ISSB、IFRS S2「気候関連開示」の修正(2027年1月適用)を発表

12月11日、ISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)は、「IFRS S2 気候関連開示基準」の修正(Targeted amendments)を正式に発表した。本修正は、企業が気候関連情報開示における負担軽減を目的としている。修正後の基準による開示は2027年1月1日から適用が開始される予定で、早期適用も認められている。

| 修正ポイント

ISSBは、IFRS S2の修正の要点は以下の通りだ。

■ スコープ3カテゴリー15のGHG排出量開示の限定

企業が開示するスコープ3カテゴリー15(いわゆる「ファイナンスド・エミッション」)のGHG排出量について、IFRS S2で定義された範囲に限定して測定・開示することが可能。

■ 産業分類の柔軟性

Global Industry Classification Standard(GICS)を基にした分類を用いた情報開示が想定されていたが、修正後はGICS以外の分類システムの利用も許容されるようになった。ただし、独自に選択した分類の枠組み(考え方)とその枠組みが移行リスクの情報提供においてどのように要件を満たしているか、説明をすることが求められる。

関連する解説>>>IFRS S2改訂案:スコープ3開示の現実解とSSBJへの影響とは 2025年12月情報更新版

■ GHG測定方法に関する救済措置の明確化

GHG排出量の測定には一般的にGHGプロトコルが用いられるが、法域(国・地域)の規制や取引所要件などにより異なる方法が求められる場合があるので、法域別要件に応じた測定方法を使用することが可能。

■ GWP値の柔軟使用

排出量をCO₂換算する際に使うGlobal Warming Potential(GWP)値についても、通常はIPCC最新評価値に基づくことが想定されるが、法域で異なる値が求められる場合には地域の値の使用を認める。

| 適用開始はいつか

今後のスケジュールは以下のとおり。2027年1月からの会計年度報告から適用開始とされているので、開示は2028年発行の開示情報からという認識になるだろう。

  • 適用開始日:2027年1月1日(=報告年度)
  • 早期適用:可能(任意)
  • 支援資料:修正に関する教育資料や実務ガイダンスが順次整備される予定

今回のIFRS S2に対する的を絞った修正にあわせて、ISSBは一部のSASBスタンダードについても内容を更新した。これは、IFRS S2が参照する産業別ガイダンスとしてのSASBスタンダードと、修正後のIFRS S2要件との間に齟齬が生じないようにすることを目的としている。

(原文)ISSB issues targeted amendments to IFRS S2 to support implementation

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