
9月25日、PwCは「Global Sustainability Reporting Survey 2025」を発表した。2025年、欧州連合(EU)の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)や国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の枠組みに基づく報告が義務化され、多くの企業が初めて報告書を公開した。規制当局の一部は適用範囲縮小や要件延期など“調整”に動いたが、PwCが496社を対象に実施した初の「グローバル・サステナビリティ報告調査」によると、企業へのプレッシャーは依然として高まっている。
調査では、約4割の企業がEUの「一時停止」指令に沿って報告を2年延期する意向を示す一方、同程度の企業はCSRDやISSBの要件に従い予定通り報告を進める姿勢を示した。投資家や顧客、各国当局による情報開示要求が強いことが背景にある。また、報告を行った企業の3分の2以上が、収集したデータを経営戦略やサプライチェーン改革、リスク管理などに活用し「遵守以上の価値を得た」と回答した。
一方で、北米企業では内部からの圧力増加を感じたのは3割強にとどまるなど、地域差も浮き彫りになった。それでも全体の6割超がリソースや経営陣の関与を増やしたと回答。特に「大きな価値を得た」とする企業は、戦略や投資判断への活用度が高く、リソース投下も積極的だった。PwCは「形式的な報告から意思決定に資する仕組みへと進化させる企業が先行している」と指摘している。
さらに、AIの活用が前年比で3倍近くに拡大し、開示文書の作成支援やリスク特定、複数システムからのデータ統合などに用いられている。ただし多くは試行段階で、本格導入はこれからだ。PwCは「財務報告の整備に数十年かかったように、サステナビリティ報告も規制や技術の変化に揺れながら進むが、長期的には企業価値と不可分になる」と結論づけている。
(原文)PwC’s Global Sustainability Reporting Survey 2025
(日本語参考訳)PwCグローバルサステナビリティ報告調査2025