【新着】IFRS S2改訂案:スコープ3開示の現実解とSSBJへの影響とは 2025年12月情報更新版

2025年4月28日、IFRS:国際サステナビリティ基準審議会(ISSB) は、IFRS S2「気候関連開示」に関する改訂案を公表した。今回の改定案は、スコープ3開示の柔軟化など実務負担への対応を重視している。本稿では、その主要ポイントと日本のSSBJ基準との整合性、企業が取るべき実務対応を解説する。
| ISSB改訂案の背景
ISSBは、2025年1月にスコープ3の一部免除や業種分類の柔軟化など、実務上の課題に対応するための改訂案を準備していることを表明した。なお、IFRS S2は、2023年の正式公表されており、以降、各国での導入や適用に向けた準備が進められているところだった。2025年3月28日には、本改定案の公表に先立ち、、背景や意図を整理したQ&Aも出されていた。
本改訂案は、IFRS S2の実務的な導入を進める過程で寄せられた現場の課題に対応するものである。
特に、スコープ3の開示負担、GHG排出量測定の国・地域ごとの規制との不整合、分類体系の運用に関する課題などに対応し、柔軟性を持たせることを目的としている。
ISSBは本改訂案に関するパブリックコメントを2025年6月27日まで募集しており、2025年後半には再審議と最終化を予定している。
| 改訂案の全体像(※2025年12月11日情報更新版)
今回の改訂案には、大きく4つの技術的変更が盛り込まれている。スコープ3カテゴリ15(報告対象年度における投資ー株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどーの運⽤に関連する排出量)の開示簡素化、GICS(Global Industry Classification Standard:世界産業分類基準)に代替する分類基準の容認、GHG測定手法や地球温暖化係数(GWP)の柔軟化である。これらは、報告主体の実務負担軽減や地域的制度との整合を意図している。
■ 改定案1:スコープ3カテゴリ15の一部開示免除が可能に
スコープ3のカテゴリ15に該当する「投融資に起因する排出(ファイナンスド・エミッション)」に関して、金融機関などでは開示が難しかった。デリバティブ取引、再保険などの複雑な取引に起因する排出量は、その算定方法や責任範囲が曖昧だったため、複雑になっていたと考えられる。
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執筆者紹介
![]() | 竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター) 大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。 |


