カナダ主要銀行、ネットゼロ銀行連合から脱退:気候ガバナンスの責任は残る

1月22日、カナダの主要銀行5行(BMO、ナショナル銀行、TD銀行グループ、CIBC、スコシア銀行)が、2050年までにネットゼロ排出を目指すネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)から脱退した。この連合は、融資や投資活動を排出削減目標に一致させることを掲げていた。これら5行はカナダの資産の80%以上を保有している。

今回の発表は、JPモルガンやブラックロックなどの米国主要金融機関の脱退に続くものだ。背景には、北米における反ESGや反多様性への動きがあるとされる。

カナダ気候法イニシアチブによれば、銀行の取締役会や経営陣は、気候変動に伴うリスク管理の責任から免れるわけではない。世界経済フォーラムの「グローバルリスクレポート2024」によれば、気候変動は引き続き長期的なリスクの中核を占めており、金融セクターにも重大な影響を及ぼしているとしている。

引き続き、カナダ銀行法の下で、取締役には合理的かつ慎重な判断を下す義務が課される。科学的および財務的に気候変動リスクが認識されている現状では、取締役会はこれを無視することができない。気候リスクへの対応を戦略やリスク管理の中に組み込む必要がある。

気候ガバナンスは単なる選択肢ではなく、長期的な金融安定と持続可能な未来を確保するための必須条件になるだろう。

【参照ページ】
(原文)Leaving the Net-Zero Banking Alliance doesn’t exempt Canadian banks from climate accountability
(日本語参考訳)ネットゼロバンキングアライアンスを脱退しても、カナダの銀行は気候責任から免除されるわけではない

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. GXの全貌と実務への影響~企業が今取り組むべき脱炭素戦略

    2025-7-16

    GX/GX-ETSと実務への影響~企業が今取り組むべき脱炭素戦略

    ※本記事は、2025年3月に発行した記事に最新のGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(…
  2. 2025-7-15

    ESGフロントライン:移行計画の“実行力”が企業価値を左右する時代へ

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-7-15

    ESRS開示項目66%削減案へEFRAGが草案公表。ダブルマテリアリティ評価も負担軽減

    7月、欧州のサステナビリティ報告基準を策定する欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、欧州サステ…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る