
5月22日、米食品・飲料大手のペプシコ(PepsiCo)は26日、同社のサステナビリティ戦略「pep+(PepsiCo Positive)」に関する最新の進捗と目標の見直しを発表した。気候変動への対応や水資源の保全、持続可能な農業の推進において、これまでの目標を上回る形で野心的な計画を打ち出した一方で、一部の目標については現実的な制約を考慮し修正を加える柔軟性も見せた。
「pep+」は2021年に始動した企業全体の変革戦略で、環境負荷の低減と企業成長の両立を目指している。今回の発表では、「農業」「気候」「パッケージ」「水」の4つの重点分野での取り組みと見直しが報告された。
まず農業分野では、2030年までにリジェネラティブ(再生型)農業の実践面積を従来の目標(700万エーカー)から1,000万エーカーへと拡大。2024年末時点でそのうち350万エーカーを達成する見込みだという。ペプシコはこの取り組みを通じて、土壌の健康回復、温室効果ガスの削減、生物多様性の保全など、複数の環境課題に同時にアプローチしている。
気候変動対策では、2030年までにスコープ1・2・3すべてを含む排出量を、産業界での科学的基準である「1.5°C整合」に改めると発表。これにより、ペプシコは2050年までのネットゼロ排出を目指すこととなる。従来の目標は2°C未満整合および2040年ネットゼロだったが、より科学的に強固な路線へと転換された。
一方、パッケージ(包装材)分野では、再利用可能な容器に関する野心的なグローバル目標を終了し、代わりに影響の大きい市場に焦点を絞ってリサイクルや堆肥化対応を強化するという。これは、各国におけるリサイクル制度の成熟度や法規制の差異を考慮した現実的な判断とされる。
水資源保全では、高リスク流域での水使用効率の25%改善目標を継続しつつ、農業用水の使用効率に関しては2年早く目標を達成したと報告。2030年までの「ネット・ウォーター・ポジティブ」(消費以上の水を補充する)という目標は引き続き掲げられている。
ペプシコのCSO(最高サステナビリティ責任者)、ジム・アンドリュー氏は「私たちは、持続可能性の野心を失うことなく、現実に即した戦略の再構築が可能だと信じている」と語った。
企業が環境戦略を進化させる中で、単に目標の数値を競うだけでなく、実現可能性と透明性を重視する姿勢が注目を集めている。ペプシコの最新の発表は、気候変動というグローバル課題において、民間企業が果たすべき役割の大きさとその現実的な挑戦を浮き彫りにしている。
(原文)PepsiCo Refines Sustainability Goals to Position Business for the Long-Term
(日本語参考訳)ペプシコ、サステナビリティ目標を見直し、長期的な事業展開を目指す