EU、水素・産業熱・ネットゼロ技術を支援 イノベーション基金で52億ユーロ

12月4日、ブリュッセル発。欧州委員会は、EU排出量取引制度(EU ETS)収入を原資とする総額52億ユーロのイノベーション基金支援枠を新たに開放した。今回の公募には、29億ユーロの「ネットゼロ技術公募(IF25 NZT)」、欧州水素銀行による13億ユーロの「水素生産オークション」、産業プロセス熱の脱炭素化を対象とする10億ユーロの「産業熱オークション」が含まれる。
これらの支援は、2030年の気候・エネルギー目標および2050年の気候中立達成に向けた重要な一歩であり、クリーントランジションと欧州産業の競争力強化に寄与する。
ネットゼロ技術公募は、投資ギャップの解消とクリーンテック製造の強化を目的とし、革新的かつ成熟度の高い排出削減技術を支援する。対象には再エネ設備部材、蓄電、ヒートポンプ、水素製造、EVバッテリーなどが含まれ、評価はGHG削減効果、革新性、成熟度、再現性、費用効率で行われる。中小企業のみで構成されるプロジェクトには追加ポイントが付与される。
水素オークションでは、RFNBO水素または電解由来低炭素水素を対象に、海運・航空とのオフテイク契約を想定した新テーマを含む3区分で公募する。採択案件には、水素の検証済み生産量に対し最大10年間固定プレミアムが支払われる。
初の産業熱オークションでは、産業排出の4分の3を占めるプロセス熱の脱炭素化を支援し、10億ユーロを電化・再エネ直接熱供給(ソーラーサーマル、地熱など)やヒートポンプ、電気ボイラー等に充てる。支援はCO2除去コスト効率に基づき、最大5年間の固定プレミアムとして提供される。
加盟国は「Auctions-as-a-Service」枠組みを通じ、予算不足で未採択となった案件に国内資金を拠出できる。今回、ドイツは13億ユーロ、スペインは総額4.65億ユーロを追加投入する。
応募は、NZT公募が2026年4月23日、HydrogenおよびHeatオークションが2026年2月19日までとなっている。
(原文)€5.2 billion of EU Emissions Trading revenues earmarked for clean transition technologies under the Innovation Fund
(日本語参考訳)EU排出量取引収入の52億ユーロがイノベーション基金の下でクリーン移行技術に割り当てられる

