
9月30日、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)は、世界で初めて「科学的根拠に基づく目標設定(SBT)に関する認定エキスパート」の登録簿を公開した。これは、SBTiアカデミーで提供される認定プロセスを修了した専門家をリスト化したもので、温室効果ガス(GHG)インベントリ評価や排出削減目標のモデリングなど、企業がSBTを策定する際に不可欠となる高度なスキルを有することを証明する。
この認定は、企業が複雑なSBT策定プロセスを効率的に進める上での大きな支援となる。SBTiは、世界的に高まるグリーン人材不足に対応するため、認定制度とともに新たにオンライン教育プラットフォーム「SBTiアカデミー」も立ち上げた。アカデミーでは入門向けから上級者向けまで、計9時間以上の学習モジュールと7段階の認定試験が提供され、初心者の基礎習得から専門家の認定取得までを幅広くカバーする。
背景には、規制要件を超えたステークホルダーからの圧力と、サステナビリティ人材の不足がある。調査によれば、企業の約76%が「スキルの未成熟さ」を最大の課題と認識しており、専門性を持たない人材が社内で育成されるケースが多いという。SBTiはこうした状況を踏まえ、認定エキスパート制度を通じて、企業における気候戦略の立案・実行を後押しする狙いだ。
SBTiのチーフ・インパクト・オフィサー、トレーシー・ワイマンは「SBTへの関心は高まっているが、最大の障壁はスキル不足だ。SBTiアカデミーは、そのギャップを埋め、企業が脱炭素化に成功するための人材基盤を整える」と強調した。今回の動きは、サステナビリティを事業戦略に統合するための“人材インフラ”を整備する大きな一歩となる。
(原文)The SBTi publishes the first ever register of certified science-based target setting experts
(日本語参考訳)SBTi、科学に基づく目標設定の認定専門家の初の登録簿を公開