
9月12日、農林水産省は現行の土地改良長期計画を1年前倒しで見直し、新たな計画を閣議決定した。新計画は令和7年度から令和11年度までを対象とし、農地の大区画化や中山間地域における省力化整備、老朽化した農業水利施設の保全などを重点的に推進する。
土地改良長期計画は5年を1期とし、土地改良事業の目標と事業量を定めて計画的な実施を図るものだ。今回の見直しは、食料・農業・農村基本計画の策定や土地改良法改正を踏まえた措置であり、食料自給力の確保に向けて生産性の向上を目指す。
新たな計画では4つの政策課題を設定した。第1は生産基盤の強化で、農地の集積・集約化やスマート農業の推進を通じて生産コストを削減し、国内需要を踏まえた生産拡大を図る。第2は農業用水の安定供給で、水利施設の戦略的保全管理による持続的機能の確保を進める。第3は災害リスクへの対応で、気候変動に伴う災害の激甚化に備え、防災・減災対策を推進する。第4は農村の価値創出で、所得向上や雇用機会の確保、生活環境整備を通じて人材が関わり続けられる地域づくりを目指す。
この計画に基づき、農林水産省は土地改良事業を集中的かつ計画的に実施し、食料安全保障と農村の持続的発展を推進する方針を示した。