
8月、消費者庁が委託した「令和7年度 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量に関する調査報告書」が公表された。報告書によれば、令和5年度の食品ロス量は464万トンで、これに伴う経済損失は推計4.0兆円、国民一人あたりでは年間3万1814円に相当する。世帯あたりでは約6.5万円の損失で、水道代や電気代を上回る規模とされた。また、食品ロスによる温室効果ガス排出量は1050万トンCO2で、国民一人あたり年間84kgに相当する。
この排出量は家庭部門の用途別CO2排出量の中で、暖房用に次ぐ大きさであり、国民一人分ではガソリン約36リットルの使用やレジ袋約4000枚の廃棄に匹敵する。森林吸収量に換算するとスギ約10本分が必要とされる。
調査は、食品の生産・流通過程で発生する経済価値と温室効果ガス全体に対し、食品ロスの発生割合を乗じる形で推計。全国規模のデータに基づき、自治体が地域ごとの啓発に活用できる指標とした。
食品ロス削減は、家計の負担軽減だけでなく、サステナビリティの観点からも喫緊の課題であることが改めて浮き彫りになった。