【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

※本記事は、2025年10月27日掲載の記事の公開部分を変更したものを再掲している。

2026年1月からEUでは炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment Mechanism:CBAM)が適用開始される。本制度は、EU域内排出量取引制度(EU ETS)と整合をとるために、EU域外から輸入される炭素集約型製品に対して、製造過程で排出された温室効果ガス(GHG)に対して報告義務および価格をつける制度。EUとの取り引きがある企業にとっては、少なからず「報告」への協力が求められるだろう。

 本稿では、本制度の概要(簡素規則を含む)およびEU域外企業が取るべき実務対応を整理する。また、業界共通・業界別それぞれの対応リスクや準備事項も考察している。

自社には関連がないと思っていても、EU企業からサプライチェーン対応として「体化排出量」の報告を求められる可能性もあるため、概要やリスクを把握し備えてておくとよいだろう。

CBAMとは

|概要と目的

CBAMの目的は、EU域内で導入されている排出量取引制度(EU ETS)との炭素価格格差を是正することで、カーボンリーケージ(生産移転による排出逃避)を防止することが狙いだ。

EU域外から輸入される製品のうち、製造過程で多量のGHGを排出するものについて、輸入者は「排出量の報告」「CBAM証書の購入」が求められる。なお、CBAM証書の価格は、輸入製品に埋め込まれた排出量に応じた金額になる。

次に、対象事業者やEU域外企業の対応項目など順に紹介する。

|対象事業者と義務の構造

義務の対象は、EU域外から対象製品を輸入するEU域内の事業者。輸入者は事前に各加盟国当局へ申請し、「認可CBAM申告者(Authorised Declarant)」として登録しなければならない。

区分内容
対象事業者EU域外から対象製品を輸入するEU域内企業
主な義務・体化排出量(embedded emissions)の報告
・CBAM証書の購入・納付
・年次CBAM申告書の提出
罰則未納付の場合、CO₂換算1トン当たりの金額に応じた罰金が科される可能性
※簡素化後EU-ETSと同等(CO₂換算1トン当たり€100) のレベルに統一へ
(参考情報)
※製品の体化排出量の計算方法(EU事業者)
・製品の体化排出量 = 直接排出量+(間接排出量)+(投入材料の体化排出量)/製品の活動レベル(生産量)
投入材料の体化排出量 = (各投入材料の質量 × 各投入材料の体化排出量)の総和
参考:JETRO「EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)解説(基礎編)」よりESG Journal作成

なお、認可申告者のみがCBAM対象製品をEU域内に輸入することができ、条件によっては税関代理人が代行する場合もある。

|対象製品(業種)

CBAMの対象は当面、以下の炭素集約型材料といわれる下記の6分野である。

セメント、肥料、鉄鋼、アルミニウム、水素、電力

対象となる温室効果ガスは、二酸化炭素(CO₂)、亜酸化窒素(N₂O)、パーフルオロカーボン(PFC)。

なお、EUは2030年までにETS全対象セクターへCBAMを拡大し、2034年にはEU ETSの無償割当を完全廃止する方針である。

以下、CBAM簡素化による影響および業種ごとの対応ポイントについて説明していく。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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