欧州初の再エネPPA締結 イベルドローラとマイクロソフト、AI活用でも協業を拡大

12月16日、再生可能エネルギー大手のイベルドローラとマイクロソフトは、エネルギーおよびAI分野での協業を強化すると発表した。両社はスペインにおいて、合計150MW規模の長期電力購入契約(PPA)を新たに締結した。これは両社にとって欧州で初となるPPAであり、再生可能エネルギーとデジタル技術を軸とした戦略的パートナーシップの深化を示す動きだ。

今回のPPAは、スペイン北部のIglesias風力発電所(Burgos)とEl Escudo風力発電所(Cantabria)を対象とする。これによりマイクロソフトは、欧州における事業を100%再生可能エネルギーで賄うという目標の達成を加速させる。両社はすでに米国でも協力関係を築いており、イベルドローラの米国子会社Avangridを通じて、カルフォルニア、オハイオ、ワシントン州の太陽光・風力発電所とPPAを締結してきた。今回の契約を含め、両社のPPA総容量は米国と欧州で約500MWに達する。

エネルギー分野に加え、デジタルとAI分野での連携も拡大する。イベルドローラはマイクロソフトのAzureクラウドを引き続き活用し、Microsoft Copilotやセキュリティ、規制対応ソリューションを導入することで、全社的なAI活用とデジタル能力の強化を進める。すでに複数の基幹システムがAzureへ移行されており、技術革新と事業のレジリエンス向上につながっているという。

両社は今後、再生可能エネルギーの供給にとどまらず、データセンターの排熱利用、電化された土地、カーボンクレジット、水素や蓄電池などの新技術分野でも協業の可能性を探る方針だ。欧州、米国、ブラジル、オーストラリアを含むグローバル規模での連携を通じ、脱炭素とデジタル変革の両立を目指す構えである。

(原文)Iberdrola and Microsoft strengthen their partnership with two long-term PPAs for 150 MW and the use of new global AI solutions

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