NZBA、実体経済の脱炭素化への資金提供機会の創出に重点を置いた新たな方針を更新

4月15日、世界の銀行による気候変動対策の先頭に立つネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)は、加盟銀行への支援体制を強化する新たな方針の導入を決定した。120以上のメンバーによる圧倒的多数の賛成により、1年にわたる戦略的レビューが完了し、NZBAの活動は新たな段階へと移行する。

この変更により、NZBAは実体経済の脱炭素化に向けた資金調達の機会拡大に重点を置き、各銀行が自らの気候戦略を効果的に実行できるようサポートを強化する。また、顧客との協働を通じて市場を活性化し、グリーン成長を促進する政策を推進する「セクター別エンゲージメント」への注力も開始される。

NZBAの最新フレームワークでは、次のような点が盛り込まれている。

  • グローバルな参照ガイダンスの提供:規制の有無に関わらず、すべての銀行が気候関連報告の外部要請に対応できるよう支援する。
  • 柔軟なネット・ゼロ経路の承認:1.5℃シナリオに加え、より広範なパリ協定整合を認め、多様な市場やセクターへの対応力を強化する。
  • 説明責任の明確化:株主、投資家、規制当局、そして社会への説明責任を強調する。

NZBA議長であり、ファースト・アブダビ銀行のCSO兼副社長を務めるシャルギール・バシール氏は次のように語った。

「NZBAは、銀行による気候変動緩和のための世界最大級のプラットフォームとして、加盟行にとって唯一無二の支援基盤である。この決定は、ネット・ゼロへの移行をさらに加速させるだろう。」

(原文)Net-Zero Banking Alliance renews mandate with increased focus on unlocking opportunities for financing real economy decarbonization
(日本語参考訳)ネット・ゼロ・バンキング・アライアンスは、実体経済の脱炭素化に向けた資金調達の機会創出にさらに焦点を当て、マンデートを更新した。

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