と「2030年のEU生物多様性戦略」の重要な成果物である。健全な土壌は、口にする食物の95%を支える基盤であり、世界の生物多様性の25%以上を受け入れているが、EUでは70%の土壌が良好でない状態である。「EU土壌戦略」は、農地の土壌炭素を増やし、砂漠化に対抗し、劣化した土地や土壌を回復させ、2050年までにすべての土壌生態系を健全な状態にすることを目的としている。
【参照ページ】
(原文)European Green Deal: Commission adopts new proposals to stop deforestation, innovate sustainable waste management and make soils healthy for people, nature and climate
(日本語訳)欧州委員会、欧州グリーンディール実現に向け3つの新たな取り組みを採択