欧州オンブズウーマン、サステナビリティ法簡素化案の準備手続に疑義

7月15日、欧州オンブズウーマンのエミリー・アンジーニョは、企業向けサステナビリティ報告規則の簡素化を目指す立法提案の準備過程に関し、欧州委員会に対しさらなる説明を求めたことを発表した。これは、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)および企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)の改正案策定における透明性と正当な手続きを巡る調査の一環である。

オンブズウーマンは、影響評価、気候一貫性評価、パブリック・コンサルテーションといった通常求められる手続きがなぜ省略されたのか、また委員会内部での意見照会期間がわずか24時間だった理由について、明確な根拠を提示するよう要請した。通常、委員会内部の協議期間は10日間、短縮措置でも48時間が目安とされる。

さらに、委員会が「緊急性」を理由に正式な影響評価や広範な利害関係者との協議を実施しなかったことについて、欧州規則に則った「より良い立法」原則の観点から正当性があるかどうかを問うた。現時点で委員会が行った関係者との対話は、2025年2月に開催された産業界中心の2回の会合のみとされている。

アンジーニョは、同立法提案が将来的な「オムニバス」簡素化パッケージに影響を与える可能性もあることから、今回の調査は特に重要であると強調した。欧州委員会に対しては、2025年9月15日までに正式な回答を求めている。

本件は、オンブズウーマン事務所が現在進行中の3つの調査のうちの1つであり、他には共通農業政策(CAP)関連法改正案の手続き、ならびに移民密輸対策に関する法案準備において影響評価が行われなかった点についても調査が続いている。

(原文)Ombudswoman asks Commission for more details on preparation of simplified legislative proposal
(日本語参考訳)オンブズマン、委員会に対し簡素化された立法提案の準備に関する詳細を要求

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