ベンチマーク・ジェンスイート、気候リスク管理で新サービス GIST Impactと提携、科学的データ活用

7月15日、EHS(環境・安全衛生)・ESG関連のデジタルソリューション大手、ベンチマーク・ジェンスイートは自然資本データ分析のグローバルリーダーであるGIST Impactと提携し、新たな「サステナビリティ・気候リスク管理ソリューション」の提供を開始したと発表した。企業のグローバルな事業拠点やサプライチェーンにおける気候関連リスクの特定、定量化、軽減を支援する統合サービスで、高まる情報開示要求に対応する。

この新ソリューションは、GIST Impactのデータ分析技術を基盤とし、欧州のCSRD(企業サステナビリティ報告指令)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)、IFRS S2といった主要な国際規制・フレームワークへの準拠を支援する。

NASA(米航空宇宙局)やNOAA(米海洋大気庁)など信頼性の高い国際機関の科学的データに基づき、18以上の気候リスクレイヤーと300万以上のマッピング済み資産を用いて物理的リスクと移行リスクを評価。企業は自社の資産がどの地域でどのような気候リスクに晒されているかを地図上で視覚的に把握し、サイトごとのリスクスコアを算出できる。

■主な特長

  • 地理空間分析: グローバルな資産のリスク分布を地図上で可視化
  • シナリオ分析: IPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの科学的予測に基づき将来のリスクをモデル化
  • 動的リスク評価: 資産の脆弱性や経済的価値を考慮したリスクスコアリング
  • 統合報告: CSRDやCDPなど複数の報告基準に準拠したレポートを自動生成
  • 経営判断支援: 経営層向けの包括的なダッシュボード機能

ベンチマーク・ジェンスイートのサステナビリティ・ESGデジタルソリューション担当シニアディレクター、ピーター・ウォルシュは「このソリューションは科学、技術、そして事業価値を統合するものです。企業がコンプライアンス遵守の段階を超え、科学的データと業界のベストプラクティスに裏付けられた、積極的な気候リスク管理へと移行することを可能にします」とコメントした。

企業は本ソリューションの導入により、気候リスクの可視性を高め、監査や規制当局の要件を満たす信頼性の高い情報開示が可能になる。また、シナリオ分析を通じて事業継続計画を強化し、気候変動への適応力とレジリエンス(強靭性)を高めることができるとしている。

(原文)Benchmark Gensuite Launches Science-Based Climate Risk Management Solution in Partnership with GIST Impact
(日本語参考訳)ベンチマーク・ジェンスイート、GISTインパクトと提携し、科学に基づく気候リスク管理ソリューションを発表

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